空虚、そして打破
掲載日:2015/06/07
街の喧騒も、
男女の言い争いも、
友人の話し声も、
彼女の笑顔も、
何もかもが、
虚ろに見えた。
そんな夏の日の、
或る、物思いに耽った男の話。
何も感じるものがない。
それは私が空っぽになったからか。
それは私が愛を捨てたからか。
何も楽しいと思えない。
それは皆にとって喜ばしい事か。
それは私にとって素晴らしい事か。
無情にも時は過ぎる。
それは無表情のまま過ぎる日々のせいか、
それとも無感情のまま生きる私のせいか、
この現状に、嫌悪。
この日常に、苛立ち。
そして私は走り出し、
無表情のまま過ぎる日々の中にいる、
無感情のまま生きる私の首根っこを掴み、
あの全ての元凶である青過ぎるあの空に、
窓から放り投げてやるのだ。
あのいびつな形をした、
白い白い雲の中へ、
力いっぱい、
力いっぱい放り投げてやるのだ。
気付けば、またいつも通りの日常。
街の喧騒も、
男女の言い争いも、
友人の話し声も、
彼女の笑顔も、
男にとって、大切なもの。
坂の上で、友人の呼ぶ声。
急いで走り出した男の耳元で、風が鳴いた。
「今のお前を、打破しろ」




