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英雄たちの回廊(Ⅱ)  作者: 松本裕弐
【元勇者と仲間達の回想録】
169/187

【84-5話:聖都テポルトリにて!】

 エンマ・イラディエル魔女王の話しは彼女の――魔族の部下の調査した情報だった。

「私も信頼の置ける部下の調べを、今まさに待っているところだわ。私の方も大公にこの国での大魔力の発生部位の調査の件を持ち出した手前もあるから、まあそれら結局のところラリー、あなた達の事だったんだけどね。今においてそうわかった事としてもこの事を私から話しをした為に大公に何らかの影響を与えたと自覚はしているからイェルハルド・リトホルム公爵の行方不明の事件は気になる情報として捉えていたわ」

 と、エンマの告知は俺の中のもやもやとした部分を晴らしてくれる内容だった。

「ラリーは知らないかもしれないけれど、此処の国、そうベッレルモ公国には魔界にとっても結構重要な神魔殿があるのよ。そう、その昔に魔界と人間界のいさかいの際に魔族側が人間界に創ったと言われる聖なる神魔殿――ペルピナル神魔殿が」

 ペルピナル神魔殿? 初耳だった、神魔殿って何だ?

「あっ、先に言っておくけど神魔殿って言ったって――そう、人間界によくある神殿のようなものよ外観はね。魔族の所有で神殿って言うのも何でしょう。だから、神魔殿って言っているのよ。まあ、聖なる神魔殿って人間族は言っているけど……言葉が可笑しいでしょう」

 は~ぁ? なんだなんだ?

「ただね、其処は魔族の神魔殿と言われるだけの事は有るのよ――其れは其れでね、ラーちゃん」

 そう言いながらエンマはニッコリと微笑んで、其れこそ軽くハートマークが浮き出てきそうな柔らかなウインクなんぞをくれてきた。

「そのペルピナル神魔殿とやらと大公様の事件との関係は何なんだよ?」

「そう焦らないの――サギが言ってなかった? は嫌われるわよって」

 おい、其れは絶対違う意味で言っているだろうエンマ! と、思わず突っ込みそうになったが何とか思い止まることが出来た。此処で突っ込んだら其れは其れは彼女の思うがままに話を逸らされることは明白だったから。

「――チッ、(乗ってこないか)」

 あっ、今……舌打ちしたな、しっかり聞こえているからなエンマさん。

「あのね~ぇ、エンマ・イラディエル魔女王さん、聞こえてますからね」

「あら、何のことかしら? ラーちゃんったら、空耳よ。嫌だわね~ぇ」

 エンマはそう言って引きつった笑顔のまま視線をあらぬ方向に泳がせていた。わかりやすい性格は昔と変わっていなかったね。

「話を戻すぞエンマ。その神魔殿に何があると言うんだ?」

「ふ~っう……わかったわよラリー。話すわよ、でも聞いたからと言ってへこまないでね」

 んっ? 俺がへこむ話しって――何なんだ? 一体?

「私が魔女王って言う事自身が結構魔界でも無理しているのよ――色々とね。父の前魔王が早々に隠居したのも其れが一因なのよ、もともと前魔王の血筋として私以外に魔王の継承者が居なかったからここぞとばかりに名乗りを上げてくる魔王族が居るのよ、結構ね。其れで前魔王としても力がまだある今をして私に王位を継承させた訳よ。わかる? 私の辛い立場を……ラリー……替わってくれないかなラリー魔王様! 王位継承者は男子が好まれるのは何処の世界でも同じなのね」

「エンマほど魔力を持ってしたら実力で勝ち取れる地位だろうに――何を弱気な」

「恐怖政治は魔人族のお家芸だけど、其れは其れで色々と逆恨みやら憎悪を招く元だわ、だからそういう事はしないと決めたの私は、そうすると甘ちゃんとみられて付けいる隙も結構あるみたいなのね是がね」

 そう話しをすると大きく溜息を彼女は付いた。本当に嫌がって居るようだった彼女の今の状況を……。

「だからね人間界では有ってはならないほどのラリー達の大魔力が魔界で検知されたことで二つの勢力が魔界で動き出したのよ。ひとつは人間界に生まれたその大魔力を恐れる魔人族と、もうひとつはその大魔力を利用してエンマ魔女王を亡き者としようとする反体制派の魔王族とにね」

 エンマの話しは俺達が巻き起こした災いとも言える内容だった。

「そ、そうなのか? 俺達が――悪い、謝る!」

 その場で素直に魔女王に頭を下げて詫びていた俺だった。

「あっ、ラリーが何をしなくてもその内そうなる要因だったのよ、気にしないで良いからね、其れとサギ達には内緒ね、いらない気を彼女達に回されるのは嫌だから、私」

「ああ、わかった。サギ達には言わない」

「ありがとうラリー。其れでその前者は私が話しをつけてって、まあ大魔力の要因がラリーあなた達だって言う事で素直に『私の将来のダーリンと決めた幼馴染みが魔力源の元だったから安心して下さい』って説得して簡単に解決したのだけれど、後者は元々話しを聞く奴らじゃないから、その魔王族が今その話題のペルピナル神魔殿に集結しているらしいの――ちょうどその件の追加情報待ちって言うところ、でね、最後の情報がその話しにステファン・リトホルム卿が魔王族の反体制派に絡んでいるって言う噂があるのよ、此処はまだ未確認情報だけどラリーが知りたいのは此処の事でしょう」

「えっ!」

 俺は目を見張ってエンマの顔を覗き込見ながら叫んでいた。

「何だって?」

次回【84-6話:聖都テポルトリにて!】を掲載いたします。

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