影支配者の出会い
誤字脱字がございましたら適当にスルーしてください。
若しくは適当に私に伝えてください
23時07分
優子が走ってマンションのフロントまで行くと、依頼人の女性が猫を抱えて待っていた。優子は徐々にスピードをおとしていき、女性の前で止まった。相当疲れたらしく、肩で息をしており、額には大量の汗をかいていた。
「本当に帰ってきたんですね」
「ええ、親切な方が届けてくれたんです」
「そ、そうでしたか……」
まだ息が荒い優子は深呼吸をして息を整えた。
「では、ご依頼の件はこれで終了ですね……。またのご利用お待ちしてます……」
優子は仕事を失敗した悲しみに打ちひしがれトボトボと来た道を戻り始めた。
「あ、あの……。どこに行くんですか?まだお礼を渡してませんよ?」
「私が見つけた訳じゃありませんし受け取れませんよ」
優子は振り返らずに歩きながら言った。
「そういう訳にはいきません!結果はどうであれ探すのに協力してくれたんですからお礼はさせてもらいます」
女性は少し膨らんだ封筒を取り出し優子の元まで行き、握らせる。
「いや、こんなにも受け取れませんよ」
そう言いながら返そうとするも、顔に笑みを浮かべしっかりと封筒を握っている優子。
「いいんですよ。大した物じゃありませんから」
「いやいや、この厚さだと中身が全部千円札だとしても相当な金額になりますよ」
「え……?あ、あの多分勘違いしてますよ?」
「え?」
優子が気の抜けた声を出して封筒の中身を確認すると、中に入っていたのは大量のクーポン券。
「私こういうクーポンとか割引券とか集めるのが好きなんですよ〜。お金だと受け取ってもらえないと思ったからあらかじめ用意しておいたんです」
「……………狐に摘まれた気分ですよ…………」
23時28分
優子は結局クーポン券を受け取り、今は自宅へと帰っている。
「まさかクーポン券がもらえるとは思わなかったなー。今日は久しぶりの仕事で疲れたし、ちゃっちゃと寝ちゃお」
優子は手に持っていた封筒をポケットに閉まった。自宅のアパートはもう目の前だ。
敷地内に入ると異変に気づいた。
自分の住んでいるこのアパートに今まで無かった物。
錆たボロボロのベンチに少年が寝ていたのだ。
自分よりも断然若く、どう見てもホームレスには見えない。家出だろうか?しかし、家出するような子にも見えない。むしろ、優等生といった感じだ。
「……」
優子は立ち止まり少し考えると、その少年が気づかないように忍び足で近づき、声をかけた。
「おーい、君何してるの?」
完
今回で優子の話は完結になります。
来週は投稿をお休みして、再来週から新しく始めていきます。
次からはバトルとかが入ってきますが、期待はせずに楽しみにまってみてください。




