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グレイス⑥

「シャニス将軍の言う通り、あの反乱軍は少々違うようです。私の間諜隊でも反乱軍が拠点としている城付近の支部が潰されましたからね。なんといってもそろっている面々が、普通ではありません」


「ほう。どんな奴らだ?」


「頭領の男は、セイウン=アドゥール。かつて、クルアン王国で武術師範の職に就いていました。といっても、就いていた期間は、ほんのわずかですけど」


 アラリアがセイウンの名前を出した途端、シャニスとゴルドー、グレイスの顔色が変わった。


 キールは仮面をかぶっているので顔色は分からないが、おそらく三人と同じ表情をしているはずである。四人とも以前、セイウンに会っていた。目をつけていた賊を殲滅せんめつした際に、ロウマに紹介された男だった。


 自分達の賊の殲滅の方法に反発して、ロウマにもつかみかかろうとしたので、グレイスに打ちのめされていた。


 あの時打ちのめしたグレイスと後で運んでやったゴルドーは、セイウンの顔をよく記憶していた。背丈が低かったというのが印象的だった。


「その様子からすると、お前達はセイウンという男を知っているな。どういう経緯で知り合ったのかは聞かないが、敵をあらかじめ知っておくのはよい事だ。話は早く進みそうだ。アラリア、続きを話せ」


「陛下、この男は陛下にとっても興味深いですよ」


「そんなにか?」


「はい。私はセイウンの出生も探ってきました。少し手間取りましたが、面白い事が判明しました」


「言ってみろ」


「セイウンは十七年前に鎮圧された反乱軍の頭領クリスト=フォスターの遺児です」


 その場が騒然となった。まるで時が止まったかのように全員棒立ちしていた。


 ラジム二世でさえも苦い表情になっており、拳を握りしめていた。どうやら嫌なことを思い出したようである。


「間違いないな?」


「はい。セイウンはクリストの副官をしていたゴートの手により、クルアン王国で育てられたのです」


「ゴートか……生きていたのか。道理であの時、奴の死体が見つからなかったはずだ」


 十七年前はラジム二世もまだ皇太子だった。彼もジュリアスと一緒に、クリスト討伐のために出兵していた。鎮圧した際に、クリストを始めとする十人近い幹部の死体や首を確認していた。


 ところが、その中にクリストの副官のゴートがいなかった。


 その後何回も捜索したが、とうとう発見に至らなかった。逃げたのか死んだのか分からないままだったが、とりあえずゴートを戦死扱いにしていた。

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