高校生能力者のおつかい
いつも通り誤字脱字(ry
今回はいつもより短めです。
4時20分
「じゃあ、これ買ってきて」
優子さんはメモを渡す。メモには飲み物以外にもお菓子などたくさんの物が書いてあった。
「場所はどこでもいいからさ。頼んだよ」
優子さんは扉を閉めた。
どこでもいい、と言われてもこの辺りでこれだけの物を揃えようとするとあそこくらいしかないだろう。
4時42分
着いたのはスーパーマーケット。
この時間帯は主婦やたくさんの人で賑わっていてると思ったがそこまで人もいなかった。しかし、一つだけ人だかりが出来ている場所がある。何かの安売りでもしているのだろうか?気になったので行ってみることにした。
そこには、男を中心にして子供達が集まっていた。その男性は黒色のタキシードを着ていて笑顔でジャグリングをしている。いわゆる大道芸人というやつだろうか。しかし、男はジャグリングをやめた。
「では、次で最後になります」
周りの子供達からはえーっという声が上がる。
男は鞄から液体の入ったペットボトルと紙コップを取り出した。
「では、この種も仕掛けもない水を紙コップに注ぎます」
男は言葉の通りに紙コップの半分位まで水を入れるとペットボトルを置き、紙コップの中身を僕らに見せる。
「それではいきますよ〜、一瞬ですのでしっかり見ててくださいね?」
男は明るい声で言うと紙コップに手を被せ、ひっくり返した。僕を含めそこにいた全員が唖然とする。
しかし、垂れてくるはずの水は一滴も垂れてこない。
男はニコリと笑うと、紙コップを上にあげる。すると、男の手にあったのは氷だった。子供達から歓声が上がる。
「では、この氷をどなたかに差し上げたいと思います」
子供達は自分だ、自分だと手をあげる。
「あ、そこの男の子」
男はその男の子に指をさす。その指は僕の方を指している。僕は左右を確認するが男は僕しかいない。僕は自分に指をさし、「自分ですか?」とジェスチャーする。
「そう、そこの大きいキミだ」
……なんで僕なんだよ。欲しがってる子供にあげればいいじゃないか。
「じゃあ、前に出てきてもらえるかな?」
男は手招きをする。指名さてたのだし一応、受け取りに行くことにした。僕は子供達の間を縫うように進み、男の元にたどり着いた。
「よく来てくれたね。はい、プレゼントだよ。手を出して貰えるかな?」
僕は言われた通りに手を出した。そして男は僕の手のひらに氷をのせた。しかし…、全く冷たくないのだ…。確かに見た目は氷だ。触れるまで疑う余地もなかった。
「流石に気づいただろ?」
男はさっきとは裏腹に低く、僕にしか聞こえないであろう声で言った。
「そうだよ、冷たくないのだ。これは氷であり、氷じゃない、紛い物の氷だ」
「紛い物の氷ですか?」
僕も男にしか聞こえないであろう声で訪ねる。しかし、返事はなかった。
「では、またいつか!」
男は声は明るくなり、子供達へと向いていた。子供達はそれが合図のようにちらほらと帰っていった。
ここにはもう僕とこの男しかいなくなり、男は片付けをし始めていた。
「それで、紛い物の氷ってどういう事ですか?」
「すぐにわかるよ」
男は片付けをしながら答える。明るい声だ。そして、片付けが終わったのか立ち上がり、僕の方をみた。
「じゃあ、またいつか会えたら」
そう言うと男は立ち去った。結局なんだったのか。
その時、手に違和感を感じた。見ると、氷は溶け、水に戻っていた。さっきまで冷たくは無いもののしっかりと固体だったものがこんなに急に液体に戻るはずがない。これが紛い物の氷ということだろうか?
僕はこの時、一つの疑問がうかんだ。この液体は本当に水なのだろうか。確かめる方法ならある。匂いを嗅げば分かるはずだ。
僕は手に残った液体に鼻を近づける。
……水だ。正真正銘ただの水。しかし、何となく予想はしていたが微かに香る能力の匂い。さっきの氷は能力で作られたということだろう。しかし、あの男はもういない。どんな能力なのかはわからなかった。
2016年となりましたが、話の内容が夏なのでなんか感覚がくるいます。「夏にこんなのないだろ!」と思うかも知れませんが、夏なんてことは気にせずによんでください。