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英雄たちの回廊(Ⅱ)  作者: 松本裕弐
【元勇者と仲間達の回想録】
175/187

【85-5話:大公様失踪事件?!】

 俺とサギそしてヴァルはその文面ににわかに色めき立った、しくもさっきまでエンマから聞いた話しをしていた中のあの神魔殿の名前が出てきたんだ。ウギとマギとロミルダ嬢は未だその話しを知らないので俺達がいきなり騒ぎ始めた事に当然訳もわからずキョトンとしていたが……。

 俺はさっきまでサギ達と話し込んでいた情報をみんなで共用することを提案した。ウギとマギ、そしてロミルダ嬢も其れには一も二も無く同意だった。只、ロミルダ嬢はそのことを自分にも教えて貰うことに少し躊躇いがあったようだったがサギが有無を言わさずに仲間に引き入れてきた。

「わたしがラリーさん達の秘密を其処まで聞いても良いのかしら? ちょっと迷うわ……ねっ? サギっ?」

「ロミったら今更よ、此処まで来たら一蓮托生よ、覚悟して付いてきてね」

「覚悟って言われてもね~ぇ、ラリーさん本当に良いのかしら?」

「まあ、サギの言う通りだと思うよ――でも、君が嫌なら無理強いはしないよ」

「あら、ロミには優しいのね――相変わらずそういう所が憎らしいのよね、そう思わないことウギ」

 サギがちょっと前に俺に憤慨していた事を思いだしたかのようにウギを引き入れて共同戦線を張ろうとしているのが一目瞭然だった。只そんなサギの思惑を物ともせずウギが空気を読まないまま口走る。

「サギの憂いは何となく解るがのぅ、でもわらわはラリーを信じているだけだからなんの事はないんでの~ぅ、でなんの話しなのじゃ?」

「…………」

 ウギに話しを振ったのが間違いだったと項垂うなだれているサギを置いて俺はさっきまでの話しをこの場でみんなに喋り始めた。

 そうエンマ・イラディエル魔女王の魔界で置かれている今の状況、それと俺の『覇王気』の秘密を……。


 淡々と話しを続けた俺の告解の後、重々しい雰囲気がその場を覆った。その空気を破ったのが何の事は無い何時もの調子のウギのひと言だった。

わらわはあのエロ爺をあの時その場で切り倒しておけば良かったのじゃの~ぅ、じゃあ今からそうしてくるのじゃ」

 と、おもむろに立ち上がりその場から直ぐにでも飛び出していこうとするウギの肩を無理矢理に押さえてサギが話しを繋いでくれた。

「ウギったら、そうじゃないのよ――まずは待ちなさいってば~ぁ」

「なんじゃサギ? わらわは奴をば、締めてくると言うているでは無いか邪魔立てするのかのぅ? お主は」

 俺はサギの言葉の続きとしてウギも含めみんなに向かって自分の気持ちを伝えておくことにした。

「ウギもサギもマギも、そしてヴァルにロミ――みんなにひとつ言っておきたいことがある。是からの事は今までのように楽な闘いとは為らないと思って欲しい、今までもそれなりに危機はあったけどそれでもだ。今回は相手が相手だ――魔界が相手となる、その難しさは過去とは雲泥の差だと思ってくれ、それでも俺はみんなについてきて欲しいと思う、みんなの力を俺に貸して欲しい」

 そう告げるとその場でみんなにあたまを下げて俺は頼み込んだ。唯々そうするべきだと思った、こうべを垂れて下を向いたままみんなの答えを待っていた。が、なんの反応も返ってくる様子が無かった……痺れを切らして目線を持ち上げるとサギを中心にみんなが集まってなんやら相談している風だった。


「だから、この間さぁ~みんなで女子会した時の話しよ――ウギは覚えているよね」

「あ~ぁ、わらわかサギかって言うことかのぅ」

「そうそう……違うって、是だけのメンバーであれだけ色っぽく迫ってもラリーなんか露程つゆほども乗ってこないじゃないのって話しよ」

 サギがなんか興奮したように話しをしている。が、……なんだなんだ? マギが其処に口裏を合わせるように切り出してくる。

「そうよね~ぇ、ラリーってばどんなにエロっぽく雰囲気を作ってもその場では結局……ならないものね、自分の魅力に自信を無くすって言うか、時々腹が立ってくるしさ~ぁ」

「そうなのよ、で~ぇさっきの話しの続きだけど、ラリーったらやっぱりもしも子供が出来たらってことで自制していたって言うみたいなの――しゃ~しゃ~とね、流石さすがにちょっとはむかついたわよ私も」

「そうなのサギっ? ラリーの子を身ごもりたいってみんな言ってたわよね――私だってそうだもんね。強くて優しい子供が出来るって思っているわよ」

「でしょうでしょ~ぉ、マギって話しが解るわよね――其れなのにさぁ、自分のような化け物が生まれるっていうのよラリーったら自分の事を化け物って、それって酷くないそういうの私達が大好きなラリーの事を自分で化け物扱って」

「えっ! サギっそう言ってたのラリーって」

「そうそうヴァルも一緒に聞いていたから――マギに話して聞かせてよヴァルてば」

「そうなのよマギっ、あたしも聞いたわよ! ラリーたら魔王族の血を受け継いでいるのを知って躊躇しているみたいなの、魔王族の呪いの血筋ってね」

「そうすると『魔王族の血の掟』ってことなのか――それじゃエンマかヴァルが有利って事かのぅ、わらわ達は蚊帳の外に置かれるのかのぅ――嫌じゃ!」

「でしょうウギの言うのも尤もだと私も思うわ、ヴァルが羨ましいわ」

「サギっ! あたしはその言葉をそっくり其方にお返しするわよ――ラリーの一番はなんだかんだ言ってもサギなのよ」

「そう言って貰えるのは嬉しいけど結局ね~ぇ、手も出して貰えていないわ私なんか――其れだから未だに殿方とのがたとは……もう耳年増になっちゃうわ」

「サギってそうなの? てっきりもう……経験しちゃってるのかと」

「ロミっ! あなたは黙ってて!」

 おいおい! なんの話しになっているんだ。俺のお願いに――誰も応えてくれないのか?

「サギっ! ウギっ! マギっ! ヴァルにロミさ~ん、お~い俺の話はね~ぇ」

「「『うるさい~ぃ、ラリーの朴念仁! みんなの想いはもうあなたの想像の更に上をいっているの! ついてこいって私達には当たり前なのよ今更なの、みんなついてこいよも~ぉ』」」

 俺に向かってみんな揃って叫んできた。お~い、この間俺を無理矢理に追い出してみんなで話しをしていた女子会の事ってそれなのかい?

「当たり前でしょうだって女子会って、読んで字の如く(ラリーを)すき会って事だものね~ぇ、みんな」

「『そうよ』」

 サギがそう言ってみんなの気持ちの総括してきた。最後はそう言うことになるのか? 良いのかそんなんで?

次回【85-6話:大公様失踪事件?!】を掲載いたします。

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