【45-5話:ヴィエンヌ城の地下温泉大ホールで!】
サギとウギは恭しくもメイラーさんから湯浴み着を受け取ると直ぐさまそれを着衣した。
二人の湯浴み着姿は既に濡れそぼった身体へ純白の生地がその肢体に纏わり付くように密着し二人の今までの裸体よりも凄艶に見させてますます直視出来なくなっていた。
まあ、此は此で今までの騒動は一段落したかに見えたが……。
「それでは、ラリー様、差し出がましいようですが私たちもご一緒しても宜しいでしょうか? ねえ、メイラー」
「はい、ラリー様とのご一緒の湯浴みは光栄ですから」
え~っ? リアーナお嬢様とメイラーさんまでっ! 俺の中で再び羞恥心が警笛を鳴らし始めていた。
しかも、メイラーさんは今までメイド服の姿しか見た事が無かったが、着やせするタイプらしい。今の乾ききっている湯浴み着姿でも想像出来る程悩ましいラインが浮かび上がっている。
「ラリー、お主また鼻の下が伸びてるぞ~ぅ、意気地無しのくせにおなご好きなのじゃのぅ~」
ウギが半眼で俺を睨んでくる。
「ほんと、むっつりスケベなくせに変な所でお堅いんだから、も~ぅ」
サギも呆れかえりながら俺の横腹を抓ってきた。
「――痛っ――てっ、サギっ」
「ふんっ」
まあ、サギのそんな膨れっ面が其れは其れですごく可愛いんだけれどね。
俺達がそんな事をやり取りしている間に、リアーナお嬢様とメイラーさんは湯浴み着の上から掛け湯をして身体を軽く流した後に湯船に浸かって俺達を待っていた。二人が掛け湯をして身体に張り付く湯浴み着姿をライブで見なくて良かったと思った。そんなのを直視したら俺はまた鼻血を吹いて倒れるのは確実だと思っていた。
「ラリー様もサギもウギ様もどうぞ此方にいらして下さい」
湯船にゆったりと浸かっているリアーナお嬢様が痺れを切らして俺達を呼んできた。
「あっ、直ぐに参ります」
俺達は身体に付いた石鹸の泡を洗い流してから湯船に入っていった。無論、サギ達の掛け湯姿なんぞ余りに妖艶すぎて直視出来る状況じゃない事は言うまでも無かった。
「ラリー様、如何ですか温泉の湯加減は?」
湯船に浸かってきた俺に向かってリアーナお嬢様が訊ねてきた。そんな俺達と言えばいつものようにサギとウギが俺の両側でそれぞれ絡みついている、しかも前よりもしっかりと俺を離さないように密着してくる始末だし二人の身体の特に柔らかい部分が俺の身体の其処此処に纏わり付くような接触感を伝えてきて居心地がいいのか悪いのかわからない状況だった。そんな中でリアーナお嬢様とメイラーさんはその俺の真向かいでお湯に身を浸している。
「湯加減は申し分ないですよ、ほんとにいい温泉ですね、毎日でも入りたいくらいですよ」
「あら、そんな簡単な事ありませんよ、ラリー様ならこの居城にずっといらして居てもいいのですから」
俺なんか墓穴を掘ったか? 終いには両側の二人して俺を睨み付けてくるし。
「いやいや、そんな恐れ多い事ですよ伯爵様のお屋敷に居続けるなんて、俺にはとてもとても……」
「そんな事は無いですから、私達の命の恩人で英雄様を無碍になぞしたら末代までの恥となりましょう」
「リアーナお嬢様、俺の事を買い被りすぎですよ今回は護衛師団皆で伯爵様をお守りしたのですから、俺達の働きはその中のほんの一部に過ぎません」
「あらっ、ラリー様は本当に欲の無い殿方なのですね、サギが本当に羨ましいわ、ねっメイラー」
「その様でございます、お嬢様」
俺はサギの顔を覗き込むと当のサギは顔を赤らめながら俯き加減でぶつぶつ呟いている。話しの流れを変えないとサギの怒りの矛先が俺に向けられそうだ。
「ところでリアーナお嬢様、この家族風呂ですか? この様な大きな湯船と言うか地下のホールの温泉施設なぞ初めて見ました。伯爵様のご意向で作られたのですか?」
「いえ、この居城そのものは私達の祖先から引き継いだ物なのです。この地下温泉もそのひとつですよ。我が家系の言い伝えではその昔此処は魔王族の居城だったらしいですわ」
「えっ、此処が元魔王族の居城?」
俺はその言葉にある戦慄を覚えていた。
俺の顔色の変化に敏感に反応したのはサギだった、魔王族というキーワードを貴女に教えた事は無い、でもサギは瞬間に俺の心の抑揚を感じ取ったらしく俺の左腕をさらに強く抱き締めてきた。
そして、俺の顔を覗き込みながら耳元で囁いてきた。
「ラリー、大丈夫? 何か心配ごと?」
「――あっ、悪い……何でも無いよ、大丈夫だ」
「……そう、ならいいの」
サギは俺から目を逸らしながら天を仰いでいた。サギはやっぱり感のいい娘だ、無用な心配はさせまい。そう心の中で呟きながらリアーナお嬢様に問いかけてみる事にした。
次回【45-6話:ヴィエンヌ城の地下温泉大ホールで!】を掲載いたします。




