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女の戦い⑦

「おっと失礼。ルミネお姉ちゃんがいたんだね。ごめん、ごめん」


「もう。ロバートは相変わらずだね」


 ロバートとルミネはお互い笑い合った。改めて見ると、ハルバートン家で一番仲のよい姉弟は、この二人だった。


 ロバートとルミネは双子だった。ただし、双子の割には顔が似ていない。ロウマもロバートからルミネと双子と聞かされた時には耳を疑った。それだけ二人は容姿が似てなかった。


 しかし、心は通っているらしく、よく意思疎通がとれている光景が何度も見られた。ロバートが目で合図するだけで、ルミネはロバートの目当てのものを持って来たり、考えている内容を当てていた。


 その光景を目にする都度ロウマは、双子とは不思議だと考えさせられた。


「ロウマ、片腕で過ごしにくくないか?」


 急に笑うのをやめたロバートが、ロウマに尋ねた。


「過ごせないこともないが、やはり片腕はつらいな」


「そうだろう。俺はお前の腕を落としてしまったから、責任は感じているよ」


「よせ。私は何も恨んでいない。むしろ私を目覚めさせてくれたことには、感謝している。言葉で言い表せれないほどだよ」


「それはありがたい。だが、やはり片腕は生活に不自由なはずだ。そこで、今日はお前に渡したいものがある」


 ロバートが目で合図をすると、ルミネは机上にある大きな包みをロウマの前に差し出した。


 ロウマは素直に受け取った。割と重みのある。何が入っているのだろうか。


「包みを解いてみな」


 ロバートが、にこりと笑った。


「ああ」


 頷いたロウマは、包みを丁寧に紐解ひもとき始めた。


「あっ……」


 中のものが目に入った途端、ロウマは小さな声を上げた。


 腕だった。


 いや、腕といっても、生身の腕ではなく偽物の腕。つまり義手だった。だけど義手とは思えぬ感触である。


 なんだろうか。今まで触ったことがない感覚をしており、ロウマは気味が悪かった。

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