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状態統括者とradian

なんだかんだ週一のペースに戻っているので週2にもどしたいっすね


 公園のトイレはこの世で一番不潔であり、最も自由な場所の一つだと俺は思っている。

 縁に転がった空き缶やゴミ。壁に描かれた卑猥な落書き。もやは無法地帯だ。公共の場ということもあってか、何をしたっていいという気持ちにさせる。

 そんなアメリカのような場所でも、誰もやらない事はある。

 「ちくしょうやっぱ狭いな」 

 いつもなら何も思わないが、松葉杖を持って入るとそう感じる。

 俺は散産堂から少し離れた公園の個室トイレに入っていた。 入口に“使用禁止”の張り紙が付いてる分、汚くは無かったが、トイレ独得の異臭はなぜか拭えない。

 俺は負傷していない方の足を和式の便所に突っ込んだ。ピチャッと水が跳ねる。気分は最悪。マゾか、そっち系の奴以外は俺と同感だろう。

 ほとんど使用されてないはずだから汚くはないと、自分に言い聞かせる。 どちらにせよ、この状況を長く維持したくはない。

 松葉杖を使ってレバーを押した。

 

 12時35分

 次の瞬間には、落書きだらけの壁はレンガ製の物へと早変わりする。正確には壁だけではない。足を突っ込んでいた便座は消え、今俺がいるのはトイレではなく階段の踊り場だ。詳しいことは分からないが、簡潔に述べるならテレポートをしたわけだ。

 階段を降っていくと、「bar radian」とチョークで書かれた看板と扉がある。

 扉を開けた瞬間、歓声かも怒号かも分からない怒涛の声が鼓膜をついた。ここはいつだって騒がしいな。

 bar radianはいわゆる地下格闘技場。腕に自身のある奴らが集まっては中央にあるリングで闘争している。ただ、他と違うのは能力の使用が認められている事。無能力者もいない訳では無いが、殆どの客は能力者だ。一応、名目はバーということもあり、お情程度にカウンターが設置されているが、利用する者は少ない。

 中央のリングで闘っている奴らとその野次馬を横目に見ながら、店の縁に設置されたバーカウンターへと向かう。

 「よう、尭羅。久しぶりだな」

 バーカウンターにグラス片手で座る男に話し掛けられた。こいつが今日ここに来た目的だ。

 「そうだな店長。3ヶ月ぶりくらいか?」

 「おいおい、店長はよしてくれよ。俺も雇われてるだけだ。昔みたいに翔也しょうやって呼んでくれよ」

 翔也はこの店の現在の店長だ。クネクネに曲がった金色の髪を左右に別け、赤色のメガネをかけている。

 「あのトイレからテレポートするのは何とかならんのか?」

 「仕方ないだろ。白昼堂々できることをする施設じゃないんだ。便器に足突っ込むやつなんて普通はいないだろ? で、なんか用か? 推測だがその足と関係してるんだろ」

 俺は松葉杖を使って椅子を引くとそこに腰をかけた。使い慣れてくると松葉杖ま便利な物だ。

 「ご名答。今日はある能力者の情報を聞きに来た」

 「やっぱりな。その前に何か飲むか?」

 「いや、いいよ。売れるような情報も持ってない」

 「安心しろって。現金も受け付けてるよ」

 翔也は情報を売り買いする。いわゆる情報屋というやつだ。彼が店長になってからは、bar radianには“円”の他に“情報”というレートが追加されてしまったのだ。

 散産堂から休業手当が出ていたこともあって、懐は暖かい。これから情報を聞くわけだし、何か注文するのも悪くないだろう。

 「じゃあ、カクテルとかくれよ」

 「はいはい了解」

 翔也は無造作にグラスを取り、適当にボトルを流していく。誰が見たって真面目に作っているとは思わない。色も茶色だ……。

 「はい、翔ちゃん特性エスプレッソ」

 「もうどこから突っ込んでいいか分からない」

 「アルコールが入ってればいいじゃないか」

 「バーテンダーにあるまじき発言だな」

 翔也からグラスから受け取る。色は茶色で沼のようだ。飲む気になれるわけがない。  

 「まあまあ、それで何が聞きたい?」

 「能面についてだ。あいつの正体が知りたい」

 「能面だ?」

 翔也は視線を上げ、口をへの字に曲げた。しばらく俺達の間に沈黙が訪れる。

 「ダメだ。俺のデーターベースにそいつの情報はねーな」

 「聞いたこともないのか?」

 「そういう訳じゃないけどよ。あの能面つけて時々現れるってやつだろ? 正体とか、細かい情報まではわかんなぁーいって感じだ」

 「そうか……」

 期待を裏切られた気分だ。翔也は俺の知り合いの中で、一番の情報源だったのだが、その彼をもっても能面の情報は手に入らなかった。

 「能面について聞くってことはその足もそいつに?」

 翔也は俺の足を顎で指す。

 「見っともねーな。それでも元チャンピョンか?」

 「不意をつかれただけだ。次は勝つ」

 俺がそう言うと、翔也はほくそ笑んだ。昔からこいつの笑い方は変わらない。

 「変わらないね〜。負けたら勝つまでやり続ける。そのへんのガキよりタチが悪い。ま、そのせいでチャンピョンになったんだけどよ」

 自身の懐から財布を取り出す翔也。その財布から一枚の写真を取り出した。

 「ほら、覚えてるか? お前がradianにたむろしてるヤツら全員ボコった時のだ」

 「お前そんなの持ち歩いてんのかよ。気持ちわりぃな」

 写真には今より少し若い俺が写っている。全身血だらけで、顔が膨れながらも、両手を掲げてる高貴な姿がそこにはあった。

 「最近の奴らは中々強いけどよ、これと言って目立つ奴もいないんだ。 お前も参加しねーか?」

 「この足だぞ? 当分は無理だ」

 ニヤッと笑う翔也。わざとらしい奴だ。俺をからかったのだろう。

 「誰か面白い能力持ってる奴知ってたら紹介してくれよ。お前が選ぶんだからハズレはないだろう」

 「考えとくよ」

 俺は尻を滑らして椅子から降りる。床と松葉杖の先が擦れる音がした。

 「なんだもう帰んのか?昔話でもしようぜ」

 「能面をぶっとばしたらまた来るよ。なんか情報が入ったら連絡くれ」

 俺は休業手当の入った封筒をそのまま翔也に渡した。

 「釣りはいらない」

 そう言い捨ててその場を立ち去ろうとしたが、翔也に呼び止められる。

 「なんだよ。釣りはいらないって言ってるだろ」

 「いや、お釣りどころか1円も入ってないぞ」

 「は?」

 翔也から封筒の中身を受け取る。紙切れが1枚だけ入っていたらしい。

 そこには『騙されてやんのw』の1文と、足を負傷した男が涙目で「痛いでやんす」と言っている絵が描かれていた。

 俺は持ってる力を全て使って紙を握りつぶす。

 「あの女絶対殺す。今から殺しに行く!」

 怒りが冷めないうちに、早足でradianから出る。今ならアイツにだって勝てそうだ

タキシード男はおもむろにダサすぎるだろということで、今回から尭羅のタイトルが変わりました。

みんな漢字なのに1人だけカタカナというのはボッチみたいじゃないですか。学年に1人はいる外国人の子みたいに話しかけずらい雰囲気醸し出してるじゃないですか。こんなあとがき書いても誰も読まない気がするのでこの辺にしときます

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