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異能力者達の能力事情  作者: チスペレ
8月12日~13日 光輝
4/83

高校生能力者の入居許可

有るのか無いのか分からないミスはやはり怖いですね。誤字脱字などは見つけ次第、教えて下さると有難いです。


 8月13日 7時15分

 「今日もいい天気だね〜」

 優子さんが玄関前で伸びをする。

 あれから、僕は昨日から着ている服を着替えた。といってもTシャツを変えただけだ。優子さんは白色のワイシャツに黒色のネクタイを付け、ネクタイと同色のスカートをはいている。そして腰に昨日の懐中時計だ。

 「じゃあ、いこうか?」

 そう言うと優子さんは階段の方に向かっていく。

 「あ、優子さん、鍵を閉めてませんよ!」

 「おっと、そうだったそうだった」

 優子さんは玄関まで戻ってきて、鍵を掛ける。

 「改めて行こうか!」

 優子さんは再度階段へと向かう。

 「大家さんはどこに住んでいるんすか?」

 「このアパートの裏だよ」

 「ここに住んでないんですね」

 何となくだが、大家さんと言われるとそのアパートやビルに住んでいるイメージがある。僕らはアパートを出て、左に向かった。




 7時22分

 「ここだよ」

 優子さんが立ち止まった。

 「ここ…なんですか?」

 僕の目の前にあったのはアパートに負けず劣らずのボロい建物。もはや建物と言うよりは、工事現場などにある仮設住宅の方が正確だろう。

 「本当にここなんですか?」

 僕は心配になり尋ねた。

 「いろいろと、訳があってね」

 「まあ、いつか説明するよ」

 優子さんは横開きドアをスライドさせる。想像通りの狭い玄関。

 「おーい、孫が来たよー、ばあちゃん寝てんの?」

 ばあちゃん?

 優子さんは奥へと入っていく。

 すると、シワだらけの顔が出てくる

 「優子かい?」

 顔を出した老婆は腰が曲がり、髪は白髪だ。

 「あ、ばあちゃん!」

 優子さんが笑顔になり、老婆に近づく。

 「やっぱり優子か、昨日ぶりじゃな。仕事はちゃんとできたのかい?」

 「うん!ちょっと長くなっちゃったけどね」

 さっきから2人で盛り上がってるようで、とてもアウェーだ。

 「あ…あの……」

 僕が申し訳なさそうに声を出すと、優子さんがこちらをみる。

 「あ、ごめんね。この人が私の実の祖母、かつあのアパートの大家さん。山辺 優枝さんだよ」

 「そのとおり、私があのアパートの大家の優枝じゃ。大家さんなりよしえばあちゃんなり、好きに呼ぶと良い」

 どうやら、優子さんの祖母らしい。

 「で、優子や、この男の子は誰じゃ」

 大家さんが孫の方を見る。

 「あぁ、この子は光輝くんっていってね。あのアパートに住みたいんだって」

 話の矛先がこちらに向かってきた。僕も自己紹介をした方が良さそうだ。

 「えっと、一ノ瀬光輝です。よろしくお願いします」

 何回やっても自己紹介というものは照れる。

 「そうかそうか、住居希望者というやつじゃな?」

 大家さんは笑みを浮かべながら僕を見る。

 「はい」

 「じゃあ、お主も能力者なんじゃやな?」

 大家さんはさらに笑みを浮かべた。

 「そうなりますね……」

 「カカカカカ」

 大家さんはついに笑い始めた。

 「なるほどなるほど、住人が増えることは大いに結構なことじゃ。好きに使うと良い」

 どうやら、許可はおりたようだ。

 しかし、まだ不安な点がある。

 「あの…、僕家出してて、お金もほとんど持ってないし、収入も無いんです。家賃とかそういうの払えるかどうか…」

 僕の全財産は五万円なのでこれから住めるほどお金をもっていない。

 「家賃じゃと?あのアパートなどほぼボランティアじゃ、それにお主も優子の仕事を手伝うのじゃろ?」

 大家さんは笑顔で言った。

 「優子さんの仕事ですか?」

 僕は困ってしまい優子さんの方を向く、

 「あ、それいいね!昨日の仕事で人数不足も感じてたし」

 優子さんも乗り気のようだ。

 「そうじゃろ?部下は多い方がいいし、しかも能力者じゃ。探してもなかなかおらぬ」

 「全然思いつかなかったよ、さすがばあちゃんだ」

 どうやら2人の内で納得してしまったらしい。

 「そういう事じゃ、光輝とやら。お主に部屋を貸してやる、その代わりに優子の探偵所で働くのじゃ」

 大家さんは僕の方を見て笑顔で言った。

 どうやら物事はとんでもない方向に進み始めているようだ。

 「でも、僕、バイトすらもした事ありません。お役には立てないと思いますけど…」

 「別に大丈夫だよ、探偵っていっても難しいことしないし、ほとんどお客さん来ないし」

 優子さんも笑顔だ。

 しかし、落ち着いて考えれば僕が家出したのも、能力を役立てるためだ。探偵の手伝いならそういう機会もあるかもしれない。しかも、住む場所も提供される。これを逃す手はないだろう。

 「じゃあ、やってみるだけ、やってみます」

 「うん!改めて宜しくね。部下として奴隷のように働いてね」

 やっぱりやめておいた方が良かったかもしれない…。

 「じゃあ、光輝くん。仕事の仲間になって、守秘する義務もなくなった訳だし、私の能力を教えてあげるよ」

 朝聞けなかったことが今聞けそうだ。

 「え!?いいんですか?」

 「うん、流石に上司の能力位は知っておかないとダメでしょ」

 優子さんは腰の懐中時計を手に取った。

 やはり、懐中時計は関係しているらしい。

 「ばあちゃん、ちょっとお願い」

 すると、大家さんはカーテンを閉め、部屋を暗くした。そして優子さんは右のポケットから紙切れを取り出す。優子さんは子供がおもちゃを見せびらかすように楽しそうだ

 「それではステップ1。まずは、この紙切れを丸めます。そして1分間以上この丸めた紙に触れてないといけないのですが、はっきりいって面倒なので、左のポケットから既に1分間触れた同じものを取り出します」

 「なら、最初からそっち使いましょうよ!」

 僕は突っ込まずにはいられなかった。

 「まあまあ、落ち着いて。ステップ2!この紙くずを光輝くん目掛けておもいっきりなげます!てりゃ!!」

 優子さんが投げた紙くずは僕に当たらず僕の足元におちた。

 「あの、当たりませんでしたけど…」

 しかし、優子さんはふっふっふっと不敵な笑みを浮かべている。

 「かかったな!」

 優子さんは懐中時計の電源をいれ、床におく。すると、先程の紙くずに光があたり影ができる。その影は僕のたっている場所まで延びてきて、僕は影に包まれた。

 優子さんはしてやったり!っとでも言いたげな顔をしいる。

 「………で、なんですか?」

 「まだ分からないかな?じゃあ、やっちゃうよ?」

 優子さんは咳払いをして、指を鳴らす。

 「命令する。「三歩前に進す、そこで停止」」

 その時、僕の体が自分じゃない何かにおされるように三歩すすんだ。

 「!?」

 「ふふーん、どう?これが私の能力だよ?[影の中に入った物を支配できる]それが私の能力。いつもは[影支配]って呼んでるけどね」

 優子さんは誇らしげに腕を組んでいる。しかし、僕はまだ状況が掴めない状態だ。

 「優子や、もっとちゃんと説明しておやり」

 大家さんが優子さんに言った。

 「それもそうだね、詳しく説明してあげようか」

 優子さんは再び指を鳴らす。

 そうすると僕の体も自由になった。




 7時45分

 あの後、僕はテレビの置いてある、広めの部屋に案内された。今はお茶をだされ、ちゃぶ台に座っている。

 「じゃあ、詳しく説明していこうか」

 向かいに座っている優子さんが口を開いた。

 「簡単に説明するとさっき言った感じなんだけど、詳しく言うと[1分間以上触れた物にできる影、それに入った物を支配できる]みたいなかんじかな?ちなみに、影を作るものは光を遮る物ってかいて「光遮物」って呼んでるよ」

 優子さんはお茶を飲み干した。

 「で、さっきので言うと、丸めた紙切れに1分間触れてたからあれの影に入っていた光輝くんは支配出来ちゃうってわけ。昨日、光輝くんが夜這いしに来て固まったのもほとんど同じ原理。「影に入った物の動きを止めておく」っていう命令を予めしておいたの」

 夜這いとかそういう事はしてないけど、大家さんに聞かれるのはまずい気がするんだが…。

 「そんな感じかな?あんまり説明することもないし、疑問に思ったことがあればいつでも聞いてよ」

 優子さんはやり切ったとでも言いたげにおデコを拭く仕草をする。

 「じゃあ、光輝くん。許可も取れたし、お茶も飲んだし、アパートに戻ろうか、」

 優子さんは立ち上がった。

 「ばあちゃん、私の隣の空いてる部屋でいいよね?」

 「ああ、好きに使うと良い」

 「そういう訳で、部屋に案内とかするし、色々と教えたいこともあるから戻るよ」

 まだお茶を飲んでいなかったので僕は一気に飲み干し、立ち上がった。

 「じゃあね、ばあちゃん。また、仕事が来たら電話してよ」

 「わかっとるわかっとる」

 別れの挨拶をすると優子さんは玄関へと向かった。

 「部屋を貸していただきありがとうございました」

 僕は大家さんに深くお辞儀をした。

 「ええんじゃよ、困った時は助け合いじゃよ」

 大家さんは僕の方を向かず、お茶を飲み始めた。

 僕は優子さんを追って玄関へと向かった。


3話の後書きに描いたTwitterの件。誰か見てくださった方はいらっしゃるでしょうか?優子の能力について質問があればTwitterかコメントの方にお願いします。答えられる範囲でお答えします。そんな物好きな人はいないとおもいますけどね( 笑 )

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