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異能力者達の能力事情  作者: チスペレ
8月12日~13日 光輝
3/83

高校生能力者の夜這い?



20170416修正



 11時37分

 

 部屋のドアをゆっくりと開ける。


 「誰もいないよな…………」

 

 部屋の向かいは台所のようだ、廊下はとても静かで、そしてくらい。窓から入る月の光だけが唯一の明かりとなっている。

 辺りに彼女がいないことを確認すると玄関前の部屋へと向かう。

 歩く度に床が軋む音が聞こえた。


 「多分、ここにはいるとおもうんだけど……」


 一応扉をノックしてみる。

 

 「……」


 返事はないみたいだ。寝てしまったのだろうか? そんなにすぐは寝ないと思うのだが。


 「入りますよ……」

 

 扉を開けた。

 部屋の中にはなぜだか懐中電灯が光を放っていて、その前には野球ボールくらいの大きさの球体がおいてある。

 なんだろうか?確認してみよう。

その時、自分の体に違和感を覚えた。

 体が動かない……。

 腕や足、腕や瞼さえ1ミリも動かすことができないのだ。唯一出来る事は呼吸くらいで、声も出すことができない。

 「あーあ、夜這いにきちゃったかな?忠告したつもりだったんだけどなぁ」


 彼女の声が後ろからする。振り向きたいがそれさえ許されない。

 

 「今、自分が何されてるかわかってないでしょ? ごめんねー、瞬きできないよね?それだけ解除してあげる」

 

 指を鳴らす音が聞こえる。すると、僕の瞼は動くようになった。


 「これから質問するから、答えてくれたら他の器官も解除してあげる」

 

 質問?できればこっちが質問したい状態なんだが……。

 「と、その前に、今のままじゃ返事の仕様がないだろうから、指だけ解除するね、YESなら手をグー、NOなら手をパーにしてね」


 そう言うと再び指を鳴らす音が聞こえた。状況がうまくのみこめないが、とりあえず質問が始まるようだ。


 「まず……夜這しにきたの?」

 

 なんてことをきいてくるんだ。そんなわけがないだろう。もちろん手をパー、NOと答えた。

 

 「えぇ、、、なんだか[お前は夜這いする価値もない!]って間接的に言われてるみたいで落ち込むなあ……」


 なんて言えば良かったんだよ…… 。

 

 「ふざけるのは終わりにして、次からは真面目に質問するから。じゃあ、敵意があって襲いにきたの?」


 手はパーのままにしておく。


 「じゃあ、何しにしたの?」

 

 YES、NOで答えられない質問をされてもこまるのだが、、、。チョキにでもしておこう。


 「チョキ!?あぁ、YES、NOで答えられないもんね」

 

 三度目の指を鳴らす音がする。僕は口が動くことを確認した。


 「僕はただ、なぜ能力者だとわかったのか聞きに来ただけなんです」


 彼女は少し黙った。

 

 「なんだ、そんなことか。説明すればいいの?」

 「はい……」


 案外簡単に教えてもらえるのかもしれない。


 「教えてあげたいんだけど今日は久しぶりの仕事で疲れてるからまた明日の朝ね、君もさっきの部屋に戻りなさい」

 「え!?でも……」

 「いいからいいから」


 彼女がそう言うと、僕の体も動くようになった。 僕は彼女の方を振りむく。


 「そう言えば名前聞いてなかったね、なんていうの?」


 そう言われてみれば名乗ってなかった。

 

 「一ノいちのせ 光輝こうきです」

 「そう、私は山辺 優子。今更だけどよろしくね光輝くん」

 「宜しくお願いします……」

 「1日泊めてあげるんだから優子さんなり、様なり呼んでくれて構わないから」


 ほぼ強制的に家にいれられたんですけどね……。しかし、泊めて貰うのも事実だし、優子“さん”と呼ぶことにしよう。

 そう言えば優子さんの匂いを嗅いでいなかった。この距離なら意識的に嗅げるはずだ。何年も使ってこなかったから鈍ってないといいけど。


 僕は鼻で大きく息を吸う。忽ち鼻の中に優子さんの匂いが満たされていくのがわかった。…………文章だけ見ると変態みたいだ。

 健康状態、怪我はともに問題なし。年齢は20歳くらいかな? 多分大学生くらいだろう。わかっていたがやはり能力者だった。




 11時42分


 「一体なんだったんだよ……」


 あの後、僕は玄関前の部屋から出され、奥の部屋に戻ってきて横になっている。


 能力については明日教えてもらえるらしいが、やはり気になるものだ。そして体が動かなかったこともだ。あれは絶対、優子さんの能力のせいだろう。しかし、どんな能力なんだ?匂いだけでは流石に判断できなかった。ほぼ0距離で嗅げば可能かもしれないけど試したことは無い。それに、そこまで近づくことは不可能だろう。


 僕はあの時のことを思い出す。


 まず、扉を開けると、電源のついた懐中電灯とその前に球体が置いてあった。多分、あの懐中電灯が能力の正体だろう。もしくはあの球体。

 そんなことを考えていると眠くなってきた。


 「そろそろ寝ようかな」

 

 近くにあった座布団を丸めて枕にする。

 目を閉じてもベンチの時のような不安は襲ってこない。僕はそのまま眠りについた。




 8月13日 午前7時02分


 目を開けると知らない天井が見えた。そして今の自分の状況を思い出す。

 「そうか、家出したんだった」


 しかも戻るつもりのない家出、もはや独り立ちとも言えるのかもしれない。しかし、誰もが最初から戻るつもりで家出をする訳では無いと思う。なら、自分もいつかは家に戻るのだろうか?


 床が軋む音が聞こえたと思ったらドアが開かれた。


 「おっはー、光輝くん。よく眠れた?」


 優子さんはシャツとホットパンツを着ていた。


 「おはようございます、優子さん。それで、なぜ僕が能力者だと気づいたんですか?」

 「まあまあ、そんなに慌てなさんな。朝御飯でもたべながら話そうじゃないか、パンでいいよね?」


 そう言うと優子さんは部屋を出て行った。

 泊めていただいてるのに朝御飯だなんて、なんだか気が引けた。後でしっかりとお礼を言おう。

 

 「優子さん、何か手伝うことはないですか?」

 

 彼女は食パンを2枚オーブントースターに入れていた。

 

 「いや、別に何も無いけど。お客さんなんだしゆっくりしててよ」

 「そんなの悪いですよ、1晩泊めていただいたんですから」

 優子さんは少し考えた後に口を開いた。

 「じゃあ、そこに折りたたみ式の机を部屋までもっていって」

 「わかりました」

 

 僕は机を担いで部屋へともっていった。そして机の足を広げ、床に設置した。

 優子さんもパンがのったお皿をを持って部屋にはいってきて、机におく。


 「それじゃあ、食べようか」

 「あ、待ってください、優子さん」


 優子さんは首をかしげ?を浮かべている。


 僕は正座をして、深々と頭を下げる。


 「一晩泊めていただいた上に、朝御飯までごちそうしていただき、ありがとうございます。この恩は一生わすれません。そしていつか必ず返します」

 「え?別に、余ってる部屋と貰い物の食パン上げただけだしそこまでしなくても……。そんなことより能力のこと聞きたいんじゃないの? だから頭上げてよ。なんか悪いことしてるみたいじゃん」




 7時08分

 

 「それじゃあ、ずっと聞きたがってる、なんで能力者だとわかったのか教えてあげるよ」

 

 優子さんがトーストにジャムをぬりながら言う。

 「お願いします」

 僕は何もぬらずにトーストを噛じる。一応遠慮したつもりだ。

 「単刀直入に言っちゃうと、このボロアパート自体、能力者じゃないと入れないんだよ」

 「え!?」


  心の声がそのまま出た。そしてトーストが口から落ちる。


 「いや、正確に言うと、認識できないっていうのが正しいのかな? ここの住人の1人がそういう能力もってるんだ。だから光輝くんがあの錆びたベンチに寝てるのを見て、能力者だって気づいたんだよ」

 

 「そうだったんですか……」


 僕は落ちたトーストを再び口に入れた。


 「で、光輝くんの能力はどういうの?」


 ジャムがたっぷりぬられたトーストをかじりながら優子さんが聞く。

僕の能力か……なんて答えればよいのだろうか?今まで聞かれたこともなかったからわからない。「百聞は一見にしかず」と言うくらいだし、実際見せた方が早そうだ。僕は昨夜のように優子さんの匂いを嗅いでみる。昨夜よりも距離は近い、わかることも多いはずだ。

 「優子さんは怪我、病気を一切していません。とても健康です。でも胸焼けしてますね。あとニンニクの匂いがします、餃子とか食べたんですか?」

 

 優子さんは目を見開いた。とても驚いたようだ。


 「は!?なんでわかるの?これが能力!?スゲー!!心とかよめちゃうの!?」


 「え?いや、そんなたいそうな能力じゃないんですよ、匂いをかぐと距離にもよるんですけどその人の健康状態とか年齢とかがわかるんです」

 「ほへー、匂いでわかっちゃうんだ。いいねー、私の能力なんかよりずっと使えるじゃん」


 そう言えば、優子さんの能力について聞いていなかった。あの体が動かなくなったのが優子さんの能力なのだろうけど。


 「優子さんの能力はどうなんですか?」

 「私の能力?ああ、昨日罠に引っかかってたもんね」


 懐中電灯と球体は罠だったようだ。


 「うーん、光輝くんの能力教えてもらったところ悪いんだけどさ、ちょっと言えないかな。私、この能力で仕事してて、守秘義務ってやつ?ごめんね」

 どうやら、教えてくれないらしい。なんだか狐につままれた気分だ。それと、昨日倒れてた人と同様に優子さんも能力を仕事にしているらしい。

 「一体何の仕事なんですか?」

 「そのくらいなら教えてもいいかな、全く売れてないけど探偵やってるんだ〜」


 優子さんはエッヘンと胸をはり、自慢げに言った。

 そして、トーストを食べ切る。僕も食べ終わった。


 「食べ終わったし、そろそろ行こうか?」


 「え?どこにですか?」


 携帯の時計を見るとまだ7時半にもなっていない。


 「どこって、事情は聞かないけど、光輝くん家出してきたんでしょ? なら、今日から寝る場所とかもないんだよね?」


 家出したことは話してなかっが、どうやらバレていたらしい。まあ、あんな夜中にベンチで寝てたらそう思うのが妥当か。


 「そうですね……。頼りは無いです」

 「なら、ボロいけどこのアパートに来なよ。だから住むために大家さんに許可とりにいくの」

 「え……!?」


本当は挿絵を入れたかったのですが、入れ方が分からなかったため、Twitterの方で画像をはります。山辺優子の部屋の図なので「部屋の描写がわかりずらいんだよバカ!」という方々(全員かも知れません)は確認してみてください。図もわかりずらかったらすいません(汗)


Twitterは

@qqaoZo6FBb8VMJ と検索すれば「チスペレ」の名前で出るかとおもいます。

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