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女の戦い③

「傷は騎士にとって誇りだ」


「この背中の傷も誇りなの?」


 ナナーが尋ねると、ロウマは黙してしまった。傷付けた当人が尋ねるのも変かもしれないが、尋ねずにはおれなかった。


 ナナーは質問を続けた。


「今でも痛むの?」


「時々な?」


「そう……」


「これでいいのかもしれない」


「えっ?」


 ロウマは振り向いた。


「この傷は、私とお前の関係が修復されるための大切な通過点だったのかもしれない。今の私はそう考えている」


「そう」


 ナナーはロウマの背中に抱きついた。


 温もりが背中を焼きそうだったが、ロウマはなんとか抑えた。


「あなたの言う通りかもね、ロウマ」


「そうか……ナナー」


 それからナナーはロウマの背中を丁寧に流した。


 ロウマは無言だったが、しっかりとナナーの優しさを受け止めていた。


 時がずっと止まっていればいいのにと感じていたが、それを破るかのような音がした。


 ガラリ。


 また扉を開く音がした。


 なぜ扉が度々(たびたび)開くのだろうか、とロウマは疑問に思った。


「やはり、そこにいたか……」


「やってくれたわね、ナナー」


 シャリーとアリスだった。この二人も何も身に付けていない状態で入ってきた。


 ロウマの胸の鼓動がまた一段と増した。


 平常心を保つのに苦労させられるロウマだった。


「あら、もう脱出したの?」


 ナナーの口調は冷ややかだった。

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