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英雄たちの回廊(Ⅱ)  作者: 松本裕弐
【元勇者と仲間達の回想録】
24/187

【19-2話改稿:サギーナの日記編(リアーナ嬢との出来事)】

前回の一人称主人公表記から改稿してみたいとちょっとづつですが、弄り直し始めました。本来のシナリオは変わらない予定ですのでご容赦くださいますようお願いいたします。

「サギーナ! サギーナ! ねえっ、聞いているの!」

 ――そんな私の心をまた、あの呪術が覆い尽くそうとしている。思わず、きつい目つきでお嬢様を睨み付けてしまったわ、でも仕方が無いわよねラリー様、そんな私の事を彼は呆れるかしら。


 淡い想いの中にいたサギを無理矢理引きずり出した言葉に反射的に怒りが顔に出た。思わずサギはリアーナを目を吊り上げながらその目力で射貫いていた。

「……! な、なっによ! 文句あるの! 平民のくせに!」

 ――あっん! もう! 限界! です。言っちゃいます! ごめんなさいニコラス様。まだ出発前だというのに……。


 サギは睨み据えたその目を閉じてひと息深呼吸すると、カッと目を開き直してリアーナに対峙し彼女にゆっくりと告げた。

「お嬢様! 私は確かに、平民上がりのしがない魔術師です、でも今回は貴女あなた様の身辺護衛として同行させていただいております。この先、魔獣が俳諧している森の中への道すがらもありますから、あまり無碍むげにされると私とて心の弱い人間です、お嬢様の護衛心に、ぶれが出てきても責任持てませんことよ! いいですか、伯爵様ご令嬢ともある貴女あなた様の人柄が、リッチモンド家の領民の幸せを創っていくことをお忘れにならないことですね!」

「……なっ! なによ! おっっ、脅す気!」

 ――あれっ、お嬢様なんか、怯えてませんこと? ワタシソンナニキツクイイマシタカ?

 ――もしかして、このお嬢様って今までの高飛車女の装いは自分の弱さを隠すためかしら? 本当は誰かに寄り添いたいのにご令嬢という気位が足枷になって、あんな風に常に他人に対して攻撃的な言動を取るようになったのかしら? そういえば『白気』のオーラって言ってたわね『黒気』から『白気』の間のグレーになる部分が……ここの精神制御は黒魔術との近接相性になりやすいからその影響もあるのかしら? 

 サギはそんなことを心の中で考えながらも、ぼーっと窓の外を何を見るとも無く眺めていた。するとラリーが小隊の聖騎士長の人と立ち話をしているのが彼女の視界に入ってきたのに気が付いた。

 ――ラリーさん、また逢えた……。でも昨日の事を良く覚えていないの……、私……ラリーさんに酷いことしてなかったかしら? 逢いたいけど逢うのが怖い、嫌われたくない……あっ、こっち見た! ラリーさんの目線が、私の事を見つけたのがわかったわ。自分の頬が、顔が少し火照ってくるのがわかったの。


 サギはラリーと目が合ったとき軽く会釈をしたつもりだったのだが、何となくその時のラリーの顔がこわばった様に彼女には見えたので少し心配になったらしい、やはり昨日の出来事はラリーにとっては迷惑だったのだろうかと不安な気持ちが彼女の心を捕まえて離さなくなってきていた。その為つい、ふっーと大きなため息がサギの喉をついて出てきた。

「……えっ! な、なっにぃ、こ、こっんどはため息! なに……っよ!」

 ――あっと、お嬢様の事を忘れていたわ! 貴方かれに気を取られて自分のすべき任務を放棄しては魔術師の名折れになりますわ。あらためて気を引き締めることにしますの。

 ――まずは、このワガママお嬢様の心の矯正ね! なんとかしましょう! けど、お嬢様は名刀「辛辣言葉刃」は鞘にしまわれたのかしら? 最初のころの刺々しさが随分、影をひそめているわね? しかも、何かうじうじしてるし……。


 リアーナの態度に何処となく、そんなことをサギが感じ始めていると馬車が緩やかに動き始めた。出発時刻のようだった。

 伯爵令嬢のリアーナを乗せた馬車は三座席の大型の移動応接室のような造りとなっていた。外で馬車を操っている御者の座席と客室には仕切りがあった。その仕切りを背にしてサギが座わり、その彼女の目の前にリアーナが座っていた。


 ――馬車の進行方向に向かって、お嬢様はお座りになっていらっしゃるのですけれど、ひとり座の長いすにちょこんと背を丸めて、まるでしかられた子猫みたい。そのさらに後ろの座席にはお嬢様のメイドさんがお二人並んで座っていて……そのひとりがさっきリアーナお嬢様にいじめられていたメイラーさんなの。メイラーさんは今のお嬢様の様子を見て、目をパチクリしているわ、なんかすごいものを見た! っていうような顔で……。何故なぜかしら?


 馬車の中で手持ち無沙汰にくるりと様子を見渡したサギはそんな事を思っていたが、何となく。それもリアーナのひと言で現実に引き戻された。

「やっと、出発っなのっ! まちくたびれたわ。ほんと……」

 ――リアーナお嬢様は、車窓から外を見ながらふーっとため息をついていらっしゃるわ。言葉にはまだ若干棘があるけど、さっきより少しは落ち着いたみたいだわ。


次回【19-3話:サギーナの日記編(リアーナ嬢との出来事)】を投稿予定です

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