SS揺るがぬなんちゃら
彼らと出会ってひと月と半分、姐さん達からいただいた美味しいお裾分けで焼き肉パーティーになりました。
「本当に近くでとれるんだ。」
「湧いてくる場所で張り込みしないとなんないから結構大変なんだぜ?」
くちゃくちゃもぐもぐ頬張りながらのお喋りは大変な修行である。
ミサンガは相変わらず夜になるといい匂いを発する。
結果、女除けじゃないかとの結論にいたる。しかも、かなり強烈。
何がしたい姐さんたちよ。
女子二人が焼くのを手伝ってくれるのだが、そろそろ肉がなくなる。
「ロビン・フッド、鳥でも捕まえてこい。」
「…無理だよぅ。」
使えないロビン・フッドがあったもんだ。
◇◇
「えー、来週はあまりこちらに来れませんので騎士隊の方々とがんばって下さい。」
『ブーブー』
そこヤジを飛ばすな。
「仕事忙しいんですか?」
フミエは優しい子だねぇとか思いながらデカメロン未満のそれが大事にいたらなくって何よりだと感謝する。
もごうとしたのは俺だけど。
「違います、毎年恒例のスラム慰労会なので部外者はお断りです。」
そうなのだ、明日からスラムの一部は近くの湖まで移動して蒲焼きの材料を取りに行く。
しかけは、大小様々だがメインは全員で釣り上げる一本綱引き漁だ。
過去には鯨なみの大物もを引き上げた話もある伝統的な漁で、姐を含め俺たちは毎年恒例で欠かさず参加している。
今んとこ、イルカ程度のサイズしかお目にかかってないが、今年こそレジェンドになりたい。
◇◇◇
「今年はあまりかからないみたいね。」
「ウツボくらいしか穫れてないらしいわ。」
「困ったね。」
上からアリス・テレス・アリカだ。
露出度の高くない水着をしているのに物凄くエロチック。
フミエのあれは序の口なのだ、なにかあったらもいでも悔いはない。
「テレサ背中が冷たい。」
「ちょっとくらいいいじゃない。」
ちなみにテレサは俺の背中を背もたれにしてだらけている。
俺はと言うと生け捕りに出来る小さな獲物用のカゴを作っている最中だ。
ちなみに、彼女らは水の中に設置した罠を確認して帰ってきたばかりで体が適度に冷めているので暑くはないが濡れたまま帰って来たので俺の背中は美女によりビッチョビチョである。
「ルッシェ今夜は寝かさないわよ?」
「寝ずの番ですねわかります。」
正確には交代で火の番をするだけだが、テレサの妖しい言い回しによって今夜何かあるんでなかろうかと期待してしまう。
他の二人がいる限りありえないんだけど、誰か嫁に来てくんないかなぁ。
生活基盤も出来たがらそろそろ家庭を持つことも視野に入れておきたい年頃なんよ。
姐さんたちがいると他の人があまり視界に入らないのが難点だよな。
美人は存在自体が罪である。
高嶺の花だというのに、目ばっかり肥えちゃってまともな恋愛ができるんだろうか。
あと、俺をからかって遊ぶのやめてください。
理性がもちませんよ?そして、すべからく返り討ちにあうんだろうな。はぁ、虚しい。俺は一体なんなんだろうと思うときがある。
スラムの時から鍛え上げていただいたから強さは半端ない、しかし、慢心できるほどの余裕はない。
彼女らは俺の上を行っていると確信できる。彼女らだけではなく義母やその周りの者達もそうだ、なんか俺結構強いはずなのに底辺にいる気がする。
十数人の大所帯が一つの焚き火を囲んで横になっている。
不寝番はイヤではないが、どうして何事も断れないのか、永遠の謎だ。
パチパチとはぜる焚き火を見ながら考えるが、毛布がもぞもぞと動き思考が止まる。
―もうちょいだっ!
はねのけられた毛布と露わになっ生足はアリカのものだ。そのさらに奥へ視線をロックオン。俗に言うガン見という奴である。
今は真夜中で焚き火意外は月の薄明かりしかない。
光が光がたらんのです!弾だっ!ありったけの弾をよこせっ!!
小枝をくべながらその暗さを忌々しく思う。
そして、悶々としていて不意に思いついた事がある。
―アッチに移動したら見えんじゃね?
しかし、膝にはアリスの頭が乗っている。
起こすには忍びないし、枕の一部がいきなり硬くなっては寝にくいだろう。
仕方ないので今回は諦める、明日は座る場所をよく吟味してからにしよう。
二章にするにはちょっと難しかったのでSSにしました