混乱する心【カエデside】
本能のままに人間を殺してしまった私はずっと苛ついたままだった。
私の中には人間の心とドラゴンの心が同居している状態だ。
本来は『人間:ドラゴン=4:6』の割合でブレンドされているのだけど、人間の一件で私は限りなくドラゴンに近い状態になってしまっていた。
殺戮衝動が収まらない。
怒りが湧いてくる。
こんな自分をコントロール出来ないのは初めてで、人間の【楓】が怖がっていた。
どうにかしようと【カエデ】に語りかけても止まる気配はない。
それどころか人間に対しての憎しみが膨れ上がっているのも感じた。
実際は【楓】が怖がり【カエデ】の意識に触れ合えていないから、人間が【楓】を怖がらせたと思い、憎んでいるのだ。
そんな事情だとは知らず、楓が奥に引っ込んでいるせいで今この時も状況は悪くなる一方だった。
『憎い……憎い……人間。私の世界を壊した人間……許すものか……』
憎しみは止まらない。
縄張り内の魔物に八つ当たりしても足りない。
人間だ
この乾き、憎しみが灌げるのは人間を殺す以外ない。
カエデはあの人間達が撤退した方向を睨む。
『人間を滅ぼさねば……』
漆黒のドラゴンが邪竜になった瞬間だった。




