チートを超える隠れチート
「お前ら本気で打ち込んでるのかっ!」
「「「「さーいえすさー」」」」
「本当はやる気がにゃひふん…したかんら。」
しかも勢い良くかんだから吐いた唾に血が混じってる。
ちょっと切れた。
「ルッシェさん大丈夫?」
心配してくれた少女赤坂南ミナミ=アカサカに大丈夫大丈夫と手をひらひらさせてみせる。
まったくなれない事はするもんじゃないとはよく行ったものだ。
「ベロがいらいから、十分休憩。」
いや、地味に効いてるんよこれ。
そう言ってやると四人ともその場にグッタリと座り込む。
「なんで、勝てないんだろう。」
「四人がかりで本気で打ち込んでるのにルッシェに一発も当たらないなんて…勇者って本当にチートなんてあるの?」
素人だからな剣筋はめちゃくちゃだけど正面からは受け止めたくねと思うほどに早えし重てぇよ。
まだ、人に打ち込む事への躊躇いの隙をついてるからなんとかなっちゃいるが、お前らは間違いなくチートとやらだよ。
「ルッシェは本当に何者?」
「自覚のない転生チートとかなのかな?」
こらこら、それは単なる経験不足だよ。
勝てないからって人を勝手にチートなんておかしな分類にわけて話しするんじゃねえよ。
「あっはっはっはっ!!わかってるわかってる。それじゃあ今チートと口にした奴は、休憩が終わったら日が落ちるまで楽しい素振りのお時間だ。」
まだ昼前どころか地球時間なら10時くらいなので太陽は真上にすらきていない。
「「の…ノーサーッ!」」
顔を青くして叫ぶ二人は紹介が遅れた二人、この中では一番背は高いが中肉中背とよぶにふさわしい少年鈴木一郎イチローと、巨乳の美少女細河史恵・フミエのふたりだ。
「俺とお前らとの約束だろ、転生チートやらチートと口にしたら倒れるまで素振り、日が落ちるまでちーとだけ素振り、日が昇るまであいだちーとだけ素振り…ちーとだけの素振り大好きだよな?」
「……。」
鳴きそうな顔をしているが、俺の知った事ではない。
この先に、自分たちがチートという意識があると油断を生む、
まずは便利にして邪魔な言葉チートを罰を与えて廃絶させるよていだ。
「そうだな、昼までに俺に一本でも打ち込んだら無しにしてやるよ。」
「…絶対むり。」
「なんて無茶な。」
そう提案をしてやったら、実際に落とされた奴の顔なんか見たことはないが、地の底に叩き落とされたような顔をされた。
そんなに難しい話ではないはずなのだが軟弱な奴らだ。
本来は素振りのみだろうけど、まずは慣れてもらうために俺と実戦に近い環境の下で組み手をさせている。
俺以外は全員城から寄贈された特注のミスリル鋼ソードを使用している。
それ以下の強度だと、こいつらの力の入れ方が可笑しいので簡単に折れる。
ちなみに俺は兵士用の鋼の剣だけど、これくらいの稽古なら多分大丈夫。
人気がない時間帯は互いに組み手をしたりして感覚を掴ませるつもりでいた。
思っているより自分の力に振り回されているのが見てとれるから、型を教えるより先に体の動かし方を学ばせている訳だ。
コレになれた頃には鋼剣は折られるかもしれないが、新しい剣を支給してもらえるんだろうか。