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不審な傷口⑦

「もういい。とりあえず今は反乱勢力の駆逐を行うしかない。グレイス、お前に尋ねるがロウマは見つかったのか?」


「ああ。見つかった」


「そうか……返事は?」


「駄目だった。やはり私では言う事を聞いてくれなかった。すまない、お前達。私の力不足だった」


 グレイスは、キールとゴルドーに頭を下げて謝罪した。普段はぶっきら棒な態度のグレイスが頭を下げるのには、一種の違和感があった。


 二人とも調子が狂いそうだった。


「やめろよ。おっさんが人に頭を下げるなんて、気色悪いぜ」


「まるで私が礼儀も知らない男のように聞こえるな。私だって人だ。お前達の大事な友人を連れて帰れなかった責任は感じている」


「何だか、おっさんらしくないな」


「ふん、なんとでも言え。私は帰ったがナナーとアリスは残してきた。後は彼女達に任せるしかない」


 キールは頷いた。ナナーとロウマが果たして和解できるかどうか心配だったが、できればしてほしい。かつてロウマからナナーを横取りした自分が、こんなのを考えるのは身勝手かもしれないが、今は成功を祈るしかなかった。


「キール、お前はこれから自分のするべき事を理解しているな」


「ああ。今から陛下に報告に行く。それが終わったら、すぐに反乱討伐のための調練を始める。ゴルドーとグレイスも協力してくれ」


 言い終えると、キールはその場を立ち去った。残ったゴルドーとグレイスも調練の準備にかかることにした。


「おっさん」


 立ち去ろうとしたグレイスをゴルドーが呼び止めた。


「なんだ?手短てみじかにしろ。それから、私は男色ではない。諦めろ」


「馬鹿野郎、俺もてめえのような中年なんてお断りだぜ!その前になんで俺が男色なんだ!」


「違ったのか?呼び止めたから、そういう性癖を暴露するのかと思っていたぞ」


「真面目な話に決まっているだろう!」


「何が聞きたいのだ?」


「おっさん、前から聞きたかったのだが、あんた一体何者だ?」


「どういう意味だ?」


 グレイスの目付きが、微かに鋭くなった。

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