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銀河帝国出身の私が異世界の猫たらしに命令されて恋に落ちました【猫恋】  作者: ひろの
第1章 星空の誓い

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第8話 アルカノス遺跡

アルカノス遺跡――薄暗い石造りの回廊は、朝の光を一切受けず、ひんやりとしていた。


「ここが……依頼にあった遺跡か」


アレンが遺跡内の地図を確認しながら慎重に足を進める。


「ちょっと貸して。」


リュミナが地図を奪い取ると、手元の小型端末でスキャニングする。


「何やってるんだ?」


「いいから。あなたは地図なんかより周りに気を配って。」


「ん……わかった。」


「これでよし。」


リュミナはゴーグルを装着した。そしてアレンをぎゅっと引き寄せて、彼にも装着させた。


「うあ……なんだよ。あ!?なんだこりゃ!?!」


アレンが手を突き出して、物を触ろうとするかのように、何もない所で手をひらひらさせている。


「ぷっ!」


(……可愛い。

 こんな顔するんだ、アレン)


「おい、笑うな!なんだよ、これ!地図が浮いてる!!

 しかもなんだこれ!?地図上に点があって……動いてる。おぉ!?」


「あははは……。ほんと、典型的な態度とるね。

 えっと、それは魔法、エーアールスマートゴーグル!」


「えーあーるすま……すまーと……ごーぐる?」


「ぷぷぷ……。とにかく情報が目の前にあるように見える魔法の眼鏡だよ。

 その赤い点が私の居場所で、青い点がアレンの場所。

 ”地下2階を表示”とか言えば自動的に地下2階の地図に切り替わるよ。」


「おぉぉ!!!地下3階を表示? おぉぉ。地下1階を表示。おぉぉ!!」


(はははは!!!反応良すぎ!これ動画残して後で見せてやろうか!)


「あははは。ちょっと待ってね!」


リュミナがいきなり走って突き当りの角を回る。


「おい、待て!どうした?」


『あーあー。通信テスト通信テスト。聞こえる?』


『うあぉぁああ?! リュミナの声が!?』


『……。うるせぇ!大声で叫ぶな!耳がキンキンするわ!』


『なんだ、これ!?』


『ただのリモートコンタクト。

 あまり人が多い所では使いたくないけど便利でしょ?』


『便利とかそういうレベルじゃねーぞ?!

 リュミナ、お前……大魔導士か!?』


「ふふふふ……その……とーり!」


ドヤ顔のまま、リュミナが突き当りから戻ってくる。


「とりあえず、これで何かあっても平気ね。」


「やべぇな、大魔導士って国家戦力級だぞ??」


「あー、そういうのいいから、私はただのリュミナだよ。

 さぁ、行こうか。」


「あぁ……。そうだな。

 お前がたとえ大魔導士でも俺にとっては大事なリュミナだ。」


(大事な!?)


「ん?大事な相棒だぞ?」


(ただの相棒かよっ!

 ……ちょっと待て。何を期待してたんだ、私。)


・ ・ ・


二人は地下2階まで到達した。

敵どころか、他に冒険者すらいない。


「気味が悪いわね、この遺跡っていつもこうなの?」


「いや、そうでもない。何か変だ。」


二人が地図に従って交差路を曲がった瞬間、待ち構えていたのは――

腕に鎖を巻きつけた数体の小型獣型の魔獣たち。


「くっ……現れたか!」


アレンがレーザーブレードを起動させ、リュミナもレーザーガンにエネルギーパックを装填した。


魔獣が猛烈な速度で突進してくる。

狭い通路に二人――逃げ道はほとんどない。


斬撃と銃撃が交錯する。息をつく間もなく、次の角からさらに二体が飛び出した。


「またか……!」


リュミナが叫ぶ。


通路を曲がるたびに、新たな敵が出現する。

まるで迷路の奥で、誰かが二人を追い立てているかのようだった。


「……まさか、これ全部偶然じゃないな」


アレンが小さくつぶやく。


二人は協力して敵を倒しながらも、狭い空間で回避の余地がほとんどなく、体力を徐々に削られていく。


「ぜ、全然……終わらない!」


リュミナの呼吸が荒くなる。


「リュミナ、無理するな! 俺が前に出る!」


アレンがリュミナを庇うように前に立つ。


「ちょ、ちょっと……!」


(……危ないっ!)


レーザーガンを構え、援護射撃。

魔獣の脚を撃ち抜く。


「ナイス! 助かる!」


アレンが振り返って笑った。


猫耳が小さく揺れる。


(あ?!何見とれてるんだ、私!

 ……戦ってるあいつは、ちょっとかっこいいけどさ……。

 別に何とも思ってないぞ、私は!)


奥の広間に入ると、両側から左右に敵が分かれて迫る。


「くそっ、挟み撃ちか!」


アレンはレーザーブレードを振るいながら防戦する。

だが、次々と現れる魔獣たちに、徐々に前に進む速度が落ち、息が上がる。


「……まさか、これ全部計算されてるのか?」


アレンが疑念を抱くも、敵の動きの規則性は見えず、ただ戦うしかない。


リュミナも銃撃を続けるが、さすがにレーザーガンのエネルギーチャージが間に合わない。

周りの魔力素を吸収して、徐々に回復しているとはいえ、残弾数がわずかだ。


「……もう、持たないかもしれない……」


ようやく二人が狭い通路を抜けると、背後からさらに数体の魔獣が突進してきた。


「またか……!」


その瞬間、リュミナが足を踏み外し、罠の凹みに片足を取られた。


「きゃっ!」


アレンは反射的に手を伸ばしたが、魔獣の群れに阻まれ、届かない。


薄暗い通路の奥で、リュミナの身体が光に包まれた瞬間、空間の裂け目に吸い込まれるように消えた。


「リュ、……転移トラップ!?」


アレンの叫びは、石壁に反響して虚しく消えた。


少し離れた所、暗がりに隠れた銀髪の影が、微かに笑みを浮かべていた。


グレンは自らの思惑通りに事が運んだことに満足していた。


予定通り……二人を引き離した。

おそらくアレンの力の源はあの女だ。あの変貌はそうとしか考えらえない。

これで弱体化するはずだ。バルド、後は頼んだぞ!


消耗した二人は、グレンの掌の上で踊り、そして引き離された――


焦るアレンに大柄の男の脅威から近づいていた。

リュミナが飛ばされた!?そして大柄の影!

あれですね、序盤クライマックスか!?



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