表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
126/177

殺戮王⑤

「こっちに死人が出なかっただけましだな」


 ロバートが、ぽつりと呟いた。


 だが、襲撃者は何者なのなのだろうか。確かめる必要があった。転がっている死体にロバートは目を向けた。


「うん?」


「どうしたの、ロバート?」


 三女のイメールが声をかけた。


 けれども、ロバートはイメールを無視すると周囲の死体を一体ずつ確かめていた。


「違う……」


「何が違うの、ロバート?」


 次女のディナも声をかけた。


「こいつらの顔には見覚えが無い。こいつらは屋敷の周囲をうろついていた連中じゃないぞ」


「あなたが覚えていないだけじゃないの?」


「違うよ、ディナ姉さん。俺が見たのは、顔の彫りが浅かったし、目も黒かった。こいつらの顔は彫りが深いし、目も青い。この土地の人間だ」


「なんですって?」


 ロバートの言う通りだった。どの顔もこの土地の人々が持っている特徴だった。


 嫌な汗がロバートの全身の毛穴から噴出した。


「ロウマ、ロウマ!いるか?いるなら、返事をしろ!」


 屋敷に向かって叫んでみたが、応答は返って来なかった。


 ロバート達は急いで屋敷に駆け戻った。


 居間を見渡したが、誰もいなかった。ロウマと一緒にいたはずのシャリーの姿も無い。


「姉貴、ロウマ!どこにいる?返事をしろ!」


 複数の足音が聞こえてきた。


 ロウマだろうかと思ったが、一歩間違えれば敵かもしれない。油断ができないので、全員武器を身構えた。


 勢いよくドアが開けられた。


 入って来たのはナナーとアリス、シャリーだった。


「何よ、ロバート?もう片付いたの?」


 三人が無事だったので七人はとりあえず胸をなでおろした。しかし、ロウマがいないのに変わりがなかった。


「姉貴、ロウマはどこだ?」


「師匠なら、屋敷の中にいるはずじゃ……」


「何をやってたんだ、姉貴!ロウマを守るのじゃなかったのか?」


 シャリーの言動があまりにも無責任に感じたので、ロバートは思わず激昂げっこうした。一度怒鳴っても、怒りはなかなか収まらなかった。


「姉貴、あんたって奴は……」


「私はただ……師匠から二人を守るように命じられていたから、二人の部屋にいたのよ。師匠命令だから逆らえなかったのよ」


 普段怒るところを見せない弟であるため、気が強いシャリーもさすがにひるんだ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ