苦しき日々⑥
にやにやしながらロバートは、立ち上がった。
「俺はお前をもっと見てみたい。お前がどうなるか見届けたい。よって俺はお前に付いて行く」
ロウマは驚いた。自分に付いて行くなんて、ロバートは正気なのだろうか。
「ロバート、当主のお前がいなくなったら、ライナさん達はどうなるんだ?」
「安心しな。みんなで行くんだ」
「みんなだと?」
「当然です、師匠。私は師匠が行く所はどこまでもお供しますよ。なんといっても、私は師匠の未来の花嫁なのですから」
シャリーが胸を張りながら、堂々と言ってのけた。
ロウマは聞きたくない箇所があったので、そこは聞き流しておくことにした。
ロウマの横のナナーと真正面のアリスが、恐ろしい形相でシャリーをにらんでいた。下手をすれば、青白い炎が二人から上りそうだった。
とりあえず三人は無視してロウマは話を進めることにした。
「お前の民兵はどうするんだ?」
「心配するな。あいつらも連れて行く」
「連れて行くといっても、彼らにも生活があるぞ」
「最初に言い忘れていたけど、あいつらは実はこの地の人間ではないんだよ。みんなわけがあって、故郷を捨ててさまよっていた流民ばかりなんだ。だから、この土地に対して未練なんかないはずさ。みんな俺が行くと言ったら付いて来るはずだ。道中危険だから、鍛え上げた民兵がいた方が助かるだろう」
どうやら付いて来るなと説得するのが無駄なようだ。深い溜息をついたロウマは承諾することにした。