女の戦い⑥
「後がつかえているのだから、さっさと上がりなさい!」
怒声と同時に勢いよく入口の扉が開きディナが姿を現した。
ロウマが苦手にしているディナだが、いいところに来てくれたとロウマは心中で感謝した。
「ディナ姉さん……」
ディナの顔を見た途端、シャリーは一気に縮こまった。やはり彼女も次女には弱いようである。ナナーもアリスも同じように、うつむいてしまった。
「まったく。入浴が長いからのぼせているのかと思ったけど、来てみれば楽しそうなことをやっているわね、ロウマ=アルバートさん」
「私ですか?」
なぜ自分に振って来るのだと疑問に思った。
「人の屋敷の風呂で、女三人と仲良く長湯とはよいご身分ね」
「いや、違います。これは私の指図でやっているわけではありません。こいつらが勝手に入って来て……」
「前も隠してない時点で、説得力無いわね」
「えっ?」
確かにそうだった。思えばナナーが入って来た時から、何も付けていなかった。今更だが、ロウマは恥ずかしさが込み上げてきた。耳まで真っ赤になるのがよく分かった。
ディナは下に目を向けると、くすりと軽く笑った。
「ロバートが呼んでいるから、さっさと上がりなさいよ。じゃあね」
そう言うと、ディナは立ち去った。
***
風呂から上がると、ロウマはナナー達と別れてロバートの部屋へと向かった。さっきのショックはとてつもなく大きいが忘れよう。ディナは苦手なのには変わりがなかった。今日はそれが再確認できた。
途方にくれたロウマはドアをノックすると、中からロバートの声で入室を命じる返事がきた。部屋にはロバートと六女のルミネがいた。
「やあ、ロウマ。遅かったな。ディナ姉さんから聞いたよ。楽しい事をしていたそうだな。どうして俺も混ぜてくれなかった?友達じゃないか」
「してない」
「隠さなくていい。男同士の会話じゃないか」
「だからしてない」
「ロバート、一応私がいるのだけど」
ルミネが笑いながら、ロバートに苦言した。ちなみに彼女は本当に笑っているのではなく、普段から笑ったような顔をしているだけである。