高校生能力者の衝動的家出
初めて投稿する小説です。文法の間違いや誤字脱字もあると思います。そこは暖かい目で見てください。
まず、前書きにこういうことを書いてもいいのかすらわからないくらいの初心者です。
20170416 修正しました
近年、世界に何が起きたか、人知を超えた能力を持つ人間、いわゆる能力者が増えていた。昔から本物の能力者は少なからずいたらしいがここ数年で爆発的に増えたのだ。
異能力者は年々増え続けついには世界人口の5%以上が異能力者となった。
なぜこんなにも異能力者が増えたのかは専門家達が必死に考えているらしいが、全く検討もつかず、それどころか異能力者の存在を少しも理解することさえ出来ずにいた。今でも脳が覚醒しただとか、新種のウィルスだの沢山の説がある。唯一わかっているのは誰でも能力者になる可能性があるという事だ。
能力者が増える一方、同時に増えるものもあった、それは異能力を使った犯罪、異能力の影響での障害、異能力者を差別する人も増加したことだ。
僕が自分の能力に気づいたのは4歳の頃だ。父の仕事場について行って初めてその能力が自分にしか使えないということがわかった。
父は町の病院に勤めている医者で、よく父が診察するのを特別にみしてもらっていた。父は僕を医者にしたかったらしい。僕もそのつもりだった。
父が診る患者達は全員嗅いだことのない不思議な匂いを持っていて、僕にはその匂いを嗅ぎ分けることができた。何人も匂いを嗅いでいると、たまに同じ匂いの人がいた。父の診断をよく聞くと同じ匂いの人は同じ病気だった。
その時の僕は何も不思議に思わなかった。これは全員出来ることで父も匂いで病気を診断している、そう考えたんだ。でもこの考えはすぐに間違っていることに気づくことになる。僕は看護師の人にこの嗅ぎ分ける能力についてはなしてしまったんだ。
看護師はすぐにそれが僕にしかできないことを伝えた。今思うと子供の妄想だと思ってききながしてほしかったものだ。
僕はこの能力は自分にしかないことをとても喜んで、それからというものその能力の練習をした。すると症状だけじゃなくて、人の感情までわかるようになった。その人が能力者かどうかや、年齢まで大体のことはわかった。
そして、万を期して父に笑顔で能力のことを教えてあげたんだ、そしたら父は今まで僕が見たことも、普通なら見ることもないような絶望した顔をして何も言わずに、近くの椅子に倒れるように座り、それから何も言わなくなった。
父は能力差別者だったのだ。
それからの父はこの能力は特技で能力ではないことを僕に言い聞かせ、それを禁止した。そして職場に連れていくこともなくなった。
あれから数年がたち、僕は高校生になった。
8月12日午後10時29分
僕はコンビニに行った帰りに住宅街を散歩していた。
あの時、父が能力を禁止してから僕は意識的にこの能力、ではなく特技をつかっていない。しかし、匂いをかげる距離の人は無意識でもわかってしまう。これは仕方が無いことだと思う。
夜の散歩をしていると毎回のように考えてしまうことがある。僕はこの能力を一生使わずに生きていくのか、この能力をもっと人のために役立てるべきではないのか、などといった大体は自分の能力についてだ。
みんながみんな父のように異能力を差別することはないはずだ。しかし、どうしても父のあの絶望した顔が忘れられない。自分の息子が差別している対象に含まれた時の親の気持ちなんて想像もできなかった。いや、したくもない。
そんなことを考えながら歩いていると道路の真ん中に黒い物体があるのが見えた。この辺りは道路の両端に家がならんでいて、街灯もすくなく、しっかりとは見えない。
最初は引き返すなり、違う道に戻ることを考えたが、自分じゃない何かにおされるように物体の方に歩き始めていた。
なぜ僕は歩き始めた?今からでも引き返そうとした。しかしその時には既に黒い物体がしっかり見える距離にきていた。
猫とかの死体かとおもっていたが、猫よりもでかい。近づいて分かったが人間らしい。うつ伏せに寝ていて顔は見えないが夏なのに黒色のロングコートを着ていて腰のあたりまでありそうな黒髪が特徴的な女性だ。
ただの酔っ払いと思って戻ろうとしたが、このまま放っておいて事件とかになってもあと味がわるいし、一応話しかけるだけ話しかけた。
「あの、大丈夫ですか?」
「……」
返事はなかった。僕は片膝をついてもう一度はなしかけた。
「あのー、意識とかありますかね?」
「…………ン」
その時、うつ伏せの女が少し動いた。そして僕の鼻にその女の匂いがやってくる。ああ、また無意識的に特技を使ってしまうことになるのか。匂いからなら大体のことはわかるしこっちの方が手っ取り早いだろう。
匂いから分かった事は、女は酒を飲んでるわけでもなく、怪我もなく、病気もしてるわけではなかった。しかし1つ引っかかった匂いがある。
この女は能力者だ。
能力者にも独特な匂いがあり、過去にも何度か嗅いだことはある。この女からもその匂いがした。さて、女の健康状態はわかったがここからどうしよう。さっき少し動いたことから意識はあるだろう。このまま放置しても大丈夫だろうか?そう考え始めた時、
「う、うぅ……」
女がゾンビのように唸り始めた。
「み、水ちょうだい……」
10時40分
僕はコンビニで買った炭酸飲料をこの女に渡すことにした。
今は移動して公園のベンチに座っている。この時間の公園はとても静かで遊具達さえ眠っているようだ。
「ふぅ、生き返ったー」
女は能天気に伸びをして肩を回し始めた。まるでさっきまで眠っていたかのように。
「さっきから話しかけてたのは君?」
女は肩を回しながらきいてくる。
「一応、、そうですけど」
「そう、ありがとね。ちょっと疲れちゃってたみたい」
女はまた炭酸飲料を飲みはじめた。
僕はなぜこの女が倒れていたのかとても気になっていた。
「あの、なんであそこで倒れてたんですか?」
「ん、そうだねー、今何時?」
質問したら時間を聞かれた。時計をもっていないのか?
「10時40分を過ぎたくらいですかね」
「そう、じゃあ今の数十分前に私は飛び降りたんだよ。」
「うん、訳わかんないっす」
は??何を言っているんだ?あの住宅街に飛び降りれるような場所はそうないし、少なくともあそこには着地するはずがない。もしかしたら能力が関わっているのかもしれない。
「それってあなたが能力者なのと関係しているんですか?」
最近は能力を隠す人が増えているらしい。この人もそうかもしれない。
すると女は飲んでいたペットボトルをキャップでとじ、驚いたような顔をした。
「そう、私は能力者よ。でもあなたに話してないわよね?なぜわかったの?あなたも能力者か何か?」
案外普通にこたえてくたが質問攻めにされた。本当は人に能力について言うことは禁止されているが、仕方がない。
「…………一応そうだとおもいます」
「すごいじゃない、私の知り合いにも能力者は何人かいるけど初対面の時に能力者だってみぬいたやつはいなかったわ」
まさか褒められるとは思っていなかった。
「そんなことないですよ。ほとんどこの能力は使いませんし」
「あら、なんで使わないの?」
なぜ使わない?そう聞かれたら答えは一つだ。
「父は能力差別者なんですよ、僕の能力をとても嫌っています」
「そう、物わかりのない親ね、自分の子供にしか出来ないことがあるのだから誇りに思うべきだね」
確かにこの能力は僕にしかないだろう。
「1つ聞いてもいいですか?」
「ん?なにかしら?」
「僕はこの能力を役立たせるべきでしょうか?」
僕がずっと考えていた事だ。
それを聞くことにした。同じ能力者なら答えが聞けると思ったのだ。
「それはあなた次第でしょうけど、少なくとも私はそうしたわ、自分の能力を役立てる仕事についた、そしてたくさんの命を救ってきた」
能力を役立てる仕事?そんなものが存在するのか?
すると女は立ち上がった。
「飲み物ありがとう、今手持ちがないから代金はもしも今度あったら返すわ」
そう言うと女は立ち去った。
どんな仕事か聞きたかったものだ。そしてあの女はどんな能力なのだろうか。しかし、1つ決まったことがある。
この能力は僕にしかない。これを役立てない手はない。父に差別されようが構わない、僕は自分のしたいことをする。そのために父を説得しなければならない。
11時02分
[一ノ瀬]の表札がある少し大きめの家が僕の住んでいる場所だ。
玄関を開けると母が出てきた。
「遅かったわね、光輝どこまで行っていたの?」
「いや、コンビニ行った後に散歩してただけだよ。それより父さんは?」
母は僕の手にあるビニール袋に目を落とした。
「父さんなら書斎よ」
「そう、ありがとう」
靴を脱ぐと玄関のすぐ近くのの部屋の前に来た。これから父さんに先程の決意を伝えるつもりだ。僕は扉をノックした。
「父さん、はいるよ?」
返事はなかった。僕がドアを開けると、部屋中を本棚が囲み、床には絨毯も挽いてあった。そこに父は扉に背を向けてすわっていた。
「光輝何のようだ?」
父は低い声でゆっくりと尋ねる。
「父さん、これは大事な話なんだこっちを向いて欲しい」
父さんは言われた通りに椅子を回転させ、互いに向かいあってる状態になった。
「父さん、僕が4歳の頃を覚えてる?」
「あの力の話か?」
父さんは気づいていたらしい。
「あの時何度も話しただろ!あれは能力ではない!お前が得体の知れない能力者であるはずがないのだ!」
「能力かどうかなんて関係ない、僕はあの力でひとの役に立ちたいんだ」
「あの力で人の役にたちたいだと!?あんな呪われた力で人の役に立てるはずがない」
父は興奮気味になっていた。
「僕は父さんと真面目に力について話したかったんだ、そして説得したかった。でも、父さんは聞く耳を持ってくれない」
僕は下を向いて少し泣きそうになっていた。絨毯の鮮やかな色がみえる。
「そこまで言うならば出ていけ!お前みたいなやつはもういらん」
ついに言われてしまった。しかし、そのくらいで僕の決意は揺るぐはずもなかった。僕は書斎を出ると自分の部屋で最低限のものをもって玄関に向かった。
「どうしたの?光輝、また出かけるの?」
「うん、ちょっとね。父さんのことよろしくね」
母には出ていくことを言いたくなかった。
僕が玄関から出るとき、書斎から出てきた父と目が合った。まるで哀れな小動物を見るような目で僕を見ている。
もうここに戻ることもなく、父に会うこともないのかと思うと寂しいような、悲しいような、そんな感情が混ざった気持ちになった。
「父さん、母さん愛してるよ」
これが今生の別れのように心の中で呟いた。