【28-1話改稿:ウギさん、おはようさん!】
前回の一人称主人公表記から改稿してみたいとちょっとづつですが、弄り直し始めました。本来のシナリオは変わらない予定ですのでご容赦くださいますようお願いいたします。
まるで夢物語のような出来事が全て昨夜の事であったとは、ラリーの中では今も色々な思いが渦巻いていて、とても過ぎ去った時間とは思え無いでいた。それでも時間は流れ、二人の徹夜の警護明けの朝が訪れようとしていた。
「ふぅぁ~っ、昨夜は何事ものうて、良かったじゃの……眠いのぅ、やはり夜間の警護は爺にはキツイってのぅ」
目に薄く隈を作りながら、大きな欠伸で眠気をかみ殺してヨル爺は弱音を吐いていた。だいぶ眠そうだった。そう言うラリーもご多分に漏れず、睡魔に襲われかけているのである。担当の警護時間は既に終了していたので出発前に仮眠の時間が少しはとれそうであった。
「ヨル爺、部屋に戻って少し仮眠しよう、このままじゃ、この後の任務に支障をきたすからね」
ヨル爺も、この提案には異存が無さそうで、二人揃ってコテージから引き上げる事にした。
ラリーもウギ達が此処にやって来るまでひと眠りしたかった。特に今日は魔力がいつも以上に必要になるだろうからなと彼自身は何かを予感していたようである。
部屋に戻ったラリーは取り敢えず倒れ込むようにしてベッドの上に寝転がった。流石にフランとガーリアの二人の姿はもうそこには無かった。昨晩の警護の交代をドタキャンした都合上、多分早朝からの代替え警護要員にでもさせられているのであろう。身から出た錆とは言え、ちょっとは気の毒になったラリーである。
まあ、今となっては彼のこの眠気状態から言えば、誰も居ないと言う環境はすごく有難かった。これで、喧噪を気にせずに、ひとりゆっくり休むことが出来ると言う事であるから。
そんなことを考えながらも、睡魔はあっという間にラリーの意識を奪い去っていった。
――おゃっ! サギさんにウギ? ふたりとも怪訝な顔でいったい如何したんだろう?
ラリーは夢の中でふたりに出会っていた。
「ラリー様! この娘とは一体どのようなご関係なのですか?」
「ラリー、お主はこのおばさんといい仲なのかのぅ?」
「う~っ、あなたねぇ! おばさんとは誰の事ですか? お・ば・さ・ん~てぇ!」
――いきなり二人して自分に突っかかってきたけれど、いったいどうしたんだ?
「妾は十六になるがのぅ、お前は幾つなのじゃ?」
「えっ、わ……わたしは……十七よ!」
「それじゃのう、妾より年上じゃのぅ、じゃぁ、やはり、おばさんじゃろうにのぅ」
「はぁ~っ? いっこしか違わないじゃ無いの!」
「んっ、いっこでも、十こでも年上は年上じゃろう? じゃぁ、やはり、おばさんじゃろうにのぅ」
「んまぁ! もう一回言ってみなさい! 仕舞いには怒るわよ!」
「なあに、気にしなければいいだけのことじゃろうにのぉ? 小さき胸の……如何間違えてしもうたのぅ、小さき心じゃのぅ」
――いやいや、サギさんだって胸は大きい方だと思うよ、ウギが巨乳系なだけだろう。
と、サギを擁護する訳では無いが……そんな事を思うラリーであったが――――争いは続く。
「――――自分がちょっとばかり……む、胸が大きいからって~ぇ、ふん!」
――あ~ぁ、サギさんほんと怒っちゃったよ。どうするんだ? これ!
「妾は、ラリーの妾よのぅ。昨夜は妾の乳房を揉んでいたでのぅ、なあ、ラリー」
「え~ぇっ、それは……」
――ほらっ、サギさんの見目麗しい顔が、刻々と険しくなってきたよ、拙いよ、これは!
「あ~らぁ、ラリー様っ、この小娘の言う事は誠なのですか? まさか嘘ですよわよね」
「あ~あ~ぇっと――――う~ぅ――――サギさんっ~」
「……ぇ、まさか……ラリー様が?」
「ふん! どうじゃ、妾の言うとおりじゃろう~のぅ」
「酷い! そんな、ラリー様の馬鹿っ! 馬鹿っ!」
と、ラリーは一瞬大きく身を構えて、防御の姿勢を取った――――っぬぬ!
ドッドン――――と、ラリーはベットから落ちたところで目が覚めた。
「ゆ……夢か! ふ~っ!」
全身びっしょりと脂汗をラリーはかいていた。
――いやぁ、笑い事じゃ無いぞこれは! 良かったよホント夢で……いや、よくないぞ、これはもしかして正夢か?
ラリーはまだ、混乱している思考回路の中でこの先に起きるであろう出来事の予兆として今の夢の物語を反芻していた。
――ウギの発言はもしかしたら爆弾になるかも知れないな。昨夜のことはサギさんには知られるわけにはいかないな。これはウギに口止めをしておかないと流石に拙いな。
そんなことをツラツラと考えているうちにウギ達が遣ってくる時が迫ってきていた。
「ふ~っ、全く仮眠落ちが良かったのか悪かったのか、此では解らないな!」
軽く睡って疲れを取ろうとしたことが、逆にげっそりすることになってしまった為、ラリーは自虐的思考に陥っていたのだった。
――まあ、早めにこのことに気づいたことを良しとしておこうか。
自分にそう言い聞かせてウギ達のことを近衛師団長に申し出る為、ラリーは部屋を後にした。
途中、ウギ達の護衛師団への参加許可の申し出を後押しして貰う為に、ヨル爺の部屋を訪れた。
「ヨル爺、入るよ? 起きてる?」
部屋のドアをノックしてラリーはヨル爺の部屋に入っていった。
果たして、ヨル爺はそこに居た。ベットから上体を起こして丁度、今起きたところのようである。
「おはよう、ヨル爺。寝起きの所、恐縮だがこれから近衛師団長の所へ行く。一緒についてきて貰えないか? 昨夜、ヨル爺に相談した件を頼みに行くんだ。ヨル爺にも近衛師団長の説得の為に助言をお願いしたいが、良いかい?」
「……んっ、ああっ、おはようのぅ、ラリー……ぉお……わかっておるぞ、大丈夫だのぅ」
寝ぼけ眼で、ヨル爺は快諾してくれたようだが……。
――大丈夫かな? ちょっと不安だな? 本当に大丈夫かな? この爺さん。
心の中でラリーはそう呟く。
ヨル爺の支度は程なく終わり、二人して部屋を後にした。
「なあ、ヨル爺?」
「んっ、なんじゃのぅ?」
今一度、ラリーはヨル爺には聞いておきたい事があったようだ。
「ヨル爺にとって、その姫様の存在ってなんなんだ?」
「そうよのぅ、なんと表現すればいいじゃろう。まあ、幼い頃から仕えし姫様じゃからのう、普通は愛娘のようなとでも言うんじゃろうがのぅ。それとも、ちと違うでのぉ」
ヨル爺はそんな風に喋りながら遙か遠くの方を見ている風だった。
「まあ、強いて言うなら、生きていく希望じゃろうかのぅ」
――此はまた大きく出てきたぞ。それでは希望の星が見つかったら離れられなくなるって事だろうが。
「ヨル爺、なんかすごい想いに見えるよ」
「んっ、老いぼれの戯れ言よのぅ、気にするでは無いぞ――まあ、姫様をもう一度この手でおもいっきり抱き締めたいと言うのもあるがのぅ、なにせ88の59の86じゃぞ、しかもFカップ!」
――おいっ! ヨル爺、最後はそこか! やっぱりエロ爺生命力のエロエネルギーの為か?俺の感動を返してくれ!
そんな馬鹿な話をしながら歩いているうちに、いつの間にか昨夜の警護区域だったコテージへと辿り着く、護衛師団メンバーの中に目的の近衛師団長の姿を見つけたので、二人してそちらの方へ向かって行った。
次回【28-2話:ウギさん、おはようさん!】を掲載します




