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異能力者達の能力事情  作者: チスペレ
8月13日 暁羅
20/83

状態統括者の仕事2

初めて戦闘の描写をしましたが難しいですね。変な表現などがあると思いますがあまりお気になさらず

 8月13日 23時32分

 薄暗い夜のゴミ捨て場に小太りの男がいた。

 男の頬にはニキビの後が見られ、真夏にも関わらず手が震えていた。

 男は震える手を血が出るほど強く握る。そしてその手を開いた瞬間、5本の指にそれぞれ小さな炎が灯った。

 その炎を見て男はニタリと笑い、ゴミ袋の一つにゆっくりと触れた。たちまちゴミ袋は燃料のように燃え始め、炎は黒煙をあげながらどんどん大きくなっていった。

 「よう、派手にやるじゃねーか」

 男は突然聞こえた声の方を向いた。そこにはタキシードを着た男の姿。

 「誰だよあんた!け、警察か!?」

 「警察じゃねえがお前らみたいなのを取り締まる者だよ。まあ、お前にとっちゃ警察かもな」

 小太りの男が驚嘆と焦慮の混じった声を上げるが、尭羅は落ち着いた様子で立ち、ポケットに手を突っ込みながら言った。

 「にしても、小さい火だなあ。弱火か?しかも指から出るなんてチャッカマンみたいじゃねえか」

 「な、何が言いたい!俺を捕まえるんじゃねえのか?」

 「まあ、そうだな捕まえるな。本当なら俺みたいなのがお前如きに出てくることはないんだが、最近忙しいらしくてな。俺らのところまでまわってくるんだよ」

 「へぇ?そうかよ。でもあんたに俺が捕まえられるか?」

 男はそう言うと未だ燃え続ける炎をに手の平を向けた。その瞬間、燃え盛る炎は全てその手に吸い寄せられるように飛んでいく。ゴミ捨て場から炎は消え、男の手の中で衰えることなく轟々と燃える炎。

 「どうだ?これでも弱火か?」

 それを見て尭羅は鼻で笑うと、ポケットからペットボトルを取り出し蓋を開け、そのまま頭上に放り投げた。少しずつこぼれてくる水が尭羅の手に触れた瞬間氷に変わり刀の形に形成される。

 「いいぜ。やってやんよ」

 「そんなちゃっちい氷の刀で俺を倒す気か?」

 「俺の氷は簡単に溶かせないぜ?」

 尭羅は刀を両手で持ち、刀身と地面が平行になるように構える。

 両者睨み合い全く動かない。これが西部劇ならダンブルウィードが転がっていただろう。

 そして、この沈黙が破られる瞬間が来た。そのままの体制で一気に距離をつめる尭羅。

 小太りの男は燃え盛る手を拳銃のような形にする。すると、炎の一部が銃口にあたる人差し指にどんどん集まっていく。

 「ファイヤー!!」

 男が言うと指先から炎の弾が尭羅目掛けて銃弾の如く飛び出した。しかし、華麗に避ける尭羅。

 「まさか避けるとは思わなかったよ。でもこれはどうだ?」

 男は手を開き5本の指先それぞれに炎を集め始める。

 「5連続だ!これで逃げ道はないぜ?ファイヤー!ファイヤー!ファイヤー!ファイヤー!ファイヤー!」

 炎の弾が一斉に飛び出す。しかし尭羅は避ける様子も見せずその場で止まった。

 「ハァっ!」

 そして、炎の弾が尭羅の間合いに入った瞬間、刀を下から一振りすると果物のように真っ二つになる炎。

 「嘘だろっ!?」

 男は次の弾を溜めようとするがもう手には炎が残っていなかった。

 尭羅はゆっくりと歩き始める。

 「な、なぁ、俺もやりたくて放火なんてしてたわけじゃないんだ。た、た、ただストレスがたまっててさ?ほらお、お前もそういうことあるだろ?能力者ってだけで色々差別とかさ?」

 戦闘前の自信はどこへ行ったか男の声は震え、後ずさりをするも尭羅との距離はどんどん縮まっていく。

 尭羅は何も言わずに切先を男の額に近づけ男の動きを止めた。そして、刀を振り上げる。

 男は来るであろう切断の衝撃に恐怖し、怯え、目を瞑った。しかし来るはずの衝撃はいつまでたっても来ず、代わりに全身に今まで感じたことの無い感覚を与えた。

 男は目を恐る恐る開けようとした。しかし、瞼が接着剤を使われたように全く動かないのだ。

 「目を開けようとしても無駄だ。今のお前は身動き一つとれない」

 辛うじて聞こえる尭羅の言葉に男は耳を疑い全身を動かそうと試みるも言葉の通り全く動かない。

 「何をされたかわからないだろ?簡単な事だ。俺の能力は水の状態変化も操れる。お前に斬り掛かる瞬間刀を1度水に戻し、全身に水がかかった時に氷に戻したわけだ。でも冷たくないだろ?俺の能力だとどういう訳か全く温度変化がないんだよ。温度変化がないのは状態変化と呼べないのかも知らんがそう呼ぶのが1番楽なんだよ」

 男は口を開くこともできず、ただ黙って尭羅の話を聞いていた。

 尭羅は携帯を取り出し上司に電話をかけた。

 「ターゲットを確保した。早いところ後処理頼んどいてくれ。離れ過ぎるとせっかくの氷が溶けちまう」


今回で尭羅の話は一時的に終わりです。短いですがすぐにまた出る予定です。

小太りの男の能力とか詳しく書きたかったんですけどそんな余裕はありませんでしたすいません。そういう能力表みたいなのを作ってもいいかもしれせん。


次回はエピローグか新しい話を書く予定です。

次回の主人公は新キャラの予定です。

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