けっしてNintendo Switchで遊んではいけない部屋
しょーもない内容です
親友の美沙が一日だけマンションの部屋を留守にするというので、私が留守番をすることになった。
留守番とはいっても、じつはお願いしたのは私のほうだ。彼女の豪華なマンションの部屋にぜひとも住んでみたかったのだ。
「置いてあるものは動かさないでね。ゲーム機は好きに使っていい……けど」
美沙はそこで言い淀んだ。
「ごめんね。プレステ5は……ないの。プレステ4と……Nintendo Switchしかないわ」
「じゅうぶんよ!」
私は心からそう言った。
自分の部屋にはセガのドリームキャストしかないのだ。イマドキのゲームができることにワクワクしていた。
「だけどね……」
美沙は、言いにくそうに、言った。
「Nintendo Switchではけっして遊んではダメ」
「ええっ……? なんで!?」
「大変なことが起きるわ」
それだけ言い残すと、美沙はおそろしい顔を残像のように私の瞼に残し、私を残して出かけていった。私は取り残された。(『残』、多っ)
プレステ4の電源を入れた。
電源ボタンが小さくてわかりにくかったけど、猫が踏んづけたら青いランプが点き、自動的にテレビの電源も入った。
インストールされてる中からセガの『シェンムー3』を選んで遊びはじめた。ドリームキャストで2まではやっていたので。
「なんか……ドリキャスのやつのほうが面白かったなぁ」
プレステ4に対して失礼ともいえる感想を、私は吐いた。
そしてふと、もう一台のゲーム機、神棚に飾られているNintendo Switchに目を向けた。
「Nintendo Switchで遊ぶと……どんなことが……?」
好奇心が私を突き動かす。人間、『してはいけない』と言われるとしたくなるものだ。
私は神棚からそれを掬い取ると、電源アダプターを探し当て、コントローラーを繋いだ。タコの足のような配線を引きずり出し、センサーで顔認証すると、なんだかよくわからなくなった。
「これ……、どうやって遊ぶの?」
私が聞くと、それに答えるように、作者が怒鳴った。
「Nintendo Switchでは絶対に遊ぶなって言ったでしょ!」
作者はNintendo Switchで遊んだことがないので、描写ができなかったのだ。




