自己時間停止少女の事情 2
「いや〜朝は白米に限りますね〜」
私は目の前で朝食にがっついてるポニーテールの女を肩肘ついて呆れ顔で見ていた。
「それで?いきなり組長だとか訳の分からないことを言ったと思えばここまで着いてきて何が目的よ」
最初は私も無視していたのだがどこまでも着いてくるので仕方なくこうして一緒に朝食をとっている。
「申し遅れました。私こういう者です」
彼女は箸を止め懐から名刺を取り出し私に渡した。
「能力組合 村崎 蛍?なによ能力組合って」
「よくぞ聞いてくれました!」
待ってましたと言わんばかりに蛍がこちらに飛び出し熱弁がはじまった。
「能力組合とはですね、能力者による能力者のための組合なわけです。能力障害者の方々のような能力のせいで理不尽な運命にあっている人達のために活動しています。募金に始まり必要とあらば何でもするんです」
熱弁が終わり蛍は感傷に浸っていた。能力障害者のため、か。
「それで、なんで私を組長なんて呼んだわけ?」
「それはですね、込み入った事情になるんですが……。一から話しましょうか」
蛍は面倒くさそうだが深く深呼吸をすると彼女の顔は一気に真剣なものとなった。
「ことの発端は昨夜です。元組長の鳳京 和夫様が何者かに殺害されました。そのため新しい組長が必要になったのです。それに選ばれたのが逢莉さん、あなたです」
「は!?なんでそうなるのよ!その組合の中で決めなさいよ!」
「本当ならそうなるはずでした。しかし、そういう訳にはいかなくなったのです」
「??何があったのよ」
「実はですね。私の能力は未来予知でして、今朝の予知で逢莉さんが鳳京様と同じ能力を使い、我々を導く姿を観たのです。そして、ここにいるということも」
!?未来予知!?いきなり話がぶっ飛んだ気がするんだけど?
能力組合を名乗るくらいだから彼女も能力者なのか?
「そういう訳ですから逢莉さんを迎えに来たのです。さあ、私と一緒に参りましょう」
蛍は怯える動物を助けるように私にゆっくりと手を差しのべた。
「…………ねえ。私、何歳に見える?」
当然の質問に困惑してか差しのべた手は彼女の顎に行き少し考える。
「年齢のことを気にしてるのですか?確かに逢莉さんはまだ7、8歳くらいでしょうけど大分落ち着いた雰囲気ですし、まず組長に年齢なんて関係ありません」
予定調和とも思える回答だった。
「見た目とは反して私はもう25年も生きたわ。じゃあなんでこんな見た目か?」
言ってる意味が分からないらしく蛍は首をかしげている。当然の反応だろう。
「確かに見た目はあなたの言うとおり8歳くらいでしょうね。でも違うの、私自身の能力のせいで生まれた時から体の時間が止まってるのよ。お陰様で能力障害者」
「そ、そんな……」
驚愕のあまりか、それ以上言葉が出てこない。これも当然の反応だ。
「つ、つまり逢莉さんは児童ポルノなんとか法に引っかからない合法ロリってことですね!」
「せっかくのシリアスな雰囲気が台無しじゃない!」
うん、これは当然の反応ではない。彼女の鼻息がどんどん荒くなってるきがしてならない。
「そう言う事だから。私にそんな元組長の能力なんて無いし、ある訳も無いの。あなたの予知が間違ってるんでしょ」
私は静かに立ち上がり朝食の載ったプレートを片付け始める。
「待ってください逢莉さん」
そう言うと彼女は私の細い腕を右手で強く掴んだ。自分の骨が軋む音が聞こえてきそうだ。私は痛みのあまり目をつぶり彼女の手を振りほどこうとした。
「やめて!」
私が叫ぶと彼女は我に返ったようにすぐに手を離した。
私は少し涙目になっていた。これが痛みのせいかそれとも悲しいからなのか自分にも分からなかった。
「ごめんなさい、逢莉さん。少し取り乱しました」
「もういいわよ!私にそんな能力あるわけないじゃない!」
プレートを机に叩きつけ私は病室へと早歩きで戻っていく。
途中彼女の声が聞こえてきた。
「逢莉さん!私の予知は絶対外れませんから!」
蛍は逢莉が見えなくなると自分の右手を観る。
この時、蛍の予知は確信に変わった。
今週は書く時間があまり取れなかったので短めでした。すいません。
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