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異能力者達の能力事情  作者: チスペレ
8月14日 ~15日
35/83

感覚共有者の誓い

16時29分

目を覚ますと知らないベッドの上だった。上にはひらひらのレースが付いていてお城のベッドといった感じだ。

顔を左右に動かし状況を確認すると境夏の顔が目に入った。境夏がいて、こんな豪華なベッドあるという事はここは彼女の家だろう。

「……真さん?」

朦朧とする意識を境夏の声が刺激する。徐々に思考が復活していくのを感じた。

「良かった、本当に良かった……。もう目を覚まさないんじゃないかと……」

「ああ、俺いったい……たしか、おっさんが叫んで―――」

真は起き上がろうとしたが背中に電流のような激痛を感じ動けなくなる。

「無理しないでください。傷が開いてしまいます」

真自身もその事を悟り動くのを諦めた。

「あれからどうなったんだ?」

尋ねると、境夏はあれから今に至る迄の経緯を話し始めた。

真が意識を失うと、境夏はすぐに自宅の使用人を呼び出し助けを求めたという。これが救急車よりも早く来たと言うのだから驚きだ。そして、止血などの治療を終え、このベッドに寝かしたらしい。

境夏がベッドの横に備えられたボタンを押すと、真を乗せたそれはゆっくりと角度を変え、起き上がらせた。

真は境夏の姿を見て絶句した。彼女の服が大量の血で赤く染まっていたからだ。

「なんだよその血!大丈夫か!?」

今にも飛び出してきそうな真を境夏は静かに宥めた。

「落ち着いてください。この血は真さんのですよ」

言葉の意味がわからず黙って事の次第を思い出していく。真はしばらく思考すると自分の背中の傷と大量の血が頭の中で繋がったらしく、あっ。と呟き安堵のため息を付いた。

「お前ずっとその格好だったのかよ」

「これはこれでいい記念品なのでこのまま保管しておくつもりです。真さんが私を庇ってくれた証ですから」

境夏の発言に引き気味になりながらも今に始まった事では無いと思い、それ以上は何も言わないことにした。

窓から外を見るとまだ太陽は登っていて何時間も寝てはないことを真は悟った。数日たっているなら話は別だが。

「境夏……」

真は彼女の名前を呟くが顔は見ようとしなかった。

「あのナイフ、持ち歩いてたんだな」

「ナイフなんて呼ばないでください…………」

境夏は懐から1本のナイフを取り出した。形が歪で、刃の部分が木の枝の様に別れている。

「いつ“あいつ”と遭遇するか分かりませんから。その時の為ですよ」

「あの日から4年間探し続けても手がかり一つ見つからないじゃないか!」

真は妬けになり大声を上げてしまった。しかし、境夏は何を言い返すこと無く、ナイフを膝に置き、ゆっくりと車椅子を動かし部屋の隅の棚に置いてあるポラロイドカメラを手にした。

「真さん、撮りますよ」

「え?」

咄嗟の事に動くことが出来なかった。写真を撮る意味も分からない。

ポラロイドカメラのためその場で写真が出てくる。境夏は現像された写真を真に渡した。

真は何故自分の写真を見なければいけないのかと呆れたが、それが目に入った瞬間、言葉を失った。

そこに映っていたのは真の姿などではない。顔に能面をつけ、性別すらもわからない人物。

「4年前と何も変わってないじゃないか……」

そこにあったのは“あいつ”の姿だった。

「本当はもっと情報が集まってから見せるつもりでした」

境夏は手に持ったカメラも真に差し出した。

「このカメラは撮る者が思っている人や物を映し出します。本来なら居場所までわかるのですが、“あいつ”は何かしらの方法でそれを妨害しているのでしょう」

「じゃあ、このカメラは……」

「はい、今の兄さんと同じ能力物(アノマリーアイテム)です」

能力物(アノマリーアイテム)以外にも呼ばれ方は様々だが、何かしら特別な能力を有している道具の事だ。能力者とは違い、現在でもなかなか目にすることはない。

真は再び写真を見つめる。写真の中の“あいつ”が自分達を嘲笑っていると錯覚する。

四年前、彼女の兄をナイフに変え、彼女の足を奪ったこの人物。

「絶対に殺してやるからな……」

過去にした決意を誓いに変え、2人の復讐は再び動き始めた。

アノマリーアイテムって名前長いなと自分でも感じます

しばらく更新ペースが週1になります

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