影支配者の勘違い?
今回と関係しているので1話を読み返したら誤字がありました。
肩膝×→片膝〇
もう訂正しましたがすいませんでした。今回も注意しましたがあるかもしれません。
10時18分
夕食を食べ終わった2人は相変わらず町を徘徊していた。
優子の能力は対象が影に入らないと全くの無意味のため、影が出来ていない場所をこうして徘徊しているのだ。
「ふう、食べましたね」
「ホントだよ。まさかあんなに用意されてるとは思わなかったよ」
「ねえ、真?」
「どうしました姉御?」
優子の腕に手を絡めている真は優子が隣にいるかを確認するように返事をした。
「今日は用事がある。とか言ってたけど大丈夫だったの?」
「なんだそんな事でしたか。大丈夫ですよ、昼頃に連絡入れましたから」
「そう。相手が了承してくれたならいいけど」
そんな会話を終えると2人は無言で歩き続ける。話すことが無いわけでは無く、優子が能力に集中するためだ。
それからしばらく歩き続けた時。優子が当然、石のように止まった。それに伴って真も止まる。
「どうしました?猫ちゃんが罠にかかりましたか?」
立ち止まってから動かない優子は目を細め、自分のこめかみに手を当てている。
「…………ありえない…どうやったって言うのよ……」
「?何が言いたいんですか?」
真の質問に答える声はなく、優子は沈黙を続けていた。
「姉御〜。何とか言ってくださいよ〜」
真は猫なで声を出してもう一度話しかけた。
「……いきなり現れた……」
「は?」
「人間が影の中にいきなり現れたのよ!歩いてる時の反応はなかった。何の前ぶれも無くその場に、影の中に反応が現れたの」
真は困惑した様子で、優子の発言の意味がわかっていなさそうだ。
「つまりどういう事ですか?」
「入口を通らずにいきなり部屋に人が現れたみたいなものよ。その部屋まで行く過程をとっぱらってね」
優子は少し早口で言い切りる。
「それでその突然現れた人は今何してるんですか?」
優子は集中するために目を閉じ、相変わらずこめかみに手を当てる。
「……うつ伏せで倒れてる?」
「それ酔っ払いじゃないんですか?」
「そんなわけ―――」
優子の言葉を遮るように真が話し始める。
「今日姉御は沢山の光遮物を仕掛けましたよね?他の場所とごっちゃになったりして勘違いしたんですよ」
「……そうかな」
真の考えに納得したのか先程まで興奮気味だった優子は少し落ち着いたように見える。
「ん?まって、また誰か来た。今度はちゃんと影に歩いて入ってきたみたい。体系的に男の子かな?高校生くらいの」
優子は再び目を細めて集中し始める。
「その男の子に倒れてる酔っ払いを介抱させましょうよ」
「そうだね。近くまで行かせたら救急車なり呼ぶでしょ?よし!やるか」
優子はゆっくり深呼吸をして今日一番の集中力をみせる。
「ほら、進め!………ここまで来たら無視は出来ないでしょ」
「ちゃんと助けてあげるんですかね?」
「片膝ついてるし、話しかけてるんじゃない?」
2人は歩き始め、猫の捜索を再開する。少し歩いた時、優子は空を見上げ、真にも聞こえない声で呟く。
「絶対勘違いじゃないと思うんだけどなぁ」
10時50分
2人の足音だけが響く住宅街で優子の携帯に着信が入る。
「ん?誰からだろう?」
優子は振動している携帯をポケットから取り出し電話に出た。
「あ、依頼人の……。え!?帰ってきた!?今すぐそちらに伺います」
優子は慌てた様子で携帯をしまた。
「どうしました?」
「猫が帰ってきたって。ちょっと確認してくるから真はそこで待ってて、何なら帰ってもいいよ」
「え!?ちょっと待っ―――」
優子は真の返事を聞かずに走り出した。
「そんなこと言われても俺動けませんよ…」
今回の話で1話と少しつながりました。気づいてもらえたでしょうか?分からなかった人は読み返してみると案外気づくかもしれません。
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