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人間②
さて、私の縄張りには人間の大軍がゾロゾロ歩いています。
また騎士団みたいです。それも違う国の。
「懲りないなあ~。」
本当に……
あれだけの犠牲を払ってまで何を得たいのか。
「質は落ちるだろうけど人間の土地には同じように薬草や魔石はあるだろうに。採り尽くしたか?」
資源は豊富な訳じゃない。
欲望のままに使えば無くなる。
「ほっといてもいいけど、私の縄張りを荒らされるのはムカつく!」
ドラゴンの本能に引きずられているのか、気性が荒くなっていた。
人間なんて無視すればいいのだろうけど、やはりムカつくのは我慢ならない。
どうしてくれようか?
踏み潰す?尻尾で凪ぎ払う?ブレスで焼き尽くす?
ああ、それも悪くないな。
この時の私は理性なんてなかった。
ただ、激情のままに浸入者を排除したいと、ただそれだけだった。
人間は竜の怒りを買ったのだった。