ハルバートン家⑪
イメールとロバートが笑いをこらえている姿が、目に映った。
「す、すみません。決してロウマさんが老けているとかそういう意味ではなく、あまりにも大人びていたのでつい……」
「姉さん、顔が笑っているわよ。素直に言いなさい。年齢の割には少々、老けているって」
ディナが、にやにやしていた。妖艶な言葉づかいが、ロウマのショックにさらなる一撃を与えた。やはりこの次女は苦手だった。
「黙ってなさい、ディナ!本当にすいません……なんてお詫びしていいのか……ああ、そうだ。お詫びに、ハルバートン家全員の年齢を教えてあげますので、機嫌を直してください。ええと、私が二十六で、ディナが二十五、イメールが二十二、レイラが二十一、シャリーが二十、ルミネとロバートが双子なので十八です。以上です」
「違う、姉さん。それはお詫びじゃないよ……」
ロバートが言ったが、ライナは半分混乱しており、聞いてなかった。
イメールは腹を抱えて笑っていた。それに釣られるように、他の面々も笑い出した。
ロウマもいつの間にか苦笑していた。たまには、こんなのも悪くないと考えていた。
ピルトンは使用人であるため、笑うことができなかった。しかし必死に笑いをこらえており、顔をむずむずと動かしていた。
ライナはただ、あたふたと慌てていた。
ますます笑いが大きくなった。
ふと、ロウマはシャリーと目が合った。しかし、すぐに目を伏せられてしまった。
嫌われてしまったようだと認識してみそ汁をすすった。
だが、ロウマは気付いてなかった。シャリーの頬が、微かに赤く染まっていたことに。
***
食事が終わると、ロウマはライナに呼ばれた。行った場所は庭であり、テーブルと椅子が用意されていた。
「どうぞ、おかけください。すぐにお茶を用意します」
ロウマは言われた通りに椅子に腰かけた。しばらくすると、ライナが盆に何かを載せてやって来た。
お茶というからてっきり、紅茶のカップでも持って来るのかと思っていたが、盆に載っているのは、見たこともないものであり、その中には深緑色の液体が入っていた。
「何ですか、これは?」
「これが私達の使っている湯呑みです。入っているのは緑茶です」
「湯呑み?そして、これがお茶?」
「はい。あなたから見たら奇妙でしょうが、これが私達のところでは普通なのです」
ロウマは試しに一口飲んでみた。うまかった。心が落ち着くような感じの味だった。




