表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
127/177

殺戮王⑥

 シャリー以上に動揺していたのは、ナナーとアリスだった。もしかしたらロウマは、自分達を守るために外に出たのではないだろうか。彼の性格ならばやりかねないことだった。だとしたら、何かあったら自分達のせいである。


 ナナーとアリスは震えが止まらなかった。


「二人とも気持をしっかり持ちなさい。震えていたところで、何も始まりません。あなた達が今するべきことは、ロウマさんが無事だというのを信じることです」


 ナナーとアリスの動揺に終止符を打つため、ライナが一喝した。さすが長女だった。言うのは簡単だが、聞く者をその気にさせてしまう力があった。


 二人ともライナのおかげで我に返った。


「すみません。アリス、こんな時だからこそ、私達がしっかりしないといけないわ」


「ええ、その通りだわ」


「その意気です、二人とも」


「ライナ姉さん、とにかくロウマを捜そう。手分けした方がいいかもしれない」


 ロバートが提案した瞬間だった。地を揺さぶるような音が鳴り響いた。


 いや、微かであるが地面も揺れていた。


 音源は裏庭からだった。



     ***


 これは夢なのだろうか。


 それとも現実なのか。


 たった一撃で三人が吹き飛ばされた。全員宙を舞って地面に墜落した。


 おそらく即死だろう。


 ハイドンはあとずさった。


 怖いと感じたのは奴隷のころ以来だった。あのころは、主人のむちが怖くて怯えていた。しかし、それも闇商人になった途端に忘れた。以来、自分を恐怖に陥れいるものは無いと思っていた。


 だが、ここにいた。


 目の前に立っている男、ロウマ=アルバートだった。


 ロウマはまたリオン=ルワを振った。再び仲間が吹き飛ばされた。


 さらにもう一撃。気が付くと、周囲にはハイドンを含めて三人しか残っていなかった。


「見るのも嫌な力だな。あまりにも人が死にすぎる」


「何だ、お前の能力は……」


 ハイドンはすでに敬語ではなかった。それだけ取り乱していたのである。


 ロウマはうつろな目でハイドンを見据えた。


「大したものではない。私の力は身体能力が異常に上がるだけだ。説明はもう十分だろう」


 ロウマは一歩、また一歩ハイドンに近寄った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ