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英雄たちの回廊(Ⅱ)  作者: 松本裕弐
【元勇者と仲間達の回想録】
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【3話改稿:さて、起きるか!】

前回の一人称主人公表記から改稿してみたいとちょっとづつですが、弄り直し始めました。本来のシナリオは変わらない予定ですのでご容赦くださいますようお願いいたします。

 あれから更に数刻は過ぎたであろう。が、外からの光も少なく薄暗い部屋の状況では、今の時刻を予想することもかなわなかった。まあ、時間と言う概念が此の空間にあるのかも甚だ疑念ではあるのだが。

 まあ、急ぐ状況でも無いとのことから焦る訳でも無く、ただ単に苦痛に耐えるリハビリの先の光明こうみょうを探っている状況であることは確かだった。

 そんなこんなではあるが、何とか脳内からの指示が全身の筋肉へ伝わる状態、すなわち起きれる状況に、彼は幸いにもりつつある。

 まだ、動かされた筋肉からの沈痛なる応えはあったがそれでも耐えることの出来る痛みであり、それも数回ゆっくりと繰り返すことでその痛みも柔らいでくることも彼には解ってきていた。


「しかし薄暗い部屋だよな、いったいここは何処どこなんだろう?」

 その部屋の様相はまるで古代神殿の中のごとく石造りで出来ていて所々に明かり取りの窓のような穴が空いている程度だった、そのため採光が少なく薄暗い。広さは確実に武闘演舞ぶとうえんぶが出来るくらいの大きさがあり、彼が横たわっている寝台部分が部屋のちょうど中央に座位しているのが伺い知れた。


 天井は遠近感が霞む遙か上の方まで吹き抜けており、気持ちが良いほどの空間を成している。

 暑くもなく、そうかといって寒いわけでも無い。まだ身体からだが本調子でない事を加味しても心地良さが身体中をまとってくる感覚がある。彼が身につけている服といえばチュニック風の上着に七分丈程のズボンそしてベルトと腰巻きの様な前掛けであり、それも麻のような生地で出来ていて肌触りはすごく気持ちが良い。他には大きな毛皮のマントも羽織っていた、毛皮と言っても普通の獣の物では無く、何か途方も無く強力な魔獣の其れの様だった。


「……明かり窓の様相からは、夜ではなさそうだな」

 過去の記憶と言う観点からは知識として表現しにくい状況は変わらないが、彼の中では何故なぜか古代時代と思える雰囲気の中に置かれていると思えた。それじゃ、彼はいつの時代からの者かと思うかもしれないが、是と思える確固たる記憶は未だよみがえらず何故なぜか判ると言うような状況でただただ首を傾げるばかりであった。

「ご主人様、記憶の具合はいかがですか?」

 と、サギが問いかけてくる。

「良くわからないですね、なんか俺が今までいた所と大きく違う様であることは何となく認識出来るのですが、それ以上の事は……、まだ、思い出せませんね。すみません、サギさん」

「いいえ、ご主人様、まだ無理をなさらなくても結構ですから」

 サギの言葉の端はしから溢れて伝わってくるいたわりの気持ちが、その言葉丁寧ことばていねいさにつとに現れて彼の心は心底救われていたようだった。

「サギさん、少し起きあがってもいいでしょうか? だいぶ身体も動けるようになってきたようですし」

 彼はサギに許可を求める様に質問を投げかける。

「判りました、それでは起きる動作をお手伝いいたしますね」

 返答と同時に身体からだの中から暖かな「気」が満ちあふれてきて、まるで揺り籠から赤子を起き上がらせるような雰囲気が彼の周り包んでくれているのが判る。なんだかとても気持ちがふわっとしてきた。

「……んっ、なんだ、この感覚は?」

 あまりに驚いた表情をしたのでサギが大慌おおあわてをし始めた。

「ご主人様、あっ……あまりに補助が強すぎましたか? 申し訳ありません、すぐに補助魔術を解除いたしますから……」

 彼の驚き具合に何かを勘違いしたらしく、大慌てのサギの様子が、とても可愛らしく感じられたようだ。

「おいおい、サギよ……全く何を慌ててるのだ?」

「ウギさんは黙っていてください。どうせ私はドジですよ~!」

 なんか、また左右でひと悶着もんちゃくが始まる。

 まあ、今回は特に何が悪いわけでは無くサギに助力してもらうことを感覚としてつかめていなかっただけなのだけれども。

「サギさんも、ウギさんも……俺がたわいも無く焦っただけですから、ご心配には及びません」

 そんなこんなで、寝台から百年ぶりに彼は起き出して行動を始めることとなった。

★2017年版では、なろう事務局より「英雄たちの回廊」について当該小説がR18相当であるとの指摘を受けた為、第182部分までの初稿については【ミッドナイトノベルズ:N1050EN】への移設を行い、本稿のR15基準の不適切箇所について数カ所改稿致しております。

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