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異能力者達の能力事情  作者: チスペレ
8月13日 暁羅
19/83

状態統括者の仕事

久しぶりの投稿なのでいつも以上に誤字脱字があるかと思われます。

サブタイトルがいつもと違いますが、これは能力のネタバレにならないようにしてる為です。内容はいつも通りです。


6話と直接つながった話です。6話を読まなくても話は理解できるかと思います。

 能力犯罪――――異能力が使用された犯罪のこと。また、その罪を犯した者を「能力犯罪者」と呼ぶ。

 近年、能力者が増加し続けているため、それに伴い能力犯罪も増加していくと考えられている。


  飯田 守(著)

  「能力思想」の一文より




 8月13日 16時59分

 真っ黒な天然パーマで、真夏にもかかわらず髪と同じ色のタキシードを着た男が街中を悠然と歩いていた。男の名は八神尭羅。彼は今、自分の仕事場へと向かっていた。

 古びた雑居ビルの中に入るとエレベーターを使い3階までのぼり、「散産堂」の表札がかかった部屋の扉を開けた。

 扉を開けるとどこかのカフェかと錯覚するようなコーヒーの香りとラジオから流れるアナウンサーの軽い口調が聞こえた。部屋の中には尭羅の上司である女性が社長椅子に背中を向ける形で座り、ラジオに耳を傾けていた。

 「おい。今日の仕事は?」

 尭羅が低い声で話しかけるが全く反応がない。どうやら、ラジオニュースに集中しているようだ。尭羅もそのニュースに耳を傾ける。

『おっす!おっす!みんな知ってるかい!?なんとだ、昨日の夜に能力組合組長の鳳京和夫が殺されたらしいんだよ!何だよそれ!誰だよそれ!って俺も思ったけどさ、 その組合の奴らから読むように頼まれてんだよ!なんか犯人を探してるんだとよ』

 軽い口調で重い事件をペラペラと喋るアナウンサー。その口調が少しカンに触った。

『それで今から犯人と思われる奴の情報を言ってくから心当たりあるヤツとか教えてやってくれや!それじゃあいくぞ〜!まず、女だそうだ』

 女なんてこの世にどれだけいるだろうか?尭羅の上司も女性なくらいなのだからなんの手掛かりにもならない。

『ほんで、髪が真っ黒で長いらしい』

 長い髪の女も腐るほどいるだろう。ちょうど目の前の女性も髪が長い。

『最後に真夏にもかかわらずコートを着てたんだとよ。何だよそれ?露出狂か!?』

 夏でもコート着てる奴いるだろ?現に目の前にいる尭羅の上司もコートを………。

『心当たりのあるやつはどしどし情報まってるぜ!』

 ニュースが終わると尭羅は何も言わずに近くの受話器を取り電話をかけようとする。

 「ちょっと待て尭羅、なぜ電話を掛けようとする?」

 社長椅子がゆっくりと回転して上司が尭羅の方を向く。

 「髪が長くて真夏にコート着てる奴に心当たりがあるからだよ」

 「いや私じゃないから!!」

 「別にお前とは言ってないだろ。違う人のことかもしれんぞ?」

 「真夏にこんな格好してるやつ私以外いるわけないじゃない!?」

 「自負しとるんかい。ならお前が犯人じゃねえか」

 「いや、確かに昨日はいろいろあったけど殺してはないから。そんなことよりこれ今日の仕事」

 女は引き出しから紙切れを取り出し机の上に置く。

 尭羅は受話器を元の場所に戻し、置かれた紙の内容をよく読む。その紙は履歴書のような見た目で右上には小太りの男の顔写真が貼られていた。

 「今回のターゲットはこいつか。で?こいつはなにをしたんだ?」

 「百聞は一見にしかずよ。これを見てちょうだい」

 そう言うと近くのリモコンをとりビデオをつけた。

 「ある家庭の監視カメラが捕らえたたものよ」

 ビデオには住宅街のゴミ捨て場とその小太りの男を写っていた。その男はゴミに近づく。そして次の瞬間、ごみ捨て場が赤い炎と黒い煙に包まれた。ビデオはそこで終わっていた。

 「なるほど、放火魔ってところか。それで?なんで放火魔ごときに俺が行かなきゃいけない?」

 「わかりきったことでしょ?こいつが能力者だからよ。あたし達の仕事は能力犯罪を取り締まることでしょ?あと、+α」

 「わかってるよ。あんな小さい放火だったもんで無能力者か疑っただけだ」

 と、言いながら鼻で笑うと尭羅は出口へと向かった。

 「あら?もう行くの?」

 「早いにこしたことはないだろ?」

 ドアを開けると中に風が入り尭羅のタキシードの袖をゆらした。

今回からの主人公は尭羅。上司がコートなら、尭羅はタキシード。どちらも暑そうです。

6話を読んだ方は尭羅の能力が分かるかも知れませんが、そのうち分かるのでご期待ください。

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