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英雄たちの回廊(Ⅱ)  作者: 松本裕弐
【元勇者と仲間達の回想録】
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【25-1話改稿:ヴァルの身の上話し!】

前回の一人称主人公表記から改稿してみたいとちょっとづつですが、弄り直し始めました。本来のシナリオは変わらない予定ですのでご容赦くださいますようお願いいたします。

 ウギに切なくお願いされ、ヴァルには彼の鬼門と言うべき秘密を握られ、ウギの頼み事をラリーに断れる訳は無かった。

 まあ、魔術を教えるという点は後にしても、薄汚れた彼女が湯上がりにどれだけ変わるかを見てみたい欲求もあったようであるし。それに、ここで恩を着せるという程の事でも無いのでウギの頼みにラリーは無論、即時に快諾をしていた。

 その言葉にウギは満面の微笑みを返しながらも、飛び付くようにラリーに抱きついていった。ナイスボディーのFカップが! 目の前でたわわに実ったそれが、ラリーの身体に触れるごとにぷにぷにと軟らかく形が変わっていく。そんな様子を間近にこれぞと見せつけられ、しかもその触感も含めて夢心地の世界に連れて行かれるような。そんな中、ラリーですら一瞬、自制心が飛びそうになって行くのが手に取る様に分かった、真っ白で無垢な小悪魔が此処ここにも生息していたようである。

「ラリー、ありがとうじゃ。お主との初夜の為、わらわは全身くまなく隅から隅まで洗ってくるぞ、其方そちは先に寝具に入って待ってておくれじゃ、寝てしまっては嫌じゃぞのぉ」

「はぁ~っ! ウギ! 今日は初夜は無い! しかもどこに寝具があるって言うんだよ……っ」

 ラリーはおもわず突っ込みを忘れなかったが……。

「ほれ、そこ!」

 って、ウギが指さす先には大狼ガルムの『ヴァル』がその銀白色に輝く艶やかな毛並みをさらにフサフサと膨らまして巨体を長々と横たわらせていた。


 ――確かに、こりゃそんじょそこらの寝具じゃ太刀打ちできない一品ではあるが……。

 思わずラリーも唸った。しかも、ヴァルが悪のりして魔力念波でボケまでかましてくる始末だったのには……。


 ――んっ、ほれ、ラリー坊やこっちへいらっしゃい、教えてあげるわ、お・ん・なの扱い方を……。

 ラリーはただ、あんぐりとあごがはずれるかと思う程、大きな口を開けてほうけているしか無かった。

 ――ヴァルめ、後で覚えてろ! 


 取りえず、銀貨を2枚ウギに渡して温泉宿の方角に送り出した、日帰り温泉入浴なら夜間料金を足されても十分にお釣りが来るはずだし、余ったお金でもう少し身綺麗にしておけと彼女には言っておいた。温泉の方も日帰り温泉客目当ての深夜営業もしていた様だし、ひとりで大丈夫だろう。けど、最後に一言ウギには念押ししておく。

「ウギさん、今日は初夜は無い!」

 ウギは何故なぜだか素直に納得顔で頷いてくれた。妙に素直な程に。

「ラリー、わらわはわかったぞ、今日は無いのじゃな、きょ・う・は……うっふん!」

「はぁ~っ」 

 ――もう、突っ込みをかますのは止めておこう。

 いつまでもこれではらちが明かなくなるので、ラリーはとっととウギを送り出すことにした。


 ウギを送り出した後、残ったラリーとヴァルは焚き火を挟み向かい合って腰を降ろす。気まずい空気が一匹とひとり……いや、ふたりを包み込んでいた。


 バチバチと焚き火の音が木魂する中、ラリーは重い口をやっと開いた。

 ――ヴァルよ、何故わかった、俺の血の由来を……。


 ――そうねぇ……、まあ、その話の前に私の話をするわね!


 ――えっ、なっ、……わかった、それでいい……。


 ヴァルはラリーの話しの流れの腰をいきなりへし折ると、自分の身の上話から口を開き始めた。

 大狼ガルムの種族は元々魔界に於いて魔王族を守護する為に先々代の魔王が創った種族らしい。

 先々代と言っても、ひと世代数百年も生き抜く魔族であるから過去のことを長々と振り返っても仕方が無い。取り敢えず今起きていることだけでも把握しておきたいので話しを急ぐことにする。


 ヴァルは今の魔王『現魔女王の父親』が即位している時に生まれたらしい。

 その時から魔王家族の守護魔として育てられてきた。

 特に現魔女王エンマ・イラディエルの幼き頃は遊び相手として日々一緒に暮らしていたと言うことだった。

 まあ、今のヴァルの体躯では想像もつかないが『私だって幼き頃はあったのよ』と、幼女エンマと同サイズでじゃれ合いの友達感覚でいられた頃を懐かしむ様に夜空を見上げてラリーに話してくれていた。


 ――エンマがね、悪戯いたずらでいつも魔術をかけてきてたのよ、ある日のことだけれど隠れんぼの最中に鬼役(魔王女時代のことなので鬼役って言うのが妙に壺に嵌まる役柄だ)のエンマが必死で私を捜し回るのよね、あの頃は本当可愛らしかったわよ、ふたり共幼い時だから魔力気なんかダダ漏れでね、直ぐにお互いを見つけてしまうんだけれども私の方が先に隠匿魔術を習得してしまったから、エンマが中々見付けにくくなって直ぐに癇癪をおこしてしまうの。そんな状態でエンマのダダ漏れの魔力気に言霊ことだまが載っていることに気づいたの、『ヴァル~ヴァル?』ってね。金色こんじき言霊ことだまだったわね。最初は私の方が言霊ことだまを聞いているだけだったけれど、エンマもその感覚が解ってきたらしくて、そのうちにお互いの魔力念波が通じるようになったわ。


 ――ただひとつだけおかしなところが有るのね、私の魔力念波はエンマにしか通じなかったわ。同族のガルム、もちろん私の親兄弟にも、ほかの魔族達にも通じなかったの。


 ――たったひとり魔王だけは除いて。


 ――其れで解ったの私の魔力念波っていうか、それは多分その手前の言霊ことだまレベルで、しかも通じるのは魔王族の血筋だけなのね。だから、ラリー、あなたが私の魔力念波を読んだ時はただ々驚いたわ。まさか、魔王族の血を受け継ぐ人間がいるなんて思ってもいなかったから。


 ――教えて頂戴、あなたは何者?

次回【25-2話:ヴァルの身の上話し!】を掲載します

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