【32話:ウギ達と一緒の護衛任務です!】
綺麗さっぱり艶やかな輝きすら放つヨル爺の丸刈り頭はまるで後光が差す様な雰囲気を醸し出していた。
「いや~っ、これは眩しいほど似合うな」
「そうじゃのぅ、威厳すら感じるじゃぞ、荘厳だのぅただのエロ爺とは思えないのぅ」
二人してヨル爺をまじまじと見つめお互いに感想を言い合いながら、最後にはニタリとしていた。ほんと、手を合わせて拝みたくなったよ。
そんな与太話をお互いに言い合いながら、おもわずハイタッチをして大笑いしていた。
「なあ、ウギよぅ正直、ヨル爺のこと此から如何する? 姫様って慕ってついてくるぞ」
「ん~そうじゃのぅ、見てくれは変わってもやはり中身はセクハラ爺じゃろうからのぅ、妾にした今までの事は許せないからのぅ」
「そっか、此ばっかりはウギに無理強いは出来ないからな」
「すまんの~ぅ、ラリーには関係の無い妾の一族の痴態じゃ」
「いや、これからはウギは俺の妹みたいなものだからな、俺の問題にもなるさぁ」
「……んっ、妾は……妹なのか? 其れは……嫌じゃのぅ」
「えっ、俺と……嫌なのか?」
「妹っていうのが嫌じゃ、妹ではラリーの子を……宿せないじゃろう」
「そう……なのか?」
「……? えっ、妹じゃぞ? それでは……なんだなぁ、き・ん・し・んなんとかって言うじゃろう?」
「ああっ、近親婚か? 拙いのか?」
「……? ラリーお主は? えっ?」
なんか、俺の感覚がウギの常識と違うらしい事がはからずも判明した。
“ラリーっいい、其れは魔王族の常識よ。人には倫理感というものがあって魔王族の常識とは違うのよ、ほんとお馬鹿さんね“
戸惑っていた俺の意識にヴァルが答えをくれたね。はぁ~んそうだった。
「ウギ、悪い今のは忘れてくれ……」
「んっ、そっか……別にのぅ、妾はラリーの恋愛対象になれるなら……(ラリーがそれで良いのじゃったら、妹でも良いかと思ったが……)」
なんか、ウギと変な方向へ話しが飛んでしまった事を少なからず恥じた。このままだと拙いとおもい話しを元に戻す事にしたよ。
「わかった、俺等はそのうちまた旅に出るがその時はヨル爺には告げずに聖都テポルトリを後にしよう」
「っん、妾もそうしてくれると有り難いのじゃ」
「よし、まあヨル爺から逃げようって事だな」
「そうじゃ、妾とラリーのふたり旅なのじゃ、楽しみじゃぞぅ」
そう言ってウキウキ顔に戻ったウギの横顔に見とれながらも俺は今日の任務への気構えに心を戻すことにした、今日は昨日のような気軽な旅路とはいかないはずだから。
「ウギもヴァルも今日はあの赤い馬車の護衛な」
「解ったのじゃ、あれかさっきサギが乗り込んだ馬車よのう」
「そうそう」
「んっ、サギが窓からこっちを見ているぞのぅ」
「ああ、こっちの騒動の一部始終を見られているよ」
「そうだったのか、其れは少し恥ずかしいのぅ、まあ仕方がないがのぅ」
そういう風にウギは言いながらも頭をポリポリと掻きながら、少し照れ臭い様子だったね。まあ、未だ目覚めはしないが剃髪頭のヨル爺はもっとだろうがね。
まだ、失神状態から覚めないヨル爺の事を持ち場の所まで背負っていって爺の所属の小隊に預けてきた。小隊のメンバーには昨日の夜間警護の疲れが出て居眠りをしてしまっていると嘘の報告をして於いたが、真実は伝えられる事では無いのでその点は大目に見て貰いたいところだ。
俺達のドタバタとは無縁にリッチモンド伯爵家の出発の準備も整ったようで、護衛師団のメンバーも各所の持ち場について出発の時を迎えた。
「さあ、皆、出発!」
護衛師団長であるニコラス宮廷近衛師団長の号令と共に一団は温泉宿を後にして移動を始めた。
俺とウギ、ヴァルはリアーナ令嬢の乗る赤い馬車の護衛として行動をする事となった。
まあ、リアーナお嬢様の身辺護衛の為、馬車に同乗しているサギの事も加えると俺達全員が同一パーティーとしての初任務と言うことになるわけだが。
「なあ、ウギ」
「なんじゃのぅ、ラリー」
俺とウギは馬車の前を横に並びながら歩きその後ろにヴァルがついてきている、そんな風に進みながら俺は右側を歩くウギに声をかけた。
「さっきは、ありがとな」
「……っん? なんのことじゃ?」
「あっ、あれだよ……俺の腕の代わりになるって言ってくれたことだよ」
「あっ、あれか……別にお礼を言われる程のことでは無いがのぅ」
「いや、素直に嬉しかったよ。だから、お礼を言わせてくれ――ありがとう」
「……うっん」
俺はウギの真っ直ぐな言葉に励まされて、心が暖まった気持ちになれたことをとにかく感謝したかった。だから、俺も素直にウギにお礼を言いたかったんだ。
そんな、言葉のやり取りにウギは顔を赤らめながら俯いて歩いていたね。その姿が余りに可愛らしくて思わず抱き締めたくなったね、まあ、それは無論躊躇したが……。
ここの所、数日間で俺の周りの環境は大きく変わろうとしている。サギと出会いウギ、ヴァルとはこれからの冒険者生活を共に生きていくことを約束した。今までは十五歳で冒険者として一人旅を初めて、たったひとりで此処まで来た、だがこれからは仲間と共に生きる人生を歩みそうだ。
「……これでサギも一緒ならもっと楽しいのかな~」
俺はふっと、心の奥にあった言葉をおもわず口に出してしまった。
「んっ、ラリー? 今なんか言うたのかのぅ~?」
「いや……何も言ってない」
「ふ~んじゃ」
いや、ちょっと拙ったかなウギが“じと~っ”目を俺に投げてちょっとふくれっ面になったよ。まあ、そんな仕草も可愛らしく思えるが。まあ、以後、独り言には十分に気を付けよう。
「さあ、行くぞウギ」
「うん、ラリーわかってるのじゃ」
俺達は一団の流れに乗って歩みを進めて行った。
次回【33話:さっ、お仕事です!】を掲載予定です。




