【25-2話改稿:ヴァルの身の上話し!】
前回の一人称主人公表記から改稿してみたいとちょっとづつですが、弄り直し始めました。本来のシナリオは変わらない予定ですのでご容赦くださいますようお願いいたします。
ヴァルの長い魔力念波での独白に先程の意味を知ったラリーだが、彼女の問いに答えるすべを持っていなかった。ラリー自身、自分の出生の秘密を知ってはいなかったのだから。
――悪いなヴァル、俺自身も知らないんだよ俺が何者かって言うことは。ただ、幼い頃に俺を拾って育ててくれたセット婆さんやニネット爺さんには、この事は何があっても他人には知られてはいけないことだと教わっただけなんだ、俺の右目の異変のことと……あっ、セット婆さんやニネット爺さんって元英雄って呼ばれているらしいんだが、分かるか。
――そうなのね? ラリー、確かにあなたのその目は琥珀色の普通の人間の目の色だが……魔王族は金眼色のはず、何故なのかしら?
――俺の目の色は通常は琥珀色眼だが危機的状況に陥ると右目だけ金眼色に変わるらしい、まあ、自分では見ることは残念ながら出来ないし、確認のしようも無いしね。ただ、何度かそうなったことがあるらしい。先程、話に出てきた爺さんと婆さんがそれを見ている。それが右目の異変の意味と言う事だよ。
ラリーの話の真相をヴァルは知るよしも無いが、そこそこ真実として受け取ってくれたらしい。大きく頷いてその眼は遙か遠くの思い出を探るような様相に変わっていた。
――ところでヴァル、俺の話の後でと言うわけでは無いがなんでそんな経歴のお前が今、ウギさんと一緒なんだ? 魔界からなんで出てきたんだ?
ラリーの話の振り方が唐突すぎたのか、それとも何かしら後ろめたさがあるのか分かりやすく動揺していた。そうヴァルはと言えば、眼をパチクリしたままでしかも口までパクパクさせて相当慌てた様子だった。ヴァルは嘘がヘタそうだ。
――おい、ヴァル、お前やっぱり何か魔界から大切な使命を貰って来てるだろう? 俺らには多分言えないことだろうがな。
ヴァルにラリーから魔力念波でさらなる確信って言うものを送り込んでみた。
その後のヴァルの仕草と言えば大狼ガルムの威厳なんぞどこぞへ行ったのかと思うほど動揺が滲み出ていてた。否定しようと首が千切れないかと思う程の勢いでブルブルと左右に振っていたが、その目はおもいっきり泳いでいて……全くもって単純で、結構わかりやすい性格だったようだ。
なんと無くヴァルの心情も解らなくも無い事として、これ以上彼女の事をを虐めるのは止めておく事にした。その代わり言える事の方はきっちりと聞いておく為である。
――わかった、ヴァル、そのことは今はいい! 話せるようになったら……いや、話したくなったら話してくれればいい。でだ、もう一方の理由は話せるだろう、んっ!
ヴァルはまだ、口をパクパクしたままであったが何とか落ち着いたようでブツブツと呟くような魔力念波をラリーの返してきたのだった。
――ぁ……あの娘との勝負で私が……負けたのよ、今、思い出しても悔しいけどお嬢に完敗したのよ! お嬢はね、家の関係が訳ありだったらしいのよ、詳しいことはわからないけど……。
――魔術の習得に飢えているような様子だったわ、あの頃は、山の中にひとり入り込んでとにかく滅多矢鱈と魔獣を探して相手にしていたみたい。まあ、自分の縄張りでそんなことをされて私も黙っていられなくてね、追い出そうとして相手にしてあげたわよ。
――最初はね、剣術はそこそこの実力はあったわでもね、わかるでしょうあなただったら。魔獣相手に魔術がお手薄では勝ち目は無いのよ。コテンパンにのしてあげたわ、殺しはしなかったわよ、だってお嬢の方には全く殺意が無いんだもの呆れたわよ、お嬢には!
そんな話しをヴァルは懐かしくも優しい目を携えて続けたきた。
――コテンパンに、のしたものの、何となく可哀想になってね。見た目が綺麗な娘でしょう、其れまでの争いの傷も痛々しく残っていてね、治癒魔術を全身に施してあげたわ、傷ひとつ残さぬようにね。まあ、その前にお嬢が相手にしていた魔獣達もお嬢に同じようにされていたからね、闘って勝った時はお嬢は負けた魔獣を回復魔術で治していたの、回復魔術だから完全治癒とはほど遠いけどね、そこのところはお嬢は徹底してたわね。食べる目的以外は殺さないってね。
――ヴァルさ~ぁ? それじゃ、お前負けていないじゃないか? 負けたって言ったよなぁ。
――ラリー、話しは終わっていないわよ、急ぎなさんなって言ってるでしょう。男の子、せっかちは嫌われるもとだからね、うん、あと其れと……早すぎるのも駄目だからね!
――わ……私は長すぎるのも苦手だけど、疲れるだけだから……。
後者のたとえは絶対この話しには関係無いだろうと思う、取り敢えず相方として反応は返しておくことにした。
――おい! ヴァル、まだ続けるのか! そっちの路線を……話を戻してくれないか。
――ふんっ、つまんない坊やね……まあいいわ。お嬢の話ね、あれ、何処まで話したかしら?
――と、おい~っ、ヴァルさんや~ぃ……い・い・加減にせ・ん・か!
――ふっ! わかった。もう、やめるわね。
――えっ?
――残念だけど時間切れだわね。お嬢が、戻ってきたわ!
――はあぁ~っ、こいつどれだけ自分の負けた話しを嫌がっていたんだか、負けず嫌いなだけじゃん!
そう内心で毒づいていると本当にウギが戻ってきた……らしかった?
温泉宿の方角からひとりの娘がこちらに向かって駆け足でやって来るのがラリーには見えた。でも、なんか異様にキラキラしているよう思える。
――あれぇっ!
ラリーは思わず我が目を何度も擦っては凝視していたのだった。
その後、ラリーの目の前にめちゃくちゃ可愛い美少女が満面の微笑みを浮かべた顔で佇んでいたのだが。
「……あっ~の~ぅ、あなた様はどなたですか?」
ラリーは目の前の美少女に素でそう尋ねていた。
次回【26-1話:ウギさんは水も滴る好い美少女でした!】を掲載します




