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■Story2■

重い足取りで家の門を開ける。

しんどい。

面倒臭い。

部屋にこもってインターネットやってた方がよっぽど楽しいのに。

ブチブチ喉の奥で不満を並べながら真美は足を前へ運ばせる。

今時の女子高生にしては随分と膝下丈の長いスカート。

しわやヨレ一つなくピッシリしているセーラー。

色わ紺だか長いスカートに違和感なく届く踝までしかない地味目の靴下。履き慣らした、やはり地味目な白いスニーカーに背中には明らかにその制服とは不釣り合いなセンスの悪い赤と緑のチェック模様のナップザック。その拙い縫い目からして恐らく小学校時代に家庭科で作った物をそのまま活用していると思われる。

容姿はといえばかなり分厚い度眼の入った丸ふち眼鏡に髪は黒いロングだが、特に手入れをしている訳でもなく、無造作に首下で一つに束ねられているだけだ。その一本一本からほつれ毛があり、お世辞にも清潔感のある髪とはいえない。

真美の容姿は一言でいえばダサイの他ない。

真美の通っている高校は都内でも人気のある女子校で、制服が最も可愛い事で有名だ。当然女子しかいない高校で、おまけに通っている大半の数が容姿供にレベルの高い女の子ばかりなので周りの高校の男子からもたくさんの注目を浴びている。

最も、どんなに人気があり、制服も可愛いくて有名でも、真美にとってそれは全て例外となり、意味のない事だったりするが。

そもそも真美がここの高校を志願した理由は

「制服が可愛いから」

とか

「モテるから」

など生温い理由ではない。

中学の時に散々男子から自分の容姿の事で苛められ、馬鹿にされていた事がトラウマだった。

女子しかいない高校なら安全だと思い、ここを選んだのだ。

「女子しかいないから安全」

だなんて保証は実際、どこにもないのだが。

教室に入り、窓際の隅の席に真美は鞄を置く。

ここが真美の席だ。

さすがに女子だけという理由もあり、中学時代の様な苛めはないしクラス全体の環境は

「危険」

と感じさせるものはない。

だが真美にはこれといって人が寄り付く個性や社交性もなく、毎日地味に生活しているので誰も彼女に興味も持たないし近付こうともしない。いわば

「存在感のないコ」

なのだ。

だから真美が不意に不登校し始めたり突然学校に来たりしても、特に誰かがそれに構う事はないのである。

今日も新学期というだけであって真美が教室という空間に存在していても、誰も気にかける事はない。

しかし今日はいつもより少し違っていた。

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