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殺戮王②

「ロバート達が戦っている連中はなんだ?」


「あれは、その辺のごろつきです。来る途中で雇いました」


「ただのごろつきでは、ロバート達には敵わないぞ」


「でしょうね……」


 どうやらハイドンは、ごろつきがどうなろうが、知った事ではないらしい。最初から捨て駒にするつもりだったようだ。たとえ生き残っても、口を封じていただろう。


 ロウマはリオン=ルワを構えた。正直言うと、片腕でどこまで戦えるか分からないが、やってみる価値はあった。


「どうも気に入らないですね」


 ハイドンは苛立いらだちを隠せない口調だった。


「何ですか、その目は?以前は死人のような目をしていたくせに、今のあなたの目は希望にあふれている」


「そうかな。自分では、さっぱり分からないな」


「ますます、はらわたが煮えくり返りそうなセリフですね……殺せ」


 ハイドンの命令が下ると、三人が一斉にロウマに斬りかかった。


 ロウマも踏み込んだ。


 剣の一閃を素早くかわしたロウマは、一人目を斬り捨てた。二人目がさらに襲って来たが、ロウマが足を払って地面に倒した。


 あとは一撃だった。


 胸にリオン=ルワを突き立てた。敵はうめき声を上げて、絶命した。三人、四人、五人と一気に斬って斬って斬りまくった。


 ハイドンが真正面から向かって来た。


 ロウマがハイドンの斬撃を受け止めた。大した重さではない。


 この程度なら勝てる。


 さらに斬りかかってくるハイドンだったが、ロウマは全ての斬撃を受け止めた。


「さすがロウマ殿。普通に戦っては負けますね。本気でいきましょう」


「しゃべっているひまがあるのなら、本気で来い」


 さすがに挑発には乗って来なかった。それどころか薄気味悪い笑みが増していた。急に背筋に寒気がはしったので、ロウマは後ろに飛びのいた。


 その時だった。


 誰かに足首をつかまれた。新手かと思いロウマは、足下に目を向けた。つかんでいるのは、さっき自分が斬り捨てた男だった。どうやら死んでなかったようである。


 もう一度斬りつけようとしたが、ロウマは不審な点に気付いた。


 男の目の焦点が合っていなかった。武器も近くにあるのに、握る素振りすら見せていない。


 ただ、ロウマの足首をつかんでいるだけだった。


 この男は本当に生きているのだろうかと疑問に思った。


 ロウマはハイドンを見たが、彼は向かって来る気配もなくただ笑っているだけだった。


 ロウマは、ぞっとした。


 ふと、ロウマの頭の中である仮説がよぎった。


 心中ではラトクリフとベサリウスが叫んでいた。


『ぼうっとするな、兄弟!そいつはただの死体だ!攻撃しても無駄だぞ!』


『ロウマ、このハイドンという男……』


 自分の疑問に対しての答えを述べようとしているベサリウスの声は震えていた。彼にしては珍しいことだった。


 ロウマの心臓が高鳴った。彼も答えを予測できていた。


『……特殊能力者だ』


 ベサリウスが言ったのと同時に雨が一段と強くなった。

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