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自己時間停止少女への質問

1週間空いてしまいました。すいません


 「それじゃあ、開けますよ」

 蛍はゆっくりと扉を開けた。冷房の風が全身をなでたが、涼しいと言うより今は寒気すら感じる。

 部屋には円卓があり、それを中心に一つの空席と3人の人間が座っていた。皆がじっと愛莉の方を見ている。

 「逢莉さんを連れてきました」

 蛍は気にする様子もなく、部屋の中へと進む。逢莉も蛍のかげに隠れるようにして付いていく。

 「それじゃあ、ここに座ってもらいましょうか」

 蛍が指したのは唯一の空席の場所。今来ていない者のだろうか。

 「おい、待てよ。そこは組長の席だろうが」

 口を開いたのは円卓の前に座る男だ。目つきは鋭く、先程から逢莉の事を人1倍睨んでいる。

 「そのガキが組長とどう関わってんのかは知らねーけどよ。どっから湧いて出たかもわかんねー奴が座っていいような場所じゃねーんだよ」

 彼の口調は強く、喧嘩腰だ。気がたっているのは明らかだった。

 「まあ、落ち着けよ高宮たかみや。相手は子供だ。そんな強い口調で言っては話せるものもできなくなってしまう」

 「ほんとはもう成人してるけどね……」

 逢莉は誰にも聞こえないようにそう呟く。蛍も含めこの部屋にいる人間は私より少し上か同じくらいの見た目だ。子供に勘違いされても仕方ない見た目だったが、すこし癪に障った。

 「まあ、僕もその椅子に座ってもらうのはあまりいい気分ではない。よければ僕の席を譲ろう」

 高宮と呼ばれた男を宥めた彼は、口癖なのか「まあ」をやたらと強調する。青ブチのメガネをかけた細身の青年だ。

 「では、逢莉さんはそちらに」

 メガネと蛍に促され、席についた。譲ってくれた彼はどうするのかと思っていたが、新しい椅子を持ってくるわけでもなく、そこから離れようとしない。

 「まあ、初めましてだね。僕は羽田慈はたじ 博士ひろと。君は逢莉ちゃんで合ってるよね?」

 「え……、はい。そうですけど」

 ちゃんと自己紹介をしてくれる辺り彼には好印象を得た。少なくとも高宮よりはまともそうに見える。

 「まあ、逢莉ちゃん。今からいくつか聞きたいことがあるんだけど正直に答えてくれるかい?」

 「え……」

 「まあ、始めるね」

 元々逢莉の返事など関係なかったのだろう。羽田慈は顔を逢莉の目線に合わせて質問を始めた。

 「まあ、愛莉ちゃん。君はここの組長、鳳京 和夫について何か知ってるかい?」

 鳳京 和夫のことは病院で聞かされた。今行方不明だか殺されたかしている組長のことだ。

 「蛍に聞いたからある程度なら……」

 「そうなんだ。じゃあ、逢莉ちゃん。蛍から聞く前に鳳京の存在は知っていた?」

 「いや……。蛍から初めて聞いたけど」

 彼の闇のように黒い瞳に見つめられるとやましいことが無くても答えるのが気まずくなった。

  「なるほど。ありがとう逢莉ちゃん」

 「どう?」

 羽田慈に尋ねたのは向かいに座る茶髪の女だ。

 「嘘はついてませんね。事件当時は組長の話すら聞いたことありません」

 羽田慈は顔を上げ円卓に腰をかける。

 「どういうこと?なにかしてたの?」

 「まあ、僕は相手が嘘をついてると目が赤く光るんだよ。蛍が君を次期組長とか言うから、今の質問は君が組長の事を知らないか確認したんだ」

 「こいつが知らないってことは、やっぱりあのコートの女だな」

 「そうみたいね」

 蛍と逢莉を除く3人は何か合点がいったようだった。当の逢莉は自分を置いて話が進んでいくので、訳が分からなかった。

 「ねえ、コートの女って?」

 他の3人に気づかれないように蛍に聞いたが、彼女も言いづらいのかえーっと、と言葉を濁すばかりだ。

 「コートの女というのは組長を殺したと思われる人物の事だよ。名前が分からないからそう呼んでる」

 蛍が困っているのを見て、羽田慈が説明を始める。

 「なんで、その人が殺したってわかるったの?」

 「組長と最後に会ってたのが彼女なんだよ。僕らが問い詰めたら逃げていった。殺してないにしろ何かしらの情報は知ってるはずだ」

 「私としては行方不明なだけで、まだ生きてるように思えるけど。死体も見つかってないし、あの人が簡単に死ぬようにも思えないわ」

 口を開いたのは向かいに座る茶髪の女だ。

 「じゃあ、なんでここに戻ってこない。無事なら翌日にでも帰ってくるはずだぜ」

 「それは戻ってこれない事情があるんでしょ? 」

 「その事情ってなんだよ」

 高宮と女が論争を始める。

 「まあ、まて2人とも。今話し合ったところで進展はしない。今はコートの女を訪ねるのが先だ」

 「じゃあ今すぐ行こうぜ」

 高宮が席を立ち、部屋から出ていこうとする。

 「行くって場所はわかるんですか?」

 蛍が尋ねる。

 「夏なのにコート着てんだぜ? 目撃情報なんか簡単に集まんだよ。ほら、行くぞ」

 羽田慈も腰を上げたが、茶髪の女は立とうとしなかった。

 「私はパスで」

 「なんでだよ」 

 「最悪、戦闘になりかねないでしょ? 物騒なのは嫌なの」

 「けっ、勝手にしろ。蛍は来るか?」

 蛍は少したじろいだが、すぐに返事をした。

 「行きます。逢莉さんも一緒に」

 「は? 」

 私が行く必要はないと思うけど……。

 「逢莉さんは次の組長になる方ですよ。今回の件に関わる必要はあります」

 「……組長かは認めねーけど好きにしろ」 

 「えぇ……」

 なんだか、野蛮な所に連れてかれそう……。

逢莉の漢字が話によってバラバラなことに今気づきました。修正していきますね

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