表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異能力者達の能力事情  作者: チスペレ
8月12日~13日 光輝
9/83

高校生能力者の歓迎会 後編

誤字脱字はお気になさらず。急いで書いたのであるかもしれません。

 7時10分

 「とりあえず中に運ぶか」

 気を失っている真を引きずって部屋に戻ることにした。しかし、

 「思ったよりも重いな」

 一見真は痩せているが予想以上に重い。これを僕一人で運ぶのは困難だろう。

 「優子さーん」

 こういう場面で女の人に頼るのはなんだか気が引ける。しかし、真をこのままにしてもおけないので優子さんに頼ることにした。

 「なーにー?」

 すぐに部屋から優子さんが顔を出した。

 「真さん運ぶの手伝ってもらえますか?」

 「なんだ、そんな事か。ちょっと待ってて」

 優子さんは立ち上がるとすぐに僕らの元へやって来て、真の右肩を持った。

 「光輝くんは逆をお願い」

 「分かりました」

 真をニ人係で引きずって部屋まで持っていき、壁のそばに寝かせた。

 「おい、真。起きろ」

 優子さんが真の肩を揺するとニ秒もしないうちに真がカッと目を開き、仰向けの状態のまま飛び上がった。そして、空中で体制を変えて、仁王立ちの状態で着地した。

 「杉山真!復活!」

 ……仰向けのまま飛び上がるのはどうやったのだろうか。根本的に優子さんに触られただけで何故そこまで元気になれるんだ。

 「唇はもう大丈夫なんですか?まだ腫れてますけど?」

 「いや、全然痛いよ!こうやって喋ってるだけでも体が張り裂けそうだよ!」

 真は親指を立てて唇を動かした。ニッと歯を見せて笑っているつもりかも知れないが唇で歯は全く見えていない。

 「さて、また誰かさんに殴られないうちにちゃっちゃと解除するかな」

 真は目を閉じ、静かに壁に触れた。そして小さな声であーあー、と呟き自分の声が戻っているのかを確認する。

 「うん、やっぱり自分の声が自分から聞こえるというのは素晴らしいね」

 「さて、真も復活したし。歓迎会に戻ろうか」

 優子さんが言うと、僕らは元座っていた場所に戻る。

 「あーあ、誰かさんのお陰でタラコ唇だよ」

 言うまでもなく誰かさんとはロマーヌの事を指しているのだろうが、当のロマーヌは真の顔すら見ることもなく黙々とそして、モグモグと口を動かし続けている。

 「無視かよ。まあ、殴られるよりはましか」

 真も食べ始めようとするが唇を開くのがとても痛そうで手こずっている。

 「じゃあ、引き続き光輝くんに質問をしようか」

 「俺はいいや。腹減ったし」

 「私モ無イナ。壁殴ルノ疲レタシ」

 「えー、無いの!?それだと話すことも無くなって気まずい雰囲気がながれるよ!?」

 質問が無いだけで気まずい雰囲気が流れるとは思えないけど、ここは僕から質問してみることにした。

 「じゃあ、僕からいいですか?」

 「うんうん、全然OK。誕生日からスリーサイズまで何でも答えてあげるよ」

 「探偵の仕事って何やるんですか?入ったはいいけどよく分からないんです」

 僕の質問に対して口を開いたのは優子さんではなく真だった。

 「依頼の内容によって大分変わる。探偵なんて俺らが自称してるだけで何でも屋みたいなものだよ」

 真は炭酸を1口飲むと再び話し始めた。

 「それに、その依頼自体も週一で来ればいい方。流石にそれだけでは食べていけないから俺はバイトもやってる。ロマーヌはパン屋が本業でこっちはたまに手伝うくらい」

 真が淡々と言う。なんだか思ってたよりも現実的で儲かっていないのがよくわかる。

 「そんな夢のないこと言わないの!今は儲かってなくてもいつかは儲かるから」

 「少なくとも今は儲かってないから光輝もバイトなり他の収入源は確保しといた方がいいぞ」

 収入源。このまま父親の元には帰らずに生きていくとしたら確実に必要になるものだ。優子さんの下で働くことになって少し安心していたが、他の収入源か。考えておかないといけない。

 「大丈夫。寝るところはここにあるし、ご飯はロマーヌがパンくれるし、残りの光熱費とかくらいなら何とかなるから!……娯楽とかには使えないけど……」

 「割とギリギリな生活してますね!?」

 優子さんはムッとしてパンパンと手を叩いた。

 「もうこの話はお終い。他に何かある人」

 「じゃあ、俺の隠し芸でも見せるかな」

 真が得意げにいうと肩を回し始める。

 「光輝、舌出してくれ」

 「え、舌ですか?」

 「そうだよ、別にディープキスする訳じゃねえよ。お前の舌に少し触るだけだ」

 隠し芸じゃなくて隠しゲイの聞き間違いなのかと少し疑ったが、考えなかったことにして舌を出す。すると、すぐに真の手が舌まで飛んできて親指と人差し指で掴まれた。

 「気持ち悪いだろうけど出来るだけ早く終わらせるから少し耐えてくれ」

 真の言う通り人に舌を掴まれるのはなんとも言えない気持ち悪さを伴っている。しかも掴んでるのが男なのだからまたそれが気持ち悪い。

 「よし、終わり。多分出来てる」

 真が僕の舌から手を離すと何の躊躇もなく唾液の着いたその手で真自身の舌を掴む。

 「ええ!本当にゲイなんですか!!?」

 「うるせえ、おれだっていやだよ!」

 舌を出しているせいか聞き取りにくかった。そして、真は自分の舌からも手を離す。

 「よし、できた。光輝、何でもいいから食べろ。何食べたか当ててやるから」

 真は後ろをむき、机が見えない状態になった。

 「じゃあ、これで」

 僕はピザを1切れ取り1口かじる。

 「えっと、ピザか?トマトが入ってるよな?」

 「はい、正解です」

 「ね!凄くね?」

 ……確かに凄い。しかし、種と仕掛けが予想できてしまう。先程の壁と同じようなものだろうし、それを見てしまっているからインパクトも欠ける。

 「僕の舌の役割を真さんの舌に移したってことですか?」

 「いや、惜しいけど違う。今のは役割を共有した。さっきのは役割を移した。同じパーツなら役割も共有出来る」

 ……またよく分からなくなる。

 「別の例で言うと腕と腕を今みたいに共有すると片方が動かすともう片方も動く。そんな感じ。深く考えるな」

 「そうさせて頂きます」

 先程取ったピザを食べ始める。

 「それで、解除したいからもう一度触らせて」

 マジかよ。




 8時12分

 「優子」

 グラスを持っていた優子さんはロマーヌの方を向く。

 「どうしたの?」

 「ソロソロ帰ッテイイカ?」

 「明日もパン屋?」

 優子さんからの質問にロマーヌは黙って首を縦に振る。

 「そう、じゃあ、そろそろ私達も解散する?」

 「え?まだ8時ちょっとですよ?」

 「でも、もう話すことは話したし、ロマーヌも明日仕事あるみたいだから、解散しといた方が良くない?」

 「…確かにそれもそうだな」

 「僕はどっちでもいいですよ?」

 「じゃあ、解散!」

 優子さんが解散宣言をするとロマーヌが立ち上がった。

 「ジャアナ、マタイツカ」

 「うん、またね。下だけど部屋までおくってくよ」

 ロマーヌについて行くように優子さんも立ち上がり部屋を出ていく。部屋には僕と真だけで、ひっそり閑として始める。

 「俺らも帰るか?」

 真の発言が沈黙を破る。

 「そうですね」

 僕らも立ち上がり玄関へと向かった。

 「あ、そうだ」

 玄関へと向かう廊下で真が呟き、こちらを振り向く。

 「どうしました?」

 「お前、今日からここに来たんだろ?足りてない物とかあるか?なんかやるよ」

 「足りてない物ですか?」

 足りてない物。考え始めたら切りがない気もする。しかし、昨日からシャワーを浴びていない…。

 「とりあえず…タオルが一枚欲しいです」

 「タオルか、その位ならいくらでもやるよ。俺の部屋まで付いて来い」

 玄関を出て誠の部屋へと向かう。

 「じゃあ、そこで待っててな」

 真は夕方のように扉を蹴り、中へと入っていく。

 ……本当に毎回扉と勝負しているようだ。

 今回は扉が半分の辺りで真がもどってきた。

 「今回は勝てましたか?」

 「そりゃあ、圧勝だよ。はいこれタオル」

 真が黒色のタオルを僕に渡した。タオルはしっかりと洗濯されているらしく、いい匂いがする。真ん中に「将来の夢は素敵なお嫁さん♡」と白文字で書かれてることを除いてどこにでもあるタオルだ。

 「その文字は気にするな。貰い物だから」

 「そ…そうですか……ありがとうございます」

 真以外にこれを買う人間がいると思うと世界の広さを感じる。

 「じゃあな、また明日以降」

 「はい、おやすみなさい」

 真は部屋の中へと戻り、自然に扉は閉まった。

 デザインはともかくちゃんとタオルをくれるのだから真はいい人だと思う。

 自分の部屋へと向かおうとすると階段から優子さんが上がってきて、僕に気づいた

 「あ、光輝くん。今日はどうだった?」

 「とても楽しかったです。真さんとロマーヌ、大家さんとも知り合えましたからね」

 優子さんはそれを聞くと、とても嬉しそうに歯を出して笑った。

 「良かった〜。みんなとも仲良さそうだし、私も嬉しいよ」

 「はい、あの時優子さんに話しかけてもらって、泊めてもらえて、そして、知り合えて良かったです」

 「うん、そうだね。私も部下が増えたし嬉しいよ。じゃあ、お休みね」

 「はい、おやすみなさい」

 優子さんとすれ違い、互いに自分の部屋のドアノブを持つ。

 「あ、光輝くん。仕事が来たら電話するからそれ以外は自由にしてていいからね」

 そう言うと、僕の返事を待たずに自分の部屋に入っていった。

 「仕事か……」

 僕も部屋のドアを開けた。

 「くっさいなー」

 最初に開けた時と同じように異臭が漂う。しかし、こんなもの気にしていられない。僕は堂々と部屋の中へと入っていき、荷物の置いてある部屋へと向かった。

 「さて、どうしようか」

 まだまだ寝るには早い……。バックの中を見ると文房具とノートが目にはいった。

 「日記…でも書いてみるか」

 ノートとシャープペンシルを取り出す。そして、家出してからの出来事を書いた。机が無いので床で書く。

 内容は簡単なもので、数分で書き終えた。

 「さて、シャワーでも浴びるかな」

 シャーペンを置き、風呂へと向かった。


はい、中途半端です。自分でもそう思います。しかし、光輝にやらせたいことはちゃんとやらせましたし、伏線もはってきましたから当分は光輝の出番も少ないでしょう。

次回からは優子目線での話になります。



投稿のペースですが、日曜日と1週間のうちにどれかにしようと思っています。毎日投稿したいのですが、他にもやることがあるのですいません。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ