認識不能者の疾走
誤字脱字を見つけましたら読み終わった後にでもご指摘ください。
12時17分
缶詰を持った猫。それを追いかける猫。更にその猫2匹を追いかける男。というややこしい塊が商店街を移動していた。こんな構図誰が見たとしても不思議なもので周りからの目線も集めていた。
この男、影山は訳あって今朝方からこの猫を探しては追いかけ、見失い、見つけては更に追いかけ、逃げられている。
「ちくしょう…。何でこうなる」
息を荒らげながら言い、今朝の失態を思い出した。自分が調子に乗らず、能力を使わなければこんな事にはならなかった。しかも、能力のせいで認識しにくいのか猫を探すのにも苦労する。追いかけてる方の猫もよく見失わないものだ
。そして、あれから数時間も経っているのにまだ追い続ける執着心。諦めて他の餌を探した方が数倍効率的の様な気がしてならない。
猫達は颯爽と人混みを走り抜けているが、影山は人を上手に避けながら追いかけている。影山はぶつかりそうになりながらもスピードを落とさずひたすらに走った。しかし、人と人の間を抜けた時、目の前には車椅子の少女。影山は突然のことに焦ったがすかさず横に避けようとした。しかし、車椅子のタイヤが足に当たった。
「痛っ!」
影山はその場で五体投地の形で転んだ。周りからの目線が更に集まる。
影山は強打した顔を上げ、自分の事など全く気にせずに走り続ける猫達を見た。どんどん猫達は遠ざかっていく。
「ちくしょう…。行っちまうのかよ…」
「大丈夫ですか!?」
後ろから声が聞こえる。立ち上がっり、見ると車椅子の少女が心配そうに影山を見ていた。
「特に怪我はないかと…。すいませんでした…。そちらにお怪我は?」
影山は頭に手をやり、少し照れくさそうに謝ると、彼女は黙って首を降った。
「急いでたご様子でしたし、私は大丈夫ですから。どうぞ先を急いでくださいな」
「でも」
「私は大丈夫ですから。車椅子をなめてはいけませんよ?」
少女がほほめみながら少しからかう様に言うと、影山は深くお辞儀をして再び猫達を追い始めた。
影山が去り、1人残された少女はホッとため息をついた。その時、彼女の携帯の着信音が鳴った。
「このメロディは!」
少女は目を見開き、興奮気味に携帯を取り出した。
目線変更が多くて話が短くなっています。最近忙しいというのもありますけどね。
来週は1回の投稿になるかもしれません。




