諦めた希望
王はディオラクスに幸せになってもらいたかった。
ディオラクスは自分が生まれる遥以前からこのイシュルツアを守ってきた。
ディオラクスには兄弟はなく、年老いた親竜の最後の子供だった。
その頃には竜は彼ら以外死に絶えていたのだ。
親竜はディオラクスが成竜になるのを見届けてからこの世を去った。
それから何百年とディオラクスは孤独の中でずっと生きてきた。
それが今になって同族のドラゴンが現れたというではないか。
「確かにシルグランド王国の嘘かもしれない。だがな俺は本当なんじゃないかと思うんだ。ディオ、近い内にエンドレシアに散歩に行こうじゃないか!」
「王!」
「良いじゃないか。俺もディオも働き過ぎだ。たまには息抜きが必要だろうが?」
「貴方はエンドレシアがどのようなところか分かっているのか!?」
「ディオがいるのに危険などないだろうが。万が一、俺が死ぬようなことがあったとしても異母弟共がわんさか子供を作っているから後継者には困らないだろう。」
『ハルジオ、あまりカリシアスを困らせるな。仮にも王が簡単に死ぬなど口にしてはいけない。』
子供に諭すように王に諭す。
『だが、ハルジオの気持ちは受け取っておこう。もう何年もエンドレシアを偵察していなかったからな。良い機会だから行ってこよう。』
「勿論、俺も同行するからな!」
「ハル!」
怒りのあまり愛称で呼んでしまった。
だが、ハルジオは嬉しそうだった。
実はハルジオは元々いじめっこ気質があり、相手をからかうのが好きなのだ。
「だからディオがいれば大丈夫だって。これは決定事項だ。」
勝手に外出届けを作成し、自ら判を押してしまった王を見てふらつく宰相。
ディオラクスは平和なその光景を見ながらエンドレシアに想いを馳せるのだった。




