【6話改稿:魔術ってどうやってつかうの?】
前回の一人称主人公表記から改稿してみたいとちょっとづつですが、弄り直し始めました。本来のシナリオは変わらない予定ですのでご容赦くださいますようお願いいたします。
――なんか凄い事をさらりと頼まれたような気がする。
サギに頼み込まれて彼自身、混乱の極みの中に行き成り叩き込まれた感じだった。確かに異世界転生物語なんかで魔術なんかは定番であろうが。彼もさっき見せてくれたサギの魔術に驚きはしたが、結界とか蘇生とか当たり前に言ってくれるものの、あくまでも彼女達が行っていることだから、なんとなく当たり前に受け入れていただけであった。其れを彼自身が使うなんぞ、全くもって想像だにしていない。焦点の合わない眼で己の手を見つめながら愚痴を溢すのも頷ける。
――どうやって……っていうか魔術なんて自分が使えるものなのか?
――どうも、彼女達の言動からすると自分の過去はそれなりに能力があった強者なのか?
彼の素朴なそんな呟きもなんのそのサギがさらに不安をかき立てる事を言ってきた。
「ご主人様の魔術能力はたぶん残っていると思うんですけと……思い出せませんか?」
「思い出せって言ったって、自分が誰かもわかっていないんですよ! 俺の過去なんか全く思い出せないし、ましてや魔術を思考するなんてわからないですよ!」
「お主、今なんて言った?」
「だから、魔術を思考するなんて……」
「それじゃよ! ……魔術は思考するもので、イメージを合わせれば魔力が合わせてくれるものだ、それがわかるだけでもすごいことだぞ!」
「……へっ、そうなの? でも、蘇生のイメージなんて……わからないし、イメージをどうやって魔術で抽出するのさ??」
「ご主人様、その点は私達が伝達でフォロー出来ますから、ご心配には及びませんことよ。それよりも、魔術を呼び起こす魔力そのもののエネルギーを蓄えないと途中で魔力切れをおこされては蘇生の途中で死に至りますから、その点を注意しなければなりません」
「そんなこと言われても、魔力なんて俺にあるとは思えないですけど……どうやって実証するのですか?」
「まずは、そこから始めましょうか……ご主人様!」
「そうじゃの、まあ、あまり心配してはおらぬがの、お主の力は絶大じゃったからの」
ウギの無責任な発言はさらに不安を募らせるだけで、全くもって自信なさげな彼の気持ちを埋めるものではなかった……と思う。
サギの魔術教室はなんてことは無い、サギが彼の身体を乗っ取ってそのままの魔力放出をして見せることだった。が、其れは其れで彼にとって自らの身体から魔術が現れ出でるそのものを直接体感する事となり、教え方としても最も直接的で合理的な方法であることが彼の習得の早さから確かめられたのであった。
「へ~っ、こんな風にするんだ、わかるわかる! っで、俺の魔力量はどうなのかなサギさん?」
「ご主人様の魔力量は……、うわっ……計りきれませんっていうか、底なしですね……相変わらず! すごっつ!」
「へ~っ、そうなのか……ふんふん、それ――っ、雷鳴!」
「お主こらこらそんなに、はしゃいで魔力放出するでない! いくら結界の中だからとは言え神殿に被害が出るぞ! って妾達の身体が壊れるやもしれん、やめんか!」
「あっと、ごめん! 調子に乗っちゃった!」
そのなこんなでひと通りの魔術を臨時サギ師範に伝授して貰い、ついに蘇生魔術そのものを教わることになった。
「ご主人様、蘇生魔術と言ったって特別なことはありません。蘇生する身体に触れて、蘇るそのイメージを触れた手のひらから相手に流し込むのです」
「そうじゃ、慈愛を込めての……愛じゃな愛! な主殿……」
「ウギさんの愛は邪心になりますからやめてください」
「サギ殿、その言いぐさは何かな? 嫉妬か? やめおけ!」
「うっき~! ウギさん、何ですか! 嫉妬とは!」
――おいおい、また始まったぞ、ほっといたらどんどん悪くなりそうだなこの関係。早いこと彼女達を元の身体に戻さないとやばくなりそうだ。っていうか、彼女達の身体はどこだ?
そんな事を心の中で思いながらも溜息をひとつ大きく吐き出して、彼はあらためてさっき入ったきた部屋の内部をぐるっと見渡してみた。