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異能力者達の能力事情  作者: チスペレ
8月12日 優子・影山
14/83

影支配者の晩御飯

前回、自分でも笑うような誤字がありました。すいませんでした。今回も見直しはしましたがあるかもしれません。

 12時48分

 「姉御〜。まだですかー?」

 「ああ!結構集中力使うんだから静かにしてて!」

 優子の怒鳴る声が昼過ぎの住宅街に響き渡る。優子と真は昼食後、予定通り捜索範囲の至るところを光遮物にして回っている。光遮物とは優子が能力を使用した場所のことで、外見に全く変化は見られず、見分けがつくのは優子だけであろう。

 「そんな事言っても、炎天下に住宅街歩き回って、たまに―――いや、しょっちゅう止まって1分間待ってを永遠繰り返してるじゃないですか〜」

 「それが今やる事だからね。しかたないね」

 優子が淡々とした口調で言う。

 真は疲れたのか歩道に座り込み犬のように舌をだす。何ともみっともない姿で視線を集めていた。

 「あーもう疲れた。後は真に任せた」

 「ええ!?」

 優子の唐突な発言に真は驚いた様子を見せた。

 「残り2箇所は真が何とかして」

 優子は頭でも痛いのか先程から額に手を当てている。

 「もうこれ以上光遮物を増やしたら私の頭がおかしくなりそうだよ。だから、あんたの能力使って何とかしといて」

 「そんなこと出来ませんよ!」

 真の情けない発言に呆れたのか優子はため息をついた。

 「あんたの両目の役割をその2箇所の壁に一つずつ移せばいいでしょ?ほら、これで出来る」

 「いいですか姉御?両目の役割を移すって事は、俺がどこに行こうと移した場所から視点が動かなくて、解除するまでその場所を見続けるってことですよ?」

 「仕方ないじゃん。私もう能力使いたくないもん」

 「それに、どこかのイケメンがそこで壁ドンなんてしたらその衝撃が俺の目にまでもきますからね!?」

 「そんなヤツいないって。大丈夫だから行くよ」

 嫌がる真の胸元を掴み残りの範囲に向かった。



 20時48分

 「右目は住宅街、左目には別の住宅街。そして、見えてるはずの姉御の顔が見えない…」

 日も落ち、雲が一つもなく月が輝いている夜に優子と真は猫の捜索を始めようとしていた。

 「思ったんですけど、これ片目だけ住宅街に移して、もう片方は俺自身がその場にいて見てれば視覚を両目分失うこと無かったんじゃないですか?」

 「………」

 「嘘でもいいからなんか言ってくださいよ!惨めになるんですよ」

 「そ…そうだね。真の言う通りで解決…するね…」

 優子は合うはずのない目をそらし気まずそうに答えた。

 「それに俺はどうやって歩けばいいんですか!?目が見えないのとほぼ同じですよ?」

 「ああ、それなら大丈夫。私がエスコートするから」

 優子の思いがけない言葉にそれならいいかもと思ってしまう真であった。

 「ほら、行くよ」

 優子の腕に真が手を絡めて進み始める。その姿はさながらカップルのようだ。

 「どうですかね?バージンロードを歩いてる見たいですかね?」

 「2人の性別が逆なら見えるかもね。ところで、そっちはなんか見えた?」

 「いえ、通行人は見えますが猫は見当たりませんね。姉御は影に何か入りましたか?」

 「いや、通行人というか、人間っぽいのはよく通るけど猫みたいに小さい反応はないかな」

 優子は光遮物の影に入った物を支配できる。影に入った物の外見は分からないが大きさと形も分かる。それを利用して猫位の大きさと形が影に入ったら動きを止めて優子が確保しに行くという作戦だ。

 「なんかお腹すかないですか?」

 「そうだね。夜ご飯食べに行こうか」

 「どこに食べに行きます?」

 「もう昼間のうちから決めてあるんだ〜」

 そう言うと優子はポケットから携帯電話を取り出し誰かに電話をかけ始めた。

 「もしもし?昼間にお願いしたやつ持ってきて」

 短い会話を終えて優子は携帯をしまう。

 「ここに持ってきてくれる店なんてあるんですか?」

 困惑した様子で真が聞くが優子は何も言わず、ただニヤっと笑うだけだった。




 21時07分

 優子は腕時計を見て時間を確認する。

 「さて、そろそろ来るんじゃないかな?」

 「本当に来るんですか?」

 真の疑問はまだ解消されてないらしく、未だに疑った感じだ。

 「ほら来たよ」

 優子の目線の先にはブロンドでショートカットの少女。それがこちらに走って来ていた。その少女は優子の前で止まり、肩で息を始めた。

 「お疲れ様でした」

 「アア、疲レタ。コレガ頼マレテタ物ダ」

 ロマーヌは手に持っていたビニール袋を優子に渡した。

  「お〜。いつもありがとうございます」

 優子はビニール袋に手を突っ込み中のものを取り出した。

 「んん?このパンは何パンなの?」

 「餃子パン。今日カラ発売サレタンダガアマリ売レナカッタ」

 ロマーヌはパン屋で働いており、余ったパンの一部をよく優子に譲っているのだ。

 「ロマーヌの働いてるパン屋って不思議なパンだすよね〜。マグロパンとかスパゲティパンとか」

 優子はパンのラッピングを外しながら言うと1口で口に押し込んだ。

 「うん、美味しいね。他のパンが美味しすぎるから売れないのもしかたないね」

 と優子が言うとロマーヌは嬉しそうに笑った。しかし、優子の隣にいる人物に気づくとその表情は真逆になった。

 「気ニナッテイタンダガ……何デコイツガイルンダ」

 ロマーヌは優子にしか聞こえない声で言い、真を睨んだ。真は睨まれてる事も知らずにぼーっとしている。

 「ちょっと仕事の手伝いでさ。ほら、真。パンが届いたよ」

 「あ、ありがとうございます」

 真はパンを受け取り食べ始めた。

 「ナンカムカツクナ。殴ッテモイイカ?」

 「今仕事中だからまた今度にしといてあげて」

 拳をつくり、今にも飛びかかりそうなロマーヌを優子が抑えた。

 「まだまだ沢山あるしロマーヌも食べなよ」

 優子はビニール袋から餃子パンを一つ取り出しロマーヌに差し出す。しかし、ロマーヌは露骨に嫌そうな顔をして断った。

 「私ハモウタクサン食べタカラ大丈夫ダ」

 「そう……」

 「私ハソロソロ帰ルナ。仕事頑張レヨ」

 ロマーヌは向きを変えて走り出し、その姿は暗闇に消えて見えなくなっていった。

 残された優子はビニール袋の中を覗き込んだ。

 「まだまだあるけど食べ切れるかな?」

餃子パンは普通に売れそうですね。でもマグロパンはあっても売れなさそうです。


今回は微妙な所で終わりましたが、キリがいい所までいくと長くなってしまうため、ここで切りました。

次回は連載始めた時から書きたかった所になると思います。自分の力を最大限使って伝えるのでお待ちください

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