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ダンス・ダンス・思案シー

作者: 森 go太
掲載日:2026/11/07

 他に誰もいない部屋で一人、感情が赴くままのダンスをしながら、自分の事について考えていた。最近の自分は、思考の幅が狭まっている気がする。しかし勘違いしないで頂きたいのが、私は、これが一概に悪い事であると述べたい訳では無いのである。自分の本能のままに、自分が何となく好きなものだけをただ純粋に喰らっている今の状況は、自分らしく生きられているという事の裏返しでもあって、とても楽な生き方ができているという実感がある。おっと。狭い部屋でダンスをしてるものだから、ゴミ箱と手がぶつかって危うくゴミをぶち撒けそうになってしまった。危ない危ない…失礼、話を戻そう。とても楽な生き方ができているという実感があるから、今私の精神は凪のように安定しているし、このままの生活を続けていけば、きっと30年後くらいまでは無事に生きていけそうな気がする。

 しかし一方で、このまま自分の価値観や感覚が凝り固まってしまうと、努力して新しいものを取り入れようという意欲も薄れてきてしまって、自分が提供するものに深みを出すことが難しくなり、やがて芸術家としての元々ちっぽけな才覚ですらも廃れていくような気がする。だから新しい体験に臆する事なく飛び込んだり、偏見を持たずに色んな視点を取り入れることが必要であると分かってはいるものの、現状の安定に満足してしまっているとそれも幾分か躊躇われて、躊躇い続けたまま、生涯を終えてしまうのかもしれない。そしてそれに意図的に目を背け続けている自分。その現状をちゃんと理解してはいる。しかし右往左往の日々を経て、今はそんな自分ですらも愛してしまっているので、変えたいとも思わなくなっているのが、創作人としての終わりに近付いているのではないかと薄々感じている訳である。こうして適当なダンスをしていても、それがまるで完成度の高い創作ダンスのように思えてしまうのが、自分を客観視する能力が衰えて来ている証拠である。このまま客観視の能力が衰えて、完全に無くなってしまうと、私はもう何も無いただの孤独人ーーこの世界に何も残せぬまま、ただいたずらに時間を消費して、それでも、まぁ別に良いよって自分を甘やかしてあげながら、いずれ天寿を全うする時に、何やかんやで良い人生だったななんて、自分を無理矢理納得させて、そうして天国でも地獄でも無い、何もない所に行くーー。それが果たして私がこの世に生まれてきた意味として成立しているのか。私は心から強くという訳ではないけれど、ぼんやりと疑問符を頭の片隅に宿してしまうのである。

 今こうやってダンスをしていると、自分が何者かになれたみたいで、すごく気分がイイけれど、その狂気性というか異常性を、自分の作品に余す事なく込めることは非常に難しい。いっそのこと諦めて自分以外の才能ある人間に託したくなってしまう。それこそ、親が自分の子どもに理想を押し付ける感覚に近い。あれは自分が諦めた夢を、子どもに置き換えているだけなのだ。自分が何者にもなれなかった罪悪感を、自分の子どもに継承しているだけなのだ。そして私が今そんな毒親達と同じような感情を抱いてしまっていることが、非常に腹立たしい。他者への無責任な期待は、それだけで凄惨な神の裁きを受けねばならぬくらい、罪深いものだと思っている。最悪、どうしても自分のことを他人にやってもらいたければ、せめて誠意を持って頼むべきだろう。しかしそれができない人間が、察して察してと言わんばかりに、顔色を伺わせ、また罪の無い他人の負担を増やす。いかにも日本人らしい……失礼。私は愚痴を言いたかった訳ではないのだ。ただ自分の未来をどうしていくか、考えたかっただけなのだ。とりあえず……は無い。今はとりあえずダンスをしてしまっているけれども、本当はとりあえずなんてなくて、また死にたくなるくらいまで努力をしなければ、あの高みには登れないーー。


 だけどもう死にたくないんだよな。

 死んだら色んな人が悲しんでしまうことを、俺はもう信じられるようになってしまったから。

 ちゃんとみんなのために生きたい。

 だから困る。


 つまりまた、新しいものを見つけなければいけないのだと思う。

 死に近付かなくとも、自分が楽な方法でも、自分の中に潜むこの衝動を余す事なく表現できる、

 そんな新境地を。


 また自分探しの旅が始まる。

 今までは奥底の自分を探す旅だったけれど、

 今度は逆に、

 表層の自分を解き明かす旅かもしれない。

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― 新着の感想 ―
 森 go太さん、こんにちは。 「ダンス・ダンス・思案シー」拝読致しました。  なんでしょうね、このタイトル。  踊りながら考える。  最近、マンネリ化してないか?  いや、これはこれで健全なの…
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