第零(SS)章・ぼくの憧れは兵隊さん
遅筆ですが、どうぞよろしくお付き合い下さい。
兵士がいつものように街の巡回をする。
その姿にスラムの子供達は強い憧れを抱いた。
時に荒くれ共が騒ぎを起こせば集団で駆けつけて騒ぎを治め。キレイな兵士服を着て街を歩きの治安維持に務める姿はスラム街の子供にはヒーローそのものだった。
平民出身の子供ならぱ就寝時に枕元で聞く英雄譚に幼心を踊らせ騎士への憧れを抱くのだろうが、スラム街では貴族や騎士なにかを覚えるような生き方はできない。騎士は城の中にいるからまずお目にかかる機会はないしスラム街の良識ある親は貴族《お方様》と言い存在自体が違うのだと教える。
もし、どこかの誰かが貴族に手を出そうものならば、たちまちスラム街に生きる全ての者に権力と言う暴力で全てを奪われると知っているからだ。
たが、スラム街を巡回する兵士などは地理に詳しいスラム街出身者や平民出が多いので気さくな者も多い。
気さくで逞しい大人に憧れても不思議ではない。そしてなにより、自分で得た食べ物しか口にできないスラムの子供からみたら平の平兵士でも超高給取りだ。
大人になると忘れて裏家業に走る者が多いのもまたスラムの特徴ではあるが、スラム街の子供達は兵士になる夢を見る。