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殺戮王⑪

「でも、そんなわけの分からないものを持っていても、師匠は師匠よ」


 シャリーが叫んだ。どうやら彼女のロウマに対する気持は、ちょっとのことでは揺らぐ気配は無いようだった。


「よく言いました、シャリー。あなたの言う通りです。能力者であろうとロウマ殿はロウマ殿に変わりありません」


 ライナも賛同した。


「あなたにしては上出来な答えね。ほめてあげるわ」


「今回はいいこと言ったね、シャリー。偉いぞ」


「シャリー、すごい」


「姉貴、素晴らしいぜ!」


「シャリーお姉ちゃん、私も感動したよ。お姉ちゃんを初めて尊敬することができたよ」


「シャリー様、お見事です」


 ロバート達が拍手をして、シャリーを祝福していた。


 ところが、当人はまったく喜んでいなかった。それどころか、こぶしを握りしめて震えていた。


 こいつらは絶対に自分をほめていない。内心からかっているはずである。


 全員いつか八つ裂きにしてやる、とシャリーは心中で吠えた。


 ふと、シャリーはアリスと目が合った。


「何よ?さっきの事をようやく謝る気になったの?」


「何の話ですか?さっぱり分かりません」


「あんたでしょう!私の足を踏みつけたのは!」


「そんな証拠があるのですか?早く出してください」


 それを言われるとシャリーは言葉に詰まった。しかし、周囲にいるライナ達が見ているはずだ。シャリーは周囲に目配せをした。


「シャリー、気持ちは分かるわよ。ロウマさんを盗られるというあせりから出ているのね。でもね、アリスちゃんのようなかわいい子が人を足を踏みつけるという汚い事はしないと思うわよ」


「姉貴、そんなかわいい子が人の足を踏むはずないだろう」


「シャリー様、使用人である私が口を挟むのもなんですが、出来のよいアリスが人の足を踏むわけないと思われます」


 シャリーは泣きたくなった。みんな見かけで騙されている。この世は自分の敵ばかりなのだ。シャリーがアリスにちらりと目を向けると、彼女はにやりと不敵な笑みを浮かべていた。


「人って普段の行いが大事かもしれませんね」


 アリスがぽつりと呟いた。


「どういう意味よ?」


「そのまんまです」


 今までナナーにばかり気を取られていたから気付かなかったが、ここで全て認識した。アルバート家の使用人のアリスという女は一番油断できない。


 シャリーはたった今から、アリスを最大の敵とみなした。

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