人間④
俺もバークの事を言えた義理じゃないから、そろそろ互いに年貢の納め時だ。それに、仕事だけの毎日じゃ、つまらない。我が家に誰かが俺の帰りを待っていてくれるとこういう時に絶対に生きて帰ろうと思える。
「俺達は隊長まで登り詰めたが、まだ不足している部分があると思うんだ。」
「不足?」
「ほら、師匠がよく言っていただろう?騎士という人種は死にたがりばかり、生きるということを考えないのだと。」
「ああ……」
「俺、初めは師匠が騎士をバカにしているとばかり思っていた。」
「俺もだ。騎士は国のために犠牲になるものだ。意地汚く命を永らえさすなど騎士の誇りが怪我される。」
そう、俺もそう思っていた。
「けど、初めてこうして死ぬかもしれない環境を体験して何となく師匠の言いたいことが分かった気がした。確かに誇りが大切だが、少しでも長く生きて国の為に尽くす、それが騎士として在るべき姿なのではないかってな。」
「…………死んでは国を守れないと?」
「そうだ。だから生きるのをあきらめないでくれよバーク。共に最後まで国を守ろう!」
「……ああ。ロキとなら退屈しなくて済みそうだ。」
俺達は出来もしない約束を子供の約束のように誓い合った。恐らく約束は果たせないだろう。けれど俺は何か約束が欲しかったのだと思う。いつ死ぬかもしれない場所で誰にも俺の、俺達の存在を忘れてほしくなかったから。
だからまさかこの後にあんな事件が起こるなんて、今の俺達は知るよしもなかった。




