【10話改稿:ウギ&サギで絡み酒コンビ再結成です!】
前回の一人称主人公表記から改稿してみたいとちょっとづつですが、弄り直し始めました。本来のシナリオは変わらない予定ですのでご容赦くださいますようお願いいたします。
百年前にちょうど此処でこの場所、この神殿で魔女王と対決した。
何の因果だったんだろう、べつだん彼は国を背負って戦う様な立場では無かったし、ましてや魔女王なんぞに刃向かう義理も無かったはず。単なる冒険者で、まあ人並み以上の強さは持っていたことから魔物や野獣の狩人として雇われることも少なからず有ったことは確かのようだったが。
貴族の位や役人の暴利で支配される王国や公国の矛盾とは立ち離れた生き方を求め、自分自身の力と自分の信じる者達のことを唯一の拠り所として生きる場所を求めて旅していた単なる冴えない一人の青年でしか無かったはずだった。
「ラリー……ってば、ねってば、お・さ・け……お替わり頂~戴!」
「サギよ、ちっと飲み過ぎではないか? おまえは酒乱だからの、控えたほうがもうよかろうに!」
「……い・や!! サギはまだ酔ってないもん!」
「………!」酔どれサギの応答にウギも流石に白旗を揚げたようだ。
ワインをがぶ飲みして、すっかり出来上がったサギにラリーとウギが絡まれる状況になっていた。
――まったく、昔から酒に弱いくせにワイン好きなのは変わらないな~! こいつ! へべれけ状態でまぁ……あれだね、胸元が非常に無防備な状況なんですけど、足下も衣服が太腿までめくれ上がって非常に眼に良い……もとい、眼の毒なんですが! サギさん!
と、心の中でそっとラリーは呟いていた。
みんな未成年のはずだが、まあこの国の法律では飲酒年齢制限法みたいなものは無いから、後は道徳観念だけなのだが、其処は元冒険者達のことお酒で和む気持ちもわからんでも無い。。
ウギもほろ酔いで頬なんか薄らと紅潮して、やけに艶っぽい表情になってきてる、こっちも大丈夫なのだろうか?
「なぁ…ラリーよ、妾はさみしかったぞ、ほんと、ぐすっ! ずっと待っておったのじゃぞ! ぐすっ…うぅぅ……!」
――ああ~っ、ウギは泣き上戸かよ! 二人まとめての介抱はキツいな、まったく。
「もう、二人とも、もういい加減に飲むのやめんか!」
「……い・や・だ・もん!」「……い・や・じゃ!」
――こんなところでハモるな~! っつうの!
「サギ~! 長かったの~! こいつの守り役! 話しかけたって、何も反ってこぬしの~! うぃっ!」
「ウ―ギーっ! そう―よ―ね! ほん―と長かったね~! 今日のワインは本当に美味しいね~!」
「おい! ラリー、妾達の酌では飲めぬと申すか? もっと飲まんか! たわけが!」
「そうよ! ね~っ! こんな綺麗どころが揃っているのにねぇ~、手も出さない奴なんて意気地無しよ…どう…うふっん! ほらっ、隣に来てよぉ! ねぇってばぁ!」
「おい、サギそれじゃ胸の谷間もろ見えだし…ウギもそこで脱ぐな~!」
「だって暑いのじゃぞ! 上はこれ一枚だし、脱ぐしかないじゃろう。んっ、それとも二人っきりがよいのか? ラリー?」
「ウギさん、脱ぐのだけはやめてください、お願いします」
――おいおい、ウギまで絡み酒になってきたな、これは参ったな~! まあ、こいつらのお陰で今が有ることだし、今日くらいはいいか…!
「くそっ、こうなったらやけ酒だ! 俺も、もっと飲むぞ……!」
明日からはこいつらには酒なんぞもう飲ませない、とラリーがひとり心に決めた一夜となったのであった。