表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
114/177

第十二章 和解①

 室内にいる人物は二人。


 ロウマとレイラだった。


 ロウマはレイラが語ることに対して納得するように頷いていた。


「そうか……やはり、治らないのか」


「ええ。肺の病は私の薬でも難しいのです。あなたの場合、あくまでも進行を遅らせているにすぎません」


「つまり、いずれは病に負けてしまうと……」


「そうです。薬ができれば、助かるかもしれませんが、現時点では見込みはゼロです。申し訳ありません。私の力が足りないばかりに……」


「いや、あなたは見ず知らずの私に十分すぎるほどの事をしてくれました。レストリウス王国を出た当初は、歩くこともきつかったのに、今はそれが微塵も無い。これもあなたの……いや、ハルバートン家の人々のおかげだ」


 ロウマは、にこりと笑みを浮かべた。


 笑みと言っても人並みではなく、唇を微かに動かしたにすぎないが、レイラには十分な笑みに見えた。レイラはロウマが自分の運命を受け入れたのだと理解した。


 しばらくすると、ロウマはレイラの部屋から退出した。


「ロウマ」


 声がしたので振り向くと、ナナーだった。彼女とアリスはいまだに、ハルバートン家の屋敷に残っている。ロウマがレストリウス王国に帰還するまで、自分達まだ帰るつもりはないらしい。


 ロウマはナナーに近寄ると、右手でナナーの左手を握った。


 この間のロバートとの決闘でロウマは左手を腕ごと落とされたので、残った右手しか使えなくなっていた。


「少し散歩しないか」


 ロウマが提案した。


「ええ、いいわよ」


「決まりだな」


 二人は手をつないだまま、屋敷から出て行った。



     ***



 ロウマとナナーが出て行った後、物陰から姿を現した人達がいた。


 ハルバートン家の長女のライナと三女のイメール、五女のシャリー、六女のルミネ、そしてロバートだった。


「あれは勝てないよ、姉貴」


 ロバートだった。


「そんなことないわよ。私だってまだまだ、勝てる要素は持っているわよ」


「どこに?」


「どこだっていいでしょう!大体、あの女は師匠の元婚約者でしょう」


「そのようね」


 ルミネが笑いをこらえていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ